元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

店主の見栄

2015-05-24 | 実生活

散髪に行った時に先客がいると1時間くらいは待たないといけないので、少しがっかりします。

私の前に待っている人までいたら、2時間近く待つことになり、それは私が行っている店が予約を受け付けていないから、ということも理由でもあるけれど、もう10年以上親子でそこに行っているので、今さら違うところに行くつもりもないけれど。

お客さんの待ちが出ている時、少しは焦る気持ちはあるかもしれませんが、待たされている私たちの気持ちに反して、マスターは嬉しそうに見えます。

やはり自分の店がヒマよりも忙しい方がいいに決まっていて、それが自分の生活の保証になります。

でも、お客の立場であったら店は空いている方がいいと思ってしまいます。

立場によって、混んでいる、空いているの感じ方は正反対で、例えばお客様が当店に来られて、「空いていてよかった」と言われても、私にとっては「空いていていいはずないやろ」ということになります。

もちろんそれを口には出さないけれど、「今日はヒマですね」(無邪気に)とか「珍しくゆっくりですね」(かなり気を使った言い方)と言われると、「いつもこの曜日はゆっくりで」とか「もう少し遅い時間からですかね」などと、そのヒマさが想定内であることを装います。

これは店主の強がりあるいは見栄なのだと思います。

それと同じような感覚で、「忙しいですか?」と聞かれたら、忙しくても「いやそうでもないですよ」と言い、けっして忙しいとは言わない。

忙しいことを認めないのも、強がりのような、見栄のような感覚で、お店をされている方は反射的にそう言った方がいいような気がするからなのだと思います。

「売れてますか?」「景気はどうですか?」と聞かれて、「ボチボチですね」と言うのも、本心や現状を悟られないようにする防衛本能と言うと大げさですが、忙しそうに見えても、ヒマそうに感じられても、お客様が離れたら困るという気持ちから出る言葉なのだと私は思っています。

 

 

 


2 コメント

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客としても (杉谷)
2015-05-26 13:08:54
無くなると困るので繁盛して欲しいような、でも自分が入れないほど混雑しないように。食べ物屋さんに多い、繁盛して支店を出して美味い物屋が不味い物屋になるようことのないように・・客サイドの悩みも深いです。
(誤解されるに決まってますが)生かさぬように殺さぬように、と思う、我が儘な客が私です。
生かさぬ殺さぬ (Pen and message.)
2015-06-07 19:15:58
杉谷さん
ありがとうございます。確かに、お客様側からすると生かさぬように殺さぬように以外に、上手い表現がないですね。その状態が理想だと思いますが、店主は気が気ではないですね。またよろしくお願いいたします。