京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
工房は京都市北区紫竹下竹殿町16だよ!

時計師の京都時間「京から虫の知らせ」

2017-03-21 09:29:26 | 時計修理

3月21日火曜日。下弦の月。
今週23日から30日までスイス・バーゼルフェアーが開催されます。毎年この時期に大嵐が吹きまくるスイス嫌いを育てる絶好のタイミングで開催される博覧会。
それにもかかわらず日本人がツアーを組んでいくほどのお祭りです。

「なぜ時計は高いの?」という永遠の命題。この手の質問にうんざりしますが丁寧にお答えしてきた。
例えばロレックス。この会社は年間生産本数はあらかじめ決めている。売れるからと言って急きょ増産しない。
ウインブルドン大会の高額スポンサー費用など世界的な大会に対してのボランティアやその他製造コストをのぞいた最終利益はすべて福祉団体に寄付される。
メンテナンス期間は生産終了後20年。(日本は7年)つまり部品、材料などの仕掛品在庫保有の経費が製品に加算される。

「どうせくだらん宝石がたくさんついているので高いんじゃろ~!時計はカシオで十分じゃ~」と売り場でぼったくりじゃ~と騒ぐアメリカ人のオヤジさんには教えてやりたい。アメリカ人は時計と食事にはお金をかけない。

例えばカルティエ。写真のようなダイア取り巻きの高級品。
ケースはホワイトゴールド、イエローゴールドと18金です。
24金の純金では強度が足りないので他の銅、銀など金属を混ぜる。銀を入れるとホワイトゴールドになる。銅ならピンクゴールドなどその分量で輝きが違ってきます。

 ケースをインゴットから削って曲線を出していくので強度が高くなります。その堅い金属に粒のそろったダイアをはめ込んでいく。ダイアは接着材は使えないので埋め込んでいく。

「時計に使われるダイアの一粒一粒は価値がないのだ。」と宝飾業界の中途半端なプロが言う。一つ一つ粒をそろえる技術が理解されないのが悔しいので百貨店、専門店にいってそれぞれのメーカーのダイアを見てほしい。
この手の職人さんたちの年収は代々300万円程度。農家の仕事を抱えているので決して人件費は高くない。

例えばオメガ。
スイス・ビール州にあるオリンピックの歴代オフィシャルメーカー。
数十億かかるオリンピックの費用負担だけでよく潰れないものです。
元々製品はコストパフォーマンスが高い。いわゆる製造コストの割に安い!
ところが修理費用は普通にかかるのでびっくりするユーザーとのトラブルが絶えない傾向がある。スピードマスターの修理に5万円もするか~!と悲しい争いは避けられない。
ケチな国民性で有名なドイツ人が使う時計。メルケルさんもご愛用!決して高くないのだ。

例えばセイコー、シチズンの国産勢。
いまや国内メーカー90%以上製造地域が中国、東南アジアなのに高い!
長野や岩手の生産地か中国製なのかユーザーには判りにくくはっきりしていない。
量販店では明らかにチャイナケースと書いてあるのに日本製とPOPに書いてあるのも異常。
まして使いすてのソーラー・電波時計なのに高い。

毎週のようにユーザーはソーラー時計を勘違いして電池交換に持ってくる。時計は高級品のイメージがあるので引き出しにしまい込むので使うときには止まっている。これをおバカとののしるか?
わざわざ足を引きずってまで工房へ来てくれる高齢者の皆さんに申し訳ないし、悲しい。

今週はバーゼルフェアー。
時計は高価なアイテムでした。人は生涯3本を購入し壊れると最低2回は修理に出す。
そんな時代があった。
今日はお彼岸。お彼岸が明ける23日からバーゼルフェアの始まり。
この期間工房には遺品の時計が持ち込まれます。どれ一つとっても思い出を引っ張り出すのに無駄な時計はないのだと思う。

「たらの芽のとげだらけでも喰われけり」一茶。
私も今年で62歳。
「とげ」だらけで文句ばっかり言っていた私に給料を払ってくれた上司に感謝のお彼岸なのだ。











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