平和/憲法研究会

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戦争国家への道を絶つために(5月29日、練馬での学習会報告)

2015年07月09日 | 研究会報告
戦争国家への道を絶つために
2015年6月29日 東ねりま9条の会「戦争法案」学習会報告の概要

                         大内 要三(日本ジャーナリスト会議会員)


1.自衛隊はいま何をしているか

  ・日米共同キーン・ソード演習は、伝統的に朝鮮半島有事への共同対応演習だった
   昨年11月の同演習では、米イージス艦の戦闘指揮所で海上自衛隊員が訓練を受けた
  ・離島奪還作戦の名目で、敵前上陸訓練が行われている
   本年1月にカリフォルニアで実施されたアイアン・フィスト演習では
   陸上自衛隊(米海兵隊に習って水陸両用部隊になる予定)が参加、戦死者も出る想定
  ・昨年6月のリムパック演習では、海上自衛隊は米第7艦隊の一部として行動した
  ・レッドフラッグ・アラスカ演習では、自衛隊の戦闘機は空中給油をしながら参加、高度な戦闘機交戦演習を行っている
  ・ノースコープ・グアム訓練では、自衛隊の戦闘機が爆弾投下訓練を行っている
  ・6月末に南シナ海で日比共同訓練を実施し、建設中の中国基地の警戒監視を始めた
  ・海賊はもうほとんど出現しないのに、アフリカのジブチに自衛隊は居座っている
   ジブチの自衛隊基地は仏軍基地、米軍基地に隣接し、ジブチ政府との間に地位協定を結んだため、自衛隊員が事件を起こし   ても現地で裁かれることはない
  以上、演習・訓練の実態を見ると、すでに自衛隊は米軍とともに海外で戦う態勢を整えつつある
   装備(武器)も、①海外に出かけていく ②米軍と同じものを持ち、ともに戦う ものに変わってきている

2.日米共同作戦の約束

  ・4月末に安倍内閣が米国で締結した第3次ガイドライン(日米防衛協力指針)は、戦争法案国会審議に先立って、グローバル   に日米共同作戦を展開する約束だった
  ・同ガイドライン文書は全8章構成で、マスコミは第4章「日本の平和及び安全の切れ目のない確保」、第5章「地域の及びグ    ローバルな平和と安全のための協力」だけに注目するが、本当に重要なのは第3章「強化された同盟内の調整」
  ・同盟調整メカニズム=平時から緊急事             
   態まで、日米協議で対処する組織 をつくる
   日本に対する武力攻撃、日本以外の国に対する武力攻撃、日本に於ける大規模災害、自衛隊の国際的な活動、のすべてはこ   こで協議される 自国防衛すら米国と相談しないとできない
  ・共同計画策定メカニズム=共同作戦計画を策定する組織 をつくる
   「アジア太平洋及びこれを超えた地域」での自衛隊・米軍の共同作戦計画をここで策定する
   共同作戦計画は共同演習で定期的にバージョンアップされ、有事には共同作戦命令になる
  ・宇宙(衛星利用)・サイバー戦(コンピューター不能化)の分野でも日米の協力を強化するため、すでに自衛隊にサイバー   部隊が発足しており、宇宙軍も近く発足する
  ・米軍が自衛隊に分担させる中心は、警戒監視・機雷掃海・後方支援の分野
  ・このようなガイドラインの内容を「具体的な政策及び措置に適切な形で反映することが期待される」と書かれているので、   期待に応えて安倍内閣は戦争法制を成立させようとしている

3.戦争法案の条文を読む

  国会に提出されている法案は2本 
  ①国際平和支援法=いつでも海外派兵ができるようにするための新しい法律のため、派兵恒久法とも呼ばれる 
  ②一括改正法=主要なものだけでも10本の法律をまとめて改正する法律 
  全部で393頁に及ぶ分量がある
  まず一括改正法で改正されるうちの4本の法律の重要な部分を解説

(1) 自衛隊法改正
  自衛隊法には、自衛隊が何をするかが決められている。ここに書かれていないことは、してはならない
  ①任務規定の変更(3条1項)
   専守防衛(自国の防衛のみを任務とする)の姿勢を明らかにしていた規定を削り、個別的自衛権だけでなく集団的自衛権の   行使=外国を守る姿勢を明らかにした
  ②武力行使の要件変更(76条)
   日本が攻撃されていなくても同盟国への攻撃が日本の存立にかかわると判断すれば自衛隊は出動し、武力行使をする
  ③隊員の外国での命令違反に罰則(122条の2)
   いわゆる「敵前逃亡」は7年の懲役または禁錮(刑法の殺人罪は「死刑または無期もしくは5年以上の懲役」だから、これよ   り重いとも言える)
   しかし外国での民間人殺傷に対する処罰規定はない
  ④在外邦人保護(84条の3、94条の5)
   単なる輸送だけでなく、人質救出等の活動を含み、この任務では身体防護だけでなく「任務遂行のため」の武器使用が認め   られる
  ⑤同盟軍の武器防護のための武器使用(95条の2)
   ともに行動する米軍だけでなくオーストラリア軍等も含み、共同訓練・演習時も含む
   防護する武器は小銃から戦車・戦闘機・軍艦まであらゆるものを含む

(2) 武力攻撃事態法改正
  本来、武力攻撃事態法は、2003年に有事法制のひとつとして制定された、日本が武力攻撃を受けたとき(外国軍が日本に攻め  てきたとき)の対応を決めた法律
  ①存立危機事態を新設(2条)
   日本が攻撃されていなくても、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅   かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」=存立危機事態でも自衛隊はこ   の「他国」とともに戦う
  ②事態対処の基本理念を修正(3条)
   この存立危機事態では、自衛隊は「日米安保条約に基づいてアメリカ合衆国と緊密に協力するほか、関係する外国との協力   を緊密にしつつ」戦う
  ③原則として国会の事前承認が必要だが、緊急の場合は事後でよい(9条)

(3) 重要影響事態法(周辺事態法改正)
  1999年に制定された周辺事態法は、「周辺」(朝鮮半島を想定)で武力紛争が起き日本に波及しそうになったとき、自衛隊が  米軍を支援することを決めた法律 これを「重要影響事態法」にする
  ①「周辺事態」から「重要影響事態」へ(1条)
   地理的制限がなくなり、日本に重要な影響を与える事態だと認定されたら(国家安全保障会議を経て首相が決める)世界中   どこにでも自衛隊を派遣できる
  ②戦闘地域でも後方支援活動(2条)
   「後方支援」とは兵站(輸送・医療・兵器整備など、最前線で戦う軍の支援をするすべての活動)のこと これを「現に戦闘   が行われている現場」以外ならどこでも行う 戦闘に巻き込まれたら撤収というが、それは不可能
  ③米軍等との「武力行使の一体化」(3条)
   これまで禁止されていた弾薬提供、発進準備中の航空機に対する給油も可能になる 当然、相手国からの攻撃の対象となる

(4) 国際平和協力法(PKO法改正)
  PKO法は1992年に制定され、この法律を根拠にこれまで国連の平和維持活動に参加してカンボジア、モザンビーク、東ティモー  ル、ゴラン高原、ネパール、ハイチ、南スーダンに自衛隊を派遣してきた 現在も南スーダンで活動している
  ①PKO参加5原則の放棄
   国連PKOに参加する際の縛りだった5原則をゆるめ、外国軍部隊防護のため(25条7項)や任務遂行のため(26条)の武器使用   を認める
  ②国連の関与しない多国籍軍にも参加(3条2項)
   「国際連携平和安全活動」は国連決議なしの多国籍  
   軍で、国連PKOとは別物
  ③治安維持活動、駆けつけ警護も行う(3条5項)
   治安維持活動とは保安のための監視、駐留、巡回、検閲、警護。最近では多数の戦死者を出したアフガニスタンでのISAF    (国際治安支援部隊)の例がある
   駆けつけ警護とは、緊急の要請による、危難に遭った活動関係者の保護
  ④国会承認が必要な活動は一部のみ
   停戦監視等は国会承認が必要(事後可)だが、人道復興支援等は不要

 ここまでは一括改正法で改正される法律の主要点についての解説。次は新しく作られる国際平和支援法=派兵恒久法について

(5) 国際平和支援法
  ①海外派兵恒久法としての新法(1条)
   「国際平和共同対処事態」の新語で、テロ特措法やイラク特措法のようなそのつど新法制定をせずに海外派兵が可能になる
  ②活動内容の多くは重要影響事態法と重なる(もともと一本化する予定だった)
  ③必ず国会の事前承認が必要(6条)
   これを強調して公明党は「歯止め」だと言っている しかし同じ情勢を「国際平和共同対処事態」でなく「重要影響事態」   だと認定すれば、重要影響事態法を使ってほぼ同じ内容の活動が国会事後承認でできてしまう

  以上、2本の法律案を概観したうえで、安保法制の問題点は、
  いくつもの「事態」を国家安全保障会議→首相が適宜認定することにより、いつでも、どこにでも国会承認なしに自衛隊を海  外派遣できる
  「後方支援」の名目、「武器使用」の名目で、事実上の戦闘支援ができる
  自衛隊員戦死の可能性が高まり、海外での民間人殺傷は裁かれない

4.国会審議の何が問題か

 国会会議録の問題性
正式な議事録である国会会議録の作成に時間がかかっており、本日衆議院特別委員会の第15回会議が開かれているが、会議録  は第7回の分までしか発表されていない。関係者のみに配布される速報版はあるが、正規の会議録作成までに修正されるので引  用不可。したがって当面は「新聞報道によれば」という形でしか語れない。内閣官房HPから国会中継録画を見ることはできる

 国会審議の流れを見ると
  5月15日 法案提出
  5月19日 衆院に「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」設置
   45人、社民党は排除されている
  5月27日、28日の首相出席の特別委員会で問題点がほぼ明らかになった
  6月4日 衆院憲法審査会の参考人質疑で3人の憲法学者が「違憲」
  6月9日 内閣官房・内閣法制局「従前の憲法解釈との論理的整合性について」で釈明
  6月中の強行採決は阻止したが、会期大幅延長で微妙な日程に

 国会討論はなぜかみ合わないか
  ・昨年7月1日の集団的自衛権行使閣議決定と与党合意を超えた内容の法案だった
   例えば5月26日の衆院本会議代表質問で首相は、集団的自衛権を行使できる例として、機雷除去と邦人輸送中の米艦防護に加   え、北朝鮮を念頭に弾道ミサイルによる攻撃が差し迫っている状況も存立危機事態だと説明した
  ・諸「事態」の区別を防衛相もできていないことが分かった
   5月28日の衆院特別委員会で辻本議員が存立危機事態(武力行使可)と武力攻撃切迫事態(不可)の違いについて質問した    が、中谷防衛相は答えられず、首相が代わりに「防衛大臣としてそんなにつまびらかに説明できない」と答弁した。重要な   問題点は軍事機密なみの扱いで答弁を拒否したともとれる

 政府の「合憲」の根拠は崩れた
  ・憲法違反とはどういうことか。戦争放棄・非武装の日本国憲法に本来、武力行使の規定はないが、戦力に至らない実力を    持って自衛する権利はあるとされてきた。この解釈は国会論戦など等を経て確立されてきたものであり、一政権に解釈を変   更する権利などない
  ・72年政府見解とは。憲法の下で許される武力行使は我が国に対する急迫不正の侵害への対処に限られる→集団的自衛権行使   は許されない という72年見解を、結論部分だけ真逆に「許される」とした
  ・砂川事件最高裁判決とは。米軍駐在が違憲かどうかについての判決で、自衛権についての言及はあるが、ここでは個別的自   衛権についてであることは明白
  ・いくら追及しても、集団的自衛権行使・外国での武力行使を「合憲」とする根拠として政府が挙げているのは、この72年政   府見解の読み替えと、砂川事件最高裁判決の読み替えのみ

5.戦争国家への道を絶つために

 国会内外での運動の連携を
  小選挙区制のため、国会の議席配分は民意を反映していない
  国会外での市民運動の高まりが重要な意味をもつ
  議員への働きかけを強め、戦争法案に賛成する議員には後がないと自覚させることが必要
  自民・公明をゆさぶり、民主・維新の動揺を許さず、戦争法案の審議未了・廃案へ

 世論は戦争法案に反対
  5月30,31日 共同通信世 論調査で
  自民支持層の69.1%、公明支持層の81.7%がが「政府は十分に説明していない」
  6月20,21日 朝日新聞世論調査で
  安保法案に反対 53%、賛成29%だった 同倍内閣支持律は39%(女性は34%)
  内閣支持率が20%台に落ちれば政権に赤信号がつくと言われる

 これから国会はどうなるか
  会期延長をした安倍内閣は「十分な審議」というが、強行採決も辞さず、法案成立・安倍内閣総辞職もありうる(60年安保の  岸内閣と同じ)
  警戒すべきなのは法案修正。PKO法のとき、有事法制のとき、修正で野党を取り込んで成立させた前例がある
  ありうる修正は「事態」の整理、あるいは「歯止め」を追加だが、それでも「外国での戦争解禁」という本質は変わらない。  惑わされないよう、法案をしっかりと読み込み反論を

「戦争反対」の進化を
過去の侵略戦争の反省をふまえた「戦争反対」を
  戦後の「繁栄」が戦争特需のたまものであったことへの反省を
  日本国憲法の平和主義が一国平和主義でないことの自覚を
  ここから世界の人々との連帯が生まれ、東アジアの平和、安保廃棄への展望が生まれる
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