フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

フランス的なものから呼び覚まされることを観察するブログ

J'OBSERVE DONC JE SUIS

サルトル展

2005-06-20 07:45:24 | 展覧会

18日(土曜日)、午後から国立図書館フランソワ・ミッテランにサルトル展を見に出かけた。MD がバスで移動すれば観光バスに乗らないで済むとのアドバイスでバスに乗る。確かにちょっとした観光をしている気分になる。図書館に着くと荷物検査の後、本屋でざっと目を通す。サルトル関連のものは、雑誌や新聞の特集なども含め揃っている。会場に入ると人が少ない(そういえば仕事場でこの展覧会に行くといっても知っている人はいなかった)。お陰でたっぷりと余裕を持って見ることができる。サルトルに詳しい人であれば、願ってもない環境だろう。今回は大きく6-7つの時代に分けて展示されている。その説明文はほぼ全部読んだので、全体の活動の流れがぼんやりと掴めるようになってきた。

人生の早い時期から、スピノザとスタンダールになりたい (Il voulait être à la fois Spinoza et Stendhal.) という野心を持っていたようだ。シモーヌ・ド・ボーボワールも「彼は哲学と文学を分けたくなかったのだ(Il aimait autant Stendhal que Spinoza et se refusait à séparer la philosophie de la littérature.)」と書いている。彼女との出会いは、一目惚れであっただけでなく、自分と同じものを彼女の中に見たものだったようだ。また、暇な時間に執筆できるので、教師の道を選んだというような記述があった。

展示されていた原稿にも少しだけ目を通す。本への書き込みなどを見ると、細かい字で丁寧に書いてある。今回初めて彼の声を聞いた。10カ所以上に映像とともにインタビューを聞ける場所があり、すべて1回だけ聞いてみた。ノーベル賞を拒否した理由を聞かれて、スキャンダルになったのは残念だ、この賞は他と少しだけ違う(petitという言葉が聞こえた)ということを示すもので、私の場合はそこまで行っていない、というようなことを言っていたのではないかと思う。またスタンダールではなくフローベールのことを話していたが(詳しい内容までは掴めなかった)、後で読んでみると彼はこの作家について3,000ページにも及ぶ本 « L'Idiot de la famille» を書いていることを知る。二人の関係をもう少し知りたくなり、Paul Desalmand « Sartre, Stendhal et la morale» を買う。それともう一冊、簡単にサルトルの生涯と仕事を紹介している André Guigot « Sartre et l'existentialisme» も。

若い時からアメリカ文化に憧れ、漫画や映画(チャップリンなど)、ヘミングウェー、フォークナー(こちらで高く評価されているのだろう、よく出てくる作家である)、ドス・パソス(Dos Pasos "le plus grand érivain de notre temps"と言っている)などの作家、さらにジャズ(小説「La nausée」のひとつのテーマになっている;Some of these days...)などに親しんだ。しかし、その国への入国をベトナム戦争のころか、拒否する。世界の情勢にまさに s'engager し、戦った作家であったようだ。

会場には彼に関係のある芸術家の作品(ジャコメッティなど多数)も展示されていて、広がりのある展覧会であった。最後の方に彼の葬儀の様子が流れていた。訴える力のある人だった証だろうか、モンパルナス墓地までの街中に溢れる人人人。会場の出口に近く、サルトルに関係のある人のインタビューが流れていた(ここでも聞けます)。その中の Libération の編集長 Serge July がサルトル作品で重要なものは(l'œuvre à retenir)?と聞かれて、人それぞれだろうが、私は La nausée と L'être et le néantを挙げたいと言っていた。La nausée は他の二人も上げていた。いずれじっくり読んでみたいものである。

気が付いてみると3時間が経っていた。

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2 コメント

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感謝致します (koike1970)
2005-06-25 02:09:32
 こんばんは。

 コイケランドの講義ノートへコメントいただき、ありがとうございます。

 一連のご滞在記、拝見しておりますが、「サルトル展」の観覧記、やはり一番興味深いです。

 ジャコメッティの名前を見て、日本で実存主義を広めた矢内原伊作をモデルとした作品があったのを思い出しました。

 私からも、トラックバックさせていただきます。

 よろしくお願い致します。

本当のゆっくり見られました (paul-ailleurs)
2005-06-25 09:25:09
資料が相当の量になっていましたので、詳しい方にとってはやめられないのではないかと思います。



展覧会、確かに日本でもやってもらえるとありがたいのですが、あれだけのゆったりした空間で見ることができるかどうかを考えると少し心配になります。



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