美術館の入り口は、コンコルド広場に面しています。
重厚な石組みの建物を入ると、そこは、のびのびとした空間、ホワイエでした。
ホワイエから続く階段を下りたところ、コンクリートの打ち放しの地下展示室に、「大壁画 ‐ 睡蓮」以外の秀作が並んでいます。
「睡蓮の間」に入る前に、その地下展示室を覗きました。
ここには、モネ「アルジャントゥイユ」、ルノワール「道化師姿のクロード・ルノワール」「ピアノを弾く少女たち」「長い髪の浴女」、セザンヌ「セザンヌ夫人の肖像」など印象派の名作から、モジリアーニ「ポール・ギョームの肖像」、ピカソ「水浴の女」、ユトリロ「ラ・メゾン・ローズ」などの他に、シスレー、ゴーギャンなど、実に侮れない?名作が並んでいます。
なかでもペトロ とカタリナ が好きなルソーの「結婚式」(写真上)「ジュニエ爺さんの二輪馬車」などが架かっています。
印象派時代に活躍した素朴派を代表するフランス人画家アンリ・ルソー。
夢想的で異国的なジャングル好き?のこの画家の絵、美術本などで見ると平板で、奇を衒った画風もあって初めの頃は関心が持てませんでした。
しかし、オルセー美術館が所蔵する代表作「蛇使いの女」(写真中)と「戦争」を目の前にしたとき、思わず唸ってしまいました。それまでの食わず嫌いを大いに反省しました。
余談ですが、印象派の画家で、ルソーと同じように実物を目にして、印象を新たにした画家のひとりに、フランス新印象派のジョルジュ・スーラがいます。
彼の代表作「アニエールの水浴」(写真下、ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵)を前にしたとき、点描表現で描かれたセーヌ川畔の水遊びの風景は、それまでの彼に対する印象を一変させるものでした。
さあ、これから上階に戻り、「睡蓮の間」への橋を渡ります。(続く)