フラメンコ超緩色系

月刊パセオフラメンコの社長ブログ

しゃちょ日記バックナンバー/2017年09月

2017年09月01日 | しゃちょ日記

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2017年9月30日(土)その2999◆出所出迎え

 

朝湯あがりのストレッチとジェーの緑道散歩。
朝刊と珈琲とで、ただいま洗濯&炊飯中。       
焼き海苔と明太子、豚味噌漬とキャベツ炒め、
豆腐となめこと若芽と長ネギの味噌汁、
主役はもちろん炊きたて銀シャリ。
厨房歴四十四年、味はともかく早いのが取り柄。
パセオでなければ、おそらくは流しの三流板前だったろう。
さて、朝めし食ったら車で十分、西新宿・東京医大病院へ。
おいジェー、おめえの大切な相方連れて戻ってくるからよ、
もうちょいだけいい子で待ってな。

 

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2017年9月29日(金)その2998◆動機次第

 

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熱心に状況説明に耳を傾けるジェー。

 

体調を崩し緊急入院した連れ合いが明日退院する。
ここ数日元気なくグレ気味だったジェーは、
彼の愛する相棒が明日帰ってくることをどうやら理解したようだ。
ついさっき、寝る前の散歩では、
いつもは避ける裏の緑道の階段をイッキに駆け登った。
犬も人も、つまりはモチベーション次第ということなのだろう。

 

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2017年9月28日(木)その2997◆フーガの技法

 

考えは言葉となり
言葉は行動となり
行動は習慣となり
習慣は人格となり
人格は運命となる

 

どこかで聞いた確率論だが、きのうの夕刊コラムで、
これがマーガレット・サッチャーの言葉だと知った。
ふーん、まあそんなもんかもと、これまで漠然と聞き流してきたが、
いま改めてこのフーガ風論理を検証してみると、
冷や汗が出るほど冷静な定理と気づく。

 

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2017年9月28日(木)その2996◆旅情

 

くたびれ果てた夜には、案の定、バラードが効く。
『夢の跡~Trail of Dreams』は17年来の愛聴盤。

 

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ジャズピアノの巨匠オスカー・ピーターソンと、
映画音楽(シェルブールの雨傘)でも有名なミシェル・ルグランの夢の協演。
カナダ全土への鉄道敷設をテーマとする壮大な組曲で、
音楽の描き出す美しい情景が淡い郷愁を誘う。
旅の想い出にしんみり浸るような気分に、
安スコッチがどーにも止まらないリンダ困っちゃう状態。
で、もちろん、バラード系が特に佳い。
          
時節柄、アルバムタイトルからはお隣りアメリカの
Trail of Tears(涙の旅路)を連想してしまうが、
勢いカナダの歴史に興味が湧いてくる。

 

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2017年9月27日(水)その2995◆小島裕子ソロライヴ

 

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 あまり表舞台に出て来ないほんまもんの実力者。小島裕子(ひろこ)はまさしく、そうした隠れた大物のひとりである。とにかく一度観ておけという相棒プロデューサーのアドバイスに乗って、初めて彼女を観たのが昨年二月。
 わずか数秒のソレアで彼女はその本領を顕わにする。余分なことは一切やらない、ほど良い重量感の真摯な静けさ。存分にタメの利いた身体から一転して繰り出されるシャープな霊感。上体もブラソも回転も足技もすべてが必然性を帯びながら一体化している。古き良き伝統を継承する本格フラメンコだが、古臭さは微塵もない。決して過度にはならないさり気ない現代性が心地よい。ステージに派手な華は無いが、そういう表面コーティングにまるで興味を持たない矜持と意志が視えてくる。          
 まったく凄い踊り手がいたもんだ。ダレ場のない踊りの経過とともに腰のある感動が蓄積されてくる。アレグリアスを踊っても虚飾は皆無で、暖かで明るい透明な歓びがタブラオを駆けめぐる。ヴィジョンとテクニカがしなやかに一元化される誠実なプロセスが、ここでも着実に積み上げられるが、殊に足技が突出している。サパテアードの超絶技巧と音量・質感・音色は充分エキサイティングなのだが、全体の品性の高さがそれらを敢えて突出させない、実に渋い大人の芸なのだ。        
 こだわりやこねくり回しのないストレートでたっぷりした奥行きの本格正統フラメンコ。この上なく爽やかな余韻。「とにかく一度観ておけ」という相棒の推奨を、そのまま皆さまにトスしておこう!

 

    (月刊パセオフラメンコ2017年10月号~小山雄二)

 

2017年10月26日(木)20時
パセオフラメンコライヴVol.72
小島裕子 ソロライヴ
開演◆20時ジャスト開演(19時半開場 ※終演は21時10分頃)
料金◆4,500円1ドリンク付(税込)
出演◆
小島裕子(バイレ)
石塚隆充(カンテ)
柴田亮太郎(ギター)
伊集院史朗(パルマ)
会場◆高円寺エスペランサ
◎予約受付中!
昼(セルバ)☎03-3383-0246
夜(エスペランサ)☎03-3316-9493
メール予約:selva@tablaoesperanza.com

 

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2017年9月27日(水)その2994◆この月の月

 

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 月々に 月見る月は 多けれど
 月見る月は この月の月

 

来週水曜は〝中秋の名月〟だという。
小さい秋も佳かったが、そろそろと中くらいの秋。
仕事がすんだら、ゆるり月見で一杯だな。
山芋にまぐろ、それとめったに買わねえ上等卵を買い忘れんよーに。

 

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2017年9月27日(水)その2993◆巨匠サウラの最新大作!

 

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ホタ、ホタ、ホタ、ホタ・・・全編ホタである。

 

『カルメン』『血の婚礼』『セビジャーナス』『フラメンコ』などなど、
世界中に上質なフラメンコを発信し続けてきた
名匠カルロス・サウラ監督の最新作は『J:ビヨンド・フラメンコ』。

 

本日午後は京橋でその試写会。
約90分、あの奇抜にして透明感あふれるサウラ節を存分に楽しんだ。
ホタで有名なアラゴン地方は、サウラ監督の生まれ故郷でもあった。
出演はおなじみのサラ・バラス、ギターのカニサレスをはじめ、
バグパイプのカルロス・ヌニェス、ダンサー兼振付師のミゲル・アンヘル・ベルナ、
歌姫カルメン・パリスなどなど多様多彩。
美しい宝石の詰め合わせセットのような・・・ではあるけれど、
やがて泣かせるファンタジー絵巻。であるところがサウラの本領。

 

11月25日より渋谷Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開。字幕監修はあの「小倉真理子!!!」、そのしっくり来る来るクオリティに大満足!

 

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2017年9月25日(月)その2992◆土井まさりソロライヴ

 3年前、私は湘南国際マラソンをゴールして固まる体を無理矢理動かし大磯駅までを更にギクシャク走り、会場に駆けつけたのが土井まさりさんのソロリサイタル「土の声」でした。

 市民アスリートとして個人的な達成感と挫折感を繰り返すなかでフラメンコと出会った私はその一瞬の中に人生の永遠を感じて度肝を抜かれた訳です。そこに生きる意味や日々の暮らしの中で感じる歓びや悲しみを包み込むような優しさや、時に激しく叱責するような厳しさを感じた私にとっては彼女の放った「私にとって、フラメンコは自己表現ではないです。」という言葉に、ならば彼女は何を伝えたいのか、と会場に駆けつけずにはいられなかったのでした。

 軋む身体と心で観たフラメンコは、力強さと妖艶さ、そしてすがすがしさを漂わせ、月の光に虫の声、時折吹き抜ける風に土埃の匂いすら感じたのです。そしてまた走ろうという意欲も湧いてきたのでした。あれから3年、この間に彼女の中のフラメンコはどう深化したのか。リサイタルに匹敵するパセオライヴの1時間はまさに待ちに待った再会の場。

 今、彼女が感じる時代の空気は乾いて熱いのか、冷気をまとう妖しさなのか、あるいは不安を抱えた畏れなのか、と興味は尽きません。土井さんがこの日に掛ける思いと結果は間違いなく観た人全てが個人的な思い入れと共に、これから迎える日々の活動に対する動機付けになると思うのです。結果を求めるのでは無く、受け入れる、その姿勢で彼女の紡ぐ空気を深呼吸して感じたいと切望します。

   (月刊パセオフラメンコ2017年10月号より~石井拓人)

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2017年10月18日(水)20時
パセオフラメンコライヴVol.71
土井まさりソロライヴ
開演◆20時ジャスト開演(19時半開場 ※終演は21時10分頃)
会場◆高円寺エスペランサ
土井まさり(バイレ)
ディエゴ・ゴメス(カンテ)
今枝友加(カンテ)
長谷川暖(ギター)
料金◆4,500円1ドリンク付(税込)
【予約受付中!】
昼(セルバ)☎03-3383-0246
夜(エスペランサ)☎03-3316-9493
メール予約:selva@tablaoesperanza.com

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2017年9月23日(土)その2991◆パセオ最新号!

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フラメンコの定点と変貌を追っかけるパセオ。
なぜか定期購読者急増中。
気まぐれなのか、成熟なのか、時代なのか、それはわからない。
月刊パセオフラメンコ、最新号の読みどころはこちら(↓)
http://www.paseo-flamenco.com/monthly/2017/09/201710.php

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2017年9月22日(金)その2990◆ディエゴ・ゴメス

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 日本で活躍するスペイン人アーティストは少なくないが、その中でも間違いなく売れっ子と呼べる歌い手の一人がディエゴ・ゴメスだ。
 フラメンコの歌い手にもいろいろと傾向があって、たとえばアグヘータのような怪物もいれば、マイテ・マルティンのような美声の歌い手もいる。同じように咆えるような歌でもチャノ・ロバートとチョコラーテは違うし、美声でもアルカンヘルとミゲル・ポベーダは違う。抜群の音程と歌唱を誇るカマロンはパーフェクトとしか言いようが無い。こうした素晴らしい歌い手に共通しているのは、声が魅力的だということだ。
 翻って、ディエゴ・ゴメスは踊り手の背中を押すような迫力のある歌も歌うが、本筋としては美声のカンタオール(ラ)だろう。前回のパセオライヴでもカディス出身らしい小気味良い歌を、得意の美声で聴かせてくれた。付け加えると、ディエゴは2002年にラ・ウニオン市のカンテ・デ・ラス・ミーナスコンクールの決勝まで勝ち進んだ実力の持ち主でもある。
 ディエゴの歌はとにかく美しかった。前回はソレアやシギリージャといったカンテ・ホンドは歌わなかったが、この日はどうだろうか。いつだったか、アンダルシアの各地域をあたかも旅するかのようなスタイルで様々なカンテを聴かせるという芸達者ぶりも見せたこともあったそうで、魅せ方も心得たスマートさもディエゴの魅力だ。
 
 (月刊パセオフラメンコ2017年10月号より~小倉泉弥)


2017年10月12日(木)
パセオフラメンコライヴ vol.70
ディエゴ・ゴメス ソロライヴ
出演◆
ディエゴ・ゴメス(カンテ)
エミリオ・マジャ(ギター)
三枝 雄輔(パルマ)
稲田 進(パルマ)
会場◆高円寺エスペランサ
開演◆20時ジャスト開演(19時半開場 ※終演は21時10分頃)
料金◆4,500円1ドリンク付(税込)
【予約受付中!】
昼(セルバ)☎03-3383-0246
夜(エスペランサ)☎03-3316-9493
メール予約:selva@tablaoesperanza.com

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2017年9月21日(木)その2989◆逆さ鏡

「子供の頃は確かにお調子者だったようだけど、
 長じてすっかり落ち着いて、今のこの人がある。
 冬には日だまりのよう、夏には木陰のように優しい」

(きのうの東京新聞夕刊の連載小説、宮部みゆき『あやかし草紙』より)

 なんて美しい一節。
 冬には寒々しく、夏には暑苦しいわが身を映す逆さ鏡。
 ふんわりと心みちびく文学の夢。

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2017年9月20日(水)その2988◆本日20時ゴング!

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9/20(水)20時ゴング!
座席指定は即日完売、座れる立見席は本日15時までにお問い合わせを。
また連絡なしの当日ドタキャンはどうかご勘弁。
本番では空いてしまうことになるいい席を実際のご来場の方に提供したいので、
遅くも開場一時間前までにご連絡よろしく!
てことで、例によってプログラムのフライング公開。

パセオフラメンコライヴVol.069
山室 弘美 ソロライヴ
http://www.paseo-flamenco.com/daily/2017/09/2017920.php#005986
2017年9月20日(水)20時開演
於:高円寺エスペランサ
主催:月刊パセオフラメンコ&エスペランサ
【出演】
山室弘美(バイレ)
西井つよし(ギター)
石塚隆充(カンテ)
吉田光一(パルマ)
【プログラム】
1 vidalita y farruca
2 músicos
3 alegrías
4 músicos
5 soleá          
     
フロントは(国語・算数・理子・社会で)おなじみの吉野理子、
バックと撮影は小倉編集長、残り少ない頭髪をさらにカットした哀愁ドアボーイと
公演忘備録(パセオ12月号)とハードパンチャーのセコンド担当はおれ。

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2017年9月19日(火)その2987◆正路あすか初登場!

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「う~む、ひと味ちがうよね」

格調高き主体性のどっしりライン。
夏の協会新人公演の有終を飾った奨励賞ゲストOBの正路あすかさん。
仲間たちの賛意を得てメールでパセオライヴ初登場を打診すると、
気持ちよくオッケー返信してくれた。
時期は来年七月で暫定。
ソロでじっくり観たい聴きたい人の種は尽きないことに、
今宵のわたしはたいへんな上機嫌で、これからスパークリングワイン!

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2017年9月19日(火)その2986◆女王さまの反射神経

パセオフラメンコライヴ2018
2018年5月24日(木)川島桂子(踊り) ←(汗・・・

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パセオライヴ最新フライヤー1万部のガッツリ誤植。
夏の新人公演、喧騒のロビーで川島めっけて平謝り。
すると日本を代表するフラメンコ女性歌手は、泰然とこう笑う。

「コワイモノ見たさで、即売り切れかもっ」

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2017年9月18日(月)その2985◆お静かに

月曜祭日。連れ合いのスタジオの番犬業務(勤続十五年)は
本日お休みだというので、尻尾をプルプルさせながらジェーもパセオ出社の意向。
春から始めた実務インフラもだいぶスッキリしてきて、
どーやら今月中にメドも立ちそうなので、今日はその先食い追い込み。
何事も始めなければ始まらないが、始めちまえばこっちのもんだ。
お江戸を避けてくれた台風一家だが(←未だそのイメージ)、
行く先々であんまり暴れねーでいてくれることを祈る。

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2017年9月16日(土)その2984◆三年ぶりのエバ

三年ぶりのエバ・ジェルバブエナ。
明日日曜は渋谷オーチャード15時『 Apariencias~仮面 』を観る。
来日公演のフライヤー(↓)の裏面で予習しておこう。

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アパレンシアとは外観、見せかけという意味。
そのタイトル通り、オープニングでアフリカのボーカルを踊る、
坊主頭に赤い衣装をつけた筋肉隆々とした
男性コンテンポラリーダンサーは、実はエバ。
「フラメンコは何よりも現代的」と語る彼女が、
フラメンコの伝統とルーツにインスパイアされ、想像をはばたかせる。
限りない自由をもって。

スカートの男性。スペイン国立バレエ団出身の二人をはじめとする
四人の男性ダンサーたちが描く美しいかたちと動き。
仮面をつけたエバ。翻るマントン。言葉。マラゲーニャ、ペテネーラ。
そして最後、エバが踊る渾身のソレアに観客は皆圧倒されることだろう。
フラメンコのパワーを、エネルギーを感じさせる作品であることに間違い無い。
           
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2017年9月15日(金)その2983◆湯たんぽ戦略

「要するに、業界を温めたいのね?」

直観と機転の人、代々木時代の呑み友・明子は云った。
ライヴ当日の助っ人を引き受けてくれる彼女のパセオライヴについての感想。
外部からの冷静な視点にはいつもハッとさせられる。

二十代からの三十四年、月刊誌を出すのも何かやるのも、
詰まるところはそういうアバウトな初心だったかと。
綺麗ごとと稼ぎ仕事とがカラフルに混在する様々な選択肢から、
清濁併せ呑み正解らしきを抜き取るシンプルな指針。
「それによってフラメンコ界はあったまるか?」
哀しいほどにちっぽけな器量であっても、
そこさえしっかりつかんで歩んでゆくなら、どうやら食いながら、
退屈せずに暮らしてゆけるんじゃないかと楽観する他力本願。

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2017年9月15日(金)その2982◆奥濱春彦の至芸

これぞマルシギ!
これぞソレア!
これぞタラント!
これぞアレグリ!

ヌメロの踊り分け、それぞれの鮮やかな彫りの深さに、
思わず感嘆の溜め息が漏れる。
伝統美を際立たせる格調高き未来派。
見通しとタメの利いた技術は常にスタイリッシュで逞しい。
タブラオ空間は溢れんばかりの〝美〟で満ち充ちた。
もちろんクラシコ(ファリャ・はかなき人生)も大喝采。

全編しびれにしびれた昨晩の奥濱春彦パセオライヴ。
ぶらり小松原庸子さんご来場、カウンターに優雅に腰掛け、
その存在感だけで開演前の観客席をビビらせていた。

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2017年9月13日(水)その2981◆奥濱春彦ライヴ!

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「いま、男性トップかもしれないですね」

そういう感想をちらほら聞くようになった昨今。
◎印の注目バイラオールは私にも数名いるが、
彼に注目し始めたのは十年ほど前。
精緻にして風林火山の如き趣がある。
日本人としての特性がユニバーサルな領域に達する原動力になっている。

いよいよ明日木曜、シリーズ初登場となる奥濱春彦ソロライヴ。
座席指定はソールドアウトだが、座れる立ち見席は
若干残っているので木曜17時までに当日予約を(☎03-3383-0246)。
で、例によって演目のフライング公開。

パセオフラメンコライヴVol.068
奥濱 春彦ソロライヴ
2017年9月14日(木)20時開演 高円寺エスペランサ
【出演】
奥濱 春彦(バイレ)
ディエゴ・ゴメス(カンテ)
ペペ・マジャ・マローテ(ギター)
【演目】
1.マルティネーテ・イ・シギリージャ
2.ギターソロかカンテソロ
 (またはクラシコエスパニョール=CD)
3.ソレア
4.五分休憩
5.クラシコエスパニョール(CD)
6.タラント
7.カンテソロ
8.アレグリアス

月刊パセオフラメンコ忘備録(11/20発売号)の執筆とフロント担当は若林作絵、
バックと本誌忘備録撮影は小倉編集長、代表戸締り役はおれ。

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2017年9月12日(火)その2980◆全面肯定

もしもどちらか
もっと強い気持ちで
いたら愛は続いていたのか

風呂上がりのビールと夕刊で寛いでいると、
テレビから流れる布施明の絶唱(積木の部屋/昭和49年)が
いきなり胸を直撃し、懐かしさで一杯いっぱいになる。
高校出たら即同棲、それが東京下町・青春の王道だったあの時代。
変わらぬ布施さんの全身全霊の熱唱は人生を全面的に肯定していて、
その潔い歌唱力にほろりと来た。
タイプは違うが、なぜかディエゴ姐さんを想い出した。

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2017年9月12日(火)その2979◆父帰る

人の世の、美しい対話

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2017年9月11日(月)その2978◆月曜チャージ

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「片手に伝統、片手に革新」

シャズやロックやクラシック、永きにわたる異種格闘技修行の末、
ついにフラメンコに還ったパコ・デ・ルシア。
冷や汗もののインプット、そしてリスク満載のアウトプット。
1987年発表の『SIROCO/熱風』は
フラメンコそのものの国際的ステータスを確立した。
思う存分ふにゃらけた休日の翌朝、まずは冒頭ラ・カニャータ
(タンゴス)で秒速エネルギーチャージ。

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2017年9月10日(日)その2977◆すみませんべい

三時のおやつに食いたい気分だ。

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2017年9月9日(土)その2976◆根気のスパン

緑と赤を見分ける人間の識別機能。
森の中で赤い実を見つけるために発達した能力だという。
ヴィジョン達成までに何万年かかったことだろう。
根気というのはそーゆーものなのね。
いろいろと腑に落ちるわ。

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2017年9月9日(土)その2975◆ろばと親子

父子がロバを売りに市場へ出かけた。
二人でロバを引いて歩いているとある人が云う。
「せっかくロバを連れているのに、乗りもしないなんてもったいない」
そこで父は子をロバに乗せる。

しばらく行くと別の人が云う。
「親を歩かせるなんてひどい息子だ」
そこで父がロバに乗り、それを息子が引いて歩く。    

さらに行くと別の人が云う。
「我が子を歩かせるなんてひどい父親だ。二人で乗ればいいのに」
そこで今度は二人でロバに乗る。

するとまた別の人がこう云う。
「重くてロバが可哀想そうだ」。
父子は長い棒にロバの両足をくくりつけ二人で担いで歩く。

不自然に辛い姿勢にやがてロバは暴れ出し、
不運にもそこは橋の上であり、
暴れたロバは川に落ちて流されしまう。
おしまい。

これはまさしく世界共通、現代のお話。
そう指摘する新聞エッセイを読んで、小学校の図書室で
このイソップを知った頃の心情を想い起こす。
うーむ、勝っても負けても自分で決めちゃう方針は
この強烈な物語の影響だったか・・・そんなんで、
人の話を聴く知恵が身に付いたのは、ごく最近のことである(汗)

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2017年9月8日(金)その2974◆9/20山室弘美ライヴ

純白のドレス、笑顔ひとつないアレグリアス。
全編静かなるコラヘ(怒り)で踊るアレグリにド肝を抜かれた。
シンプルにして人の心を鷲づかみにする力がある。
それは2011年東日本大震災のチャリティライヴにおける
山室弘美による神聖なる舞い。
内面に強烈な感情を秘める山室のストイックな哀悼は
今も脳裏にくっきり残る。

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今枝友加の最初のバイレ師匠であることや、
舞台演出にも優れて独創的なセンスを発揮することも
複数の信頼筋から聞いていた。
パセオライヴの観客として来場した彼女と初めて会話を交わし、
その場で出演依頼したのが一年ちょっと前。
いつか彼女を引っ張り出そうと静かに網を張っていたのだ。
作との評判も高い、そんな彼女の演出作品"VIVE O MUERE"
(2015年夏エスぺランサ初演、翌年秋の座・高円寺での小島慶子リサイタルで再演)を
踊ったパロマ小島慶子は、盟友・山室弘美をこう語る。

「弘美さんのプロデュース・演出による作品の独特な世界観、
その強いパワーにすぐに引きずり込まれました。
演出は奇抜でも根底はフラメンコへの愛に溢れていました。
あの作品は私を自由へと解き放ってくれました。
優れた踊り手なのに演出に徹し、人一倍の責任感で創造した世界を
具現化する力のある人、彼女は真の表現者です。
あけっぴろげに見えて実は繊細で人の痛みのわかる人だからこそ、
彼女のフラメンコは説得力を持つのでしょう。
なかなか観ることのできない彼女だけのフラメンコを、
このパセオライヴで堪能できることを楽しみにしています!」

(月刊パセオフラメンコ2017年9月号より~小山雄二)

2017年9月20日(水)
パセオフラメンコライヴVol.69
山室弘美ソロライヴ
【出演】
山室弘美(バイレ)
西井つよし(ギター)
石塚隆充(カンテ)
吉田光一(パルマ)
※座席指定ソールドアウト、立ち見席キャンセル待ち
http://www.paseo-flamenco.com/daily/2017/09/2017920.php#005986

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2017年9月7日(木)その2973◆本日石井智子ライヴ!

総勢14名出演、ホタまで出るよ。
いよいよ本日、石井智子ソロライヴ!
まだ、少し入れそうなので、ご希望の方は
本日17時までにご連絡を(☎03-3383-0246 セルバ)。
    
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ところで。
月に三回、パセオライヴのある日は、一日を二つに分ける。
仕事は9~16時で、第一部終了。で、歩いて5分の自宅に戻り、
ひとっ風呂浴びて軽い夕食。
そして、18時に現場エスペランサに向かうところから
本日二つ目の一期一会が始まる。
荷物が多いのでワンメーターちょいのタクシー移動。
準備・リハ・客入れが済めば、待ちに待った鬼のライヴに没入、
終演後にギャラ計算を済ませば、あとは誰でも呑み放題1,500円コースの打ち上げ。
主役や協演者、多彩な来場者たちとのゆるゆる呑み二ケーションには、
いつもたくさんの新発見とネタ拾いと歓びがある。
さすがに昨今はシンデレラ帰りだが、
パセオ忘備録担当の場合もその夜のうちに書いてしまう。
あとが詰まっちゃうからではなく、
この歳だと物理的にあとが無いから逆に迷いがない。
てなわけで、一粒で二度おいしい大安吉日、
残り少ない人生の最初の一日。

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2017年9月6日(水)その2972◆奥濱春彦ライヴ!

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 奥濱春彦さんの存在は特別だ。恵まれた体躯を駆使した巨大な踊りは迫力満点である。そしてバイラオールでありながら、バタ・デ・コーラを豪快にかつ美しく空中へ巻き上げる姿は、あたかも風神雷神を思わせた。

 これまで何度か奥濱さんの舞台を拝見したが、そのいずれもビシッと引き締まった姿で魅了していた。立ち姿には本来見えるはずのないイメージとしての身体の軸が、頭から背中を通って足先までぶっとく貫いているのが、はっきり見えるようだった。

 今度のパセオライヴで、ゆっくり話を訊いてみたいと思っていることがある。それは、フラメンコ舞踊を音楽として捉えているかどうかだ。奥濱さんのサパテアードは美しい。見目麗しいだけではなく、音色が端正で、そして音階がある。踊りながら、時にさえずりのように、時に慟哭のように響く靴音は、背景を流れるカンテやギターの響きとあいまって、ひとつの楽曲となるのだ。

 何も考えずに、いや、何も感じずに、このように魅力的なサパテアードを繰り出すことができるだろうか。きっと奥濱さんの耳や肌には、音楽が感じられているはずだ。
 バイレはミュージカルではないので、踊りながら歌ったりはしないが、しかし、奥濱さんは舞いながら奏でている。
 奥濱さんの踊りから感じられるものは数多い。歌舞伎に見えたり、彫刻に見えたり、映画に見えたりする。その芸術家としての重厚な積み重ねを、この目で再度確認したい。

 (月刊パセオフラメンコ2017年9月号より~小倉泉弥)

2017年9月14日(木)
パセオフラメンコライヴVol.68
奥濱春彦ソロライヴ
【出演】
奥濱春彦(バイレ)
ディエゴ・ゴメス(カンテ)
ペペ・マジャ・マローテ(ギター)
http://www.paseo-flamenco.com/daily/2017/09/2017914.php#005985

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2017年9月5日(火)その2973◆四十周年のプレライヴ

どーよ、このバリエーションとボリューム!!!

あさって木曜晩の石井智子ソロライヴ。
11月の四十周年リサイタルのプレライヴとあって、
男前の智子さんらしい大盤振る舞い。出演者数も最多新記録!

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★石井智子ソロライヴ(9/7木20時スタート)プログラム
         
1、グァヒーラ   石井智子
2、ホタ      中島朋子、桑木麗、清水真由美
3、カンテソロ   井上泉
4、グラナダの洞窟 
    松本美緒、小木曽衣里子、福田慶子、
    杉浦桃子、樋口万希子、角谷のどか
5、ファルーカ   石井智子 
6、ギターソロ   エミリオ・マジャ
7、ボレラセビジャーナス
    桑木麗、清水真由美、杉浦桃子、樋口万希子
8、カンテソロ   ディエゴ・ゴメス
9、アレグリアス  石井智子

  フィン・デ・フィエスタ 全員
         
http://www.paseo-flamenco.com/daily/2017/09/201797.php#005984
本誌パセオ忘備録(11月号)執筆は白井盛雄、フロントは御子柴明子、
バックと撮影は小倉編集長、そして打ち上げ担当(率先して呑む係)はおれ。

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2017年9月5日(火)その2972◆体力勝負

シャープにして繊細。正確にしてスピード抜群。
永らくパセオフラメンコのチーフデザイナーを務める大宮直人が、
所属のデザイン会社を円満退社し独立するという。
一瞬冷や汗もんだったが、フリーになってもパセオは継続ということでひと安心。
デザイン会社(ルヒア)ともうまくいってるだけに心境はやや微妙。
ルヒアの気のいい営業・武田くんや小倉編集長とともに、
明晩は大宮くんの独立を祝う呑み会。
中野北口あたりでその明るい船出を祝福したい。
おっとその前に16時より、新規協業プロジェクトの会合。
この世にうまい話などあるわきゃねーが、先方の話のクオリティによっては、
ちょっと忙しくなるかもだ。体力勝負の秋だな。

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2017年9月4日(月)その2971◆石井智子ライヴ!

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 石井智子を形容する言葉に「エレガンシア」がある。小松原庸子スペイン舞踊団のセンターで踊っていた時代は、大輪の白いバラが舞台で咲き誇るようだった。子育て期を経てもう一度走り出した彼女は、足しげくスペインに通い、かつ、精力的に作品を発表し始める。ディエゴ・カラスコと共演した「エル・コンパス」、モライート・チコとの「MAGIA」、「コローレス」、「ラ・ペテネーラ」、「ロルカ三部作」等々、まるで情熱が堰を切ったかのようだ。

 その多くの作品で新たな共演者と組む。熟練したベテランとも組み、新進気鋭の若手とも組む。ときにはフラメンコの原点のような素朴な踊りに興じ、ときにはコンパスだけを言語にした際どいせめぎ合いをし、日々生まれてくる新しい音楽・新しい振付が加わっていく。まるでフラメンコを習いたての人のように、柔軟でみずみずしい。だから、石井智子は変化し続ける。「石井智子? ああ、エレガンシアの人ね」と思っていたら、それは間違いではないけれども、大輪の花を咲かせながらも新しい枝葉を伸ばし、別な色の、別な花も咲かせているのが今の彼女だ。

 パセオフラメンコライヴは、普段の劇場公演ではプロデューサーであり、ディレクターでもある彼女が、素の踊り手になる貴重な機会だ。大劇場の隅から隅まで届くオーラ、一つのヌメロを形成する器量の大きさ、そしてフラメンコを丸ごと受け入れるような柔軟でみずみずしいかわいらしさ。そんな今の石井智子に会えるに違いない。

(月刊パセオフラメンコ2017年9月号より~若林作絵)
            
  
パセオフラメンコライヴVol.67
石井智子ソロライヴ
2017年9月7日(木)
【出演】
石井智子(バイレ)
中島朋子(ホタ)
石井智子スペイン舞踊団(バイレ)
 松本美緒/桑木麗/小木曽衣里子/清水真由美
 福田慶子/杉浦桃子/樋口万希子/角谷のどか
エミリオ・マジャ(ギター)
ディエゴ・ゴメス(カンテ)
井上泉(カンテ)
三木重人(ヴァイオリン)
http://www.paseo-flamenco.com/daily/2017/09/201797.php#005984
     
写真は前回パセオライヴの親子協演(撮影は小倉編集長)。
座席指定は数枚アリ、濃厚なプログラム内容は明日ご紹介!
        
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2017年9月4日(月)その2970◆すっぽかされちゃった

今来むと 言ひしばかりに 長月の
有明の月を 待ち出でつるかな

よーするにすっぽかされちゃった歌なんだが、
かるた(百人一首)取りに凝った頃から、
妙に惹かれた素性法師の名作。
まあ、人間の機能上、センチメンタリズムにも
深くしぶとい救いはあるとゆーことで。
四季折々楽しみは多いけれど、やっぱり秋はいいねえ。

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2017年9月3日(日)その2969◆伝統と革新

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臨機応変。
NHKの英断がうれしい。

注目の藤井聡太四段と森内俊之九段(第十七代永世名人)の
好カードを、本日10時からライヴ中継する。
いつもはすべて録画対局だから、異例中の異例とも云うべき快挙。
全国数百万人の将棋ファンはテレビに釘付けである。

両者の作戦も勝敗の行方もまるで予測がつかない。
どちらが勝っても凄まじい好勝負となるだろう。
伝統と革新。どちらにも勝って欲しいが、
心の底ではやや森内名人寄りであることに気づく。

30分後にスタート。
ドキドキしてきた。

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2017年9月2日(土)その2968◆ダメ出し

ダーウィン『種の起源』は、
『主の機嫌』に左右される生き方にダメ出しする。

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2017年9月2日(土)その2967◆シレンシオ

これから原稿書いてがっつりブランチ。
午後からジェーと出社で重いコンダラ汗だく業務。
沈む夕陽とともに北口でどんちゃん騒ぎ。
楽しい土曜の試練塩的バランス。

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2017年9月1日(金)その2966◆惜しい

夏祭り去り
吹く風は秋
されど気分は春
惜しくもフトコロは冬
     
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2017年9月1日(金)その2965◆忖度

どんでん返しをでんぐり返しと
まつがえた大御所。
全員気がつかないふりをした。

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