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米国防長官 アジア地域の安全保障に関与の姿勢を強調 (NHK NEWSWEB)

2017年06月05日 | 安全保障と南シナ海紛争
米国防長官 アジア地域の安全保障に関与の姿勢を強調
NHK NEWSWEB 6月4日 6時05分

  シンガポールで開かれている「アジア安全保障会議」に、アメリカのトランプ政権の閣僚として初めて出席したマティス国防長官は、演説でアジアの安全保障政策の全体像を示しました。

  この中でマティス長官は、アメリカは太平洋国家だとしたうえで、北朝鮮に加え中国による南シナ海の人工島をめぐる問題を安全保障上の懸案として指摘し、軍事拠点化は認めないとして中国を強くけん制しました。

  また、マティス長官は日本や韓国、それにインドネシアやタイの防衛担当閣僚などと相次いで会談し、この地域の安全保障に関与していく姿勢を強調しました。

 東南アジアの国々の間には、トランプ政権がアメリカ第一主義の下で、TPP=環太平洋パートナーシップ協定から脱退したことなどから、アジア太平洋地域への関与を低下させるのではないかという懸念があり、マティス長官としては引き続き関与していく姿勢を強調して、懸念の払拭に努めたかたちです。


会場からは米の姿勢に厳しい質問も

  マティス国防長官は演説で、アジア太平洋地域の安全保障に関与していく姿勢を強調しましたが、会場からはその姿勢に疑問を呈する厳しい質問も出ました。

  このうちオーストラリアの研究者は、トランプ大統領がTPP=環太平洋パートナーシップ協定から離脱したり、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」から脱退を決めたりしたことに触れ、「アメリカは地域内でのルールに基づいた秩序を主張する。しかし、私たちが目の当たりにしているのは秩序の破壊ではないのか」と質問しました。

  これに対してマティス国防長官は「新たな大統領が就任し、新たな方策がとられている」と釈明したうえで、「アメリカはあなた方とともに、この地域に存在しつづける」と述べ、理解を求めました。

  このほか会場からは、アメリカは北朝鮮への対応などで中国に協力を求める見返りに、南シナ海の問題で妥協するのではないかといった質問も出されていました。


東南アジアの出席者の反応は

  アメリカのマティス国防長官がアジア太平洋地域の安全保障に関与していく姿勢を強調したことについて、東南アジア地域の出席者からはさまざまな声が聞かれました。

  このうちシンガポールのウン国防相は「アメリカがこの地域から撤退するのではなく、関与を続けるという方針がはっきりした。説得力のある発言だった」と述べ、マティス長官の発言を歓迎しました。

  また、アジアの国際関係に詳しいベトナム人の研究者は、「東南アジアにとって、アメリカの関与は必要だ。もしこの地域に関与する大国が中国だけになれば、中国に覇権を握られることになってしまう」と述べ、トランプ政権の今後のアジア政策に期待を示しました。

  一方、タイの国家安全保障会議のタウィープ事務局長は、アメリカがTPP=環太平洋パートナーシップ協定から離脱したことに触れ、「アメリカは代わりに2国間の貿易交渉を進めるとしているが、具体的なことはまだこれからだ」と述べ、トランプ政権の政策を引き続き注視していく必要があるという考えを示しました。


台湾めぐる発言に中国が反発

  シンガポールで開かれているアジア安全保障会議で、アメリカのマティス国防長官が台湾について、「法に従って必要な防衛装備を提供するため協力していく」などと述べたことに対して、中国軍の幹部は「台湾に対する武器の売却や、政府としてのいかなる接触にも断固反対する」と述べて反発しました。

  マティス国防長官は3日に行った演説の中で、アメリカの国内法に基づく台湾への武器の供与について「国防総省は法に従って、必要な防衛装備を提供するため台湾と協力していく」としたうえで、「あらゆる問題について、台湾海峡の両岸の人々が受け入れ可能な方法での平和的な解決を支持する」と述べました。

  演説のあと、会場にいた中国軍の幹部はマティス長官に対し、「こうした会議で台湾との関係に言及するのは普通ではない。『1つの中国』政策の変更を意味するのか」と問いただしました。さらに、中国政府を代表してアジア安全保障会議に出席した何雷軍事科学院副院長は記者団に対して、「中国は台湾に武器を売却することも、政府としての台湾へのいかなる接触にも断固反対する」と述べて反発し、トランプ政権の今後の台湾政策に強い警戒感を示しました。


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