元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

ペン先調整が全てなのに

2006-04-16 | 万年筆
どんなに値段の高い万年筆でもペン先調整が上手くできていないと書き味が悪いどころか、実用に支障をきたしてしまいます。
逆に値段の安いステンレスのペン先のものでも完璧に調整すれば書き味は良くなります。
それほどペン先の仕上げは重要であり、万年筆を作るにあたって最も注意しなければならない部分ですが、生意気を承知で言うとどのメーカーも完璧と言うにはまだまだだと思っています。
私が店頭に並べるペンはどれも正常な状態に調整して並べています。
国産万年筆メーカーが全国で行っている万年筆クリニックに持ち込まれることが多い万年筆はペリカンだと言われています。
それだけたくさん売れていると解釈することもできますが、持ち込まれてくる原因がどれも同じなのは問題があります。
書き出しが出ないという現象です。
それは、切り割りの内側(私たちは内面といいますが)を削り取りすぎていて、強く押えないと紙にインクがつかないことが理由です。
またペン先が不揃いなのもよく見受けられます。
パーカーデュオフォールドは切り割が紙面側よりも反対側の方が広く空いてしまう背開きというよくない現象をよく起こしています。
これでは普通に書くときよりも、ひっくり返して書いた方がインクの出が多くなってしまいます。
またイリジュウムの磨きが甘く、書き味がザラザラするものが多いようです。
他のメーカーもそれぞれ決まった悪い現象を起こしており、それは国産メーカーでも例外ではありませんが、上記のペンは私も好きなすごくいいペンなので、それらを買われた人たちを、最終の仕上げのつめの甘さでがっかりさせてほしくないと思いました。