京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
工房は京都市北区紫竹下竹殿町16だよ!

時計師の京都時間「京の困りごと」

2016-11-08 09:22:30 | 時計修理

11月8日火曜日。今日は伏見稲荷の御火焚きさんの日ということで明日は焼き鳥屋さんに繰り出す予定です。四条高倉下がったところの「禅 車」という変な名前のお店がある。
一人飲んで食べておなか一杯になって6000円はリーズナブル。この店の近くにもっとリーズナブルのお店があるのだが隣客との間合いが狭いので外人観光客がいるなど無用なストレスは面倒だ。
お店は宮崎産の食材なので安心安全でしょう。

私たちの仲間は商売上口が堅い。財布も堅い!
「他人の不幸を食い物にするお仕事で~す!」
おまけにかなりブラック長時間労働で時間給に換算するとコンビニアルバイトに負ける!
外科医、弁護士、時計師なぜか仲がいい訳でもないのだが土日祝日が忙しいお仕事なのだ。

最近そろって電話に悩まされているという。
無料電話相談?音楽と悩み事の相談は無料になったのだ?

いきなり電話で時計の症状を切り出して来る人が増えた。私の工房にも頻繁にかかってくる。
直近では「パネライのサイズ調整を自分でやってみたがドライバーが壊れた。どうしよう?」
回答は「百貨店の修理コーナーへお持ちください」とあっけなく答えた。
パネライ、ロレックス・サブマリーナなどダイバーウオッチのベルトネジは接着剤を使ってある。それはスイスの大雑把な職人のこと、大量に固めてあるのもあるし先端だけちょっとつけている神業のものもある。
それぞれの堅さでアルコールランプかバーナーで温めて接着剤を溶かしてから作業を始めないとドライバーやネジ山を潰してしまいます。
なお6時サイドの駒を多く抜くことで安定化します。12時サイドの駒が簡単に抜けてもダメ!6時サイドから抜いていきます。
 この処理を無難にやってくれるのが百貨店でしょう。町場の時計屋に持ち込むとネジ山を潰されて終わりになることも多い。

「近所の時計屋さんで裏蓋が閉まらなくて戻されてしまったのですがどこへ持っていけばいいのでしょうか?」と東京在住の人からの電話もある。これは答えられない。百貨店でも裏蓋を開けた時計の受け付けはやらないでしょう。京都においでとは言えないし、宅配修理も受け付けていません。

工房の仕事が一通り終わるとチェロの練習を始める。クールダウンの時間です。
いつもスケールの練習をしながら日中の電話のことをぼんやりと思い出します。
ああ言って説明してあげたらよかった。こんな説明もあったな~!などと思い出しながら後悔して落ち込んでしまうのです。

最近、気温の変化が激しいので長い弦のチェロ弾きにはつらい季節がやってきた。
弾いていると音程が狂う。バッハの無伴奏組曲1番プレリュードを何度もミスを繰り返す。
もっと時計の説明と楽器がうまくできないものかと嘆く。

写真はニナリッチ。30年ほど前のクオーツモデルです。
このまま時計メーカーで生涯を終えるか?販売部門に行って世界中の時計に触れて知識を広げられるか?
判断に迫られた30歳代のころに出会ったモデルをみてちょっとしんみりしました。
結果後者を取った結果、太陽に近づき落ちてしまったイカロスの末裔になってしまった。これがターニングポイント、土星貧乏の始まりでした。
メーカーにいるとそのまま給与は安定しているし土日は休み。
販売店は土日は出勤、給与は不安定で勤務地は世界中に広がる。「生活は大変だけどパティック・フィリップが触れるよ!カルティエも毎日手に取ることもできるよ。」と甘い誘惑に負けた!
そんな私と電話で連絡してくる時計大好きの迷子さんたちとはそれほどの違いがないね~と思う。
医者も弁護士もその辺のところはわかっているので回答に苦労して苦しむ時代なのだ。

明日は定休日ですが出張がないので工房にいます。焼き鳥屋さんの開店時間の5時まで営業していますので水曜日がお休みの皆さんはご利用ください。
荒れた道具は工房で、ちょっとやせた心の修理は焼鳥屋さんで快復してきます。
木曜日からまた元気になって仕事をしますよ~。ご利用ください。






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