平和/憲法研究会

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日本・ジブチ地位協定8項について

2010年10月23日 | 情報
 永山さん、適切なご質問をありがとうございます。
 便宜的に日本・ジブチ地位協定と呼んでいますが、政府間の交換公文ですね。「ひとしく正文である日本語、フランス語及び英語により作成され、解釈に相違がある場合には、英語の本文による」と書かれていますので、8項の英文を見ますと、以下のとおり。
 The competent authorities of the Government of Japan shall have the right to exercise within the territory of the Republic of Djibouti, in cooperation with the competent authorities of the Republic of Djibouti, all the criminal jurisdiction and disciplinary powers conferred on them by the laws and regulations of Japan with regard to all Personnel.
 あくまでも主語は日本側ですから、この cooperation with the competent authorities of the Republic of Djibouti から、ジブチ側の刑事裁判権を否定しない、と読むのは無理ではないでしょうか。3項(b)でも特権・免除がジブチ法の上位になっています。また5項では1961年のウィーン条約の外交官特権が準用されていますので、ここでも8項と重複してジブチの刑事裁判を免れていることになります。外交官特権の準用は、2003年12月22日付の日本・クウェート地位協定の場合と同じです。しかし公務と公務外も分けずに「すべての」刑事裁判権を日本側が持つというのは、かなり乱暴なことだと思います。軍刑法のない日本では、ジブチでトラブルを起こした自衛隊員は日本の地方裁判所が裁くという、イラク派兵の場合と同じ妙なことになりますね。
 蛇足ついでに。ジブチの公用語はフランス語(かつての宗主国はフランス)とアラビア語(イスラム世界の共通語)のはずですが、なぜ日本・ジブチ地位協定の正文のメインは英語なのでしょうね。                       【大内】

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