京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間「京のブサイク」

2017-05-21 09:23:03 | 時計修理

5月21日日曜日。
昨日は仏滅。仏滅だから火災が起きたのか火災が起きたのがたまたま仏滅だったのか?ヨロズ気をつけたい。
今日は大安。めでたく快晴の中での弘法市の開催日のお出かけ日和。

五月病もあとわずかになってきました。6月に入ると五月病とは言わないので今のうちに5月病をやっておく。
今年ご上洛の皆さんは新しい生活にも慣れたでしょうか?砂の真砂と京の心配事は尽きない。

天才ピカソは生まれてから子供のような絵を描いたことがないという。私は幼いころから子供のような顔をしたことがないという老け顔。
大学一回生の時点で4回生のようなオヤジに見えたと人はいう。
先日も阪急梅田駅の混雑した場所でも私は名前を思い出せない人から呼び止められた。卒業以来40年間顔が変わっていないそうですぐにわかった!とアハハ~と勝ち誇られた。
どうも悪いことは出来ない顔らしい。
時計修理の仕事は顔の良し悪しは無関係なのだ。ちゃんと動けばいい。
顔で苦労している人の悩みはよくわかる。時計師になればいい。

時計の顔も良し悪しがある。
写真はショパール。一見普通の時計に見えるがこれがクセモノです。
うっかり手を付けようものならずぶずぶと深みにはまるよ~。有明海の干潟のようなものです。
①ウラブタ固定ネジは通常より幅がせまいネジ1,2ミリを6本外す。すべると傷になるので初心者はこの時点で引き返しましょう。6本のうんざりタイム。
②カンヌキリューズを真上に引っ張り抜く。引っ張る角度を間違えると折れる。すると1万円の補償がいる。
③キャリバーを取りだす際に文字盤をはがさない。うっかり文字盤だけ剥がしてしまうと針を付け直す作業になる。
④古い電池を抜く際に固定されているトラップのような小さな電池固定ネジを緩める。℃rサイバーがすべるとコイルを切る。
⑤新しい電池を入れたあとにネジを閉めないと電池と電極が離れることもあるのでシッカリと締める。ドライバーが滑るとコイルを切る。
⑥キャリバーサイドの巻き芯の位置を垂直に設定しておかないとあとで困る。
⑦防水パッキンを塗布器に入れて掃除。
⑧ケースにキャリバーを入れる際に巻き芯があるサイドから押し込まないと入らない。
⑨リューズを押し込む際にカンヌキの角度に気を付けて強く推す。角度を間違えると1万円の弁償。
⑩無事に動いていることを確認してネジを閉める。最後の最後にドライバーがずれるとキズになるので一番緊張感が漂うシーンが待っている。
⑪お客様にお渡しする際に非防水ですよ~!と注意をしておく。これを伝え忘れると時計を付けたままお風呂に一緒に入る人もいるので必ず言うこと!1000円もらう前に忘れずいうこと!

名古屋の会社にはスピーカーと盗聴器の二種類の人がいます。
私が上記の一つでも失敗すると「こいつ、失敗したがゃ~!」と大騒ぎに騒いで全員に報告する人がスピーカー。
逆にその場は静かに黙っていて後ほど上司に報告する人が盗聴器。「部長!ここだけの話あの人失敗が多いがね~!給料が持ったいないので困るわ~。」
ウイロウと並んでスピーカーと盗聴器も名古屋名物なのだ。

京都人はこんな失敗を発見しても優しく無言でいてくれます。
毎日寝る前にこれを思い出して「あいつ失敗しよった~!」とにやっと笑って寝る。
数年後「スイスフランの高騰であの・ショパールのカンヌキの値段が上がったにゃ~!気をつけなはれや~。」とそれとなく当時の失敗をじくじくと教えてくれる実にありがたい存在なのだ。

今日は大安!昨日の仏滅では失敗しても仏滅のせいに出来るが今日はそうは行かない日。
ヨロズ気を付けましょうね~。








コメント
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