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No1376『ヒトラーへの285枚の葉書』~一粒の砂の力を信じた夫婦の実話~

ナチスに関する映画は、幾つもつくられていますが、
武器を使わず、人も殺さず、ペンとカードだけで、反ナチスを掲げた
ベルリンの一介の職工夫婦の実話を基にした映画。

1940年、ナチスがパリに入城したヒトラーの絶頂期。
カギ十字のナチスの旗が町中にはためく中、
ヒトラーのおひざ元の、首都ベルリンで、
ナチスやヒトラーを批判したメッセージを手書きで書いた葉書が、
街のあちこちに置かれるようになりました。

「総統は私の息子を殺した。あなたの息子も殺されるだろう」
「ヒトラー政権では暴力が正義に勝つ。加担するな」
「この自由な報道を広めよう。人殺しヒトラーを止めろ」

カードを書いて、公共施設の入口やあちこちに置いていたのは、
十代の一人息子をソ連戦線で喪ったしがない職工長の夫婦。夫の言葉が心に残ります。

自分は一粒の砂でも、
皆が機械に向かって砂を投げ込むのを見てみたい…。

戦争へとつき進む戦争マシンを止めたいという固い思いが
彼を動かしたとしても、捕まれば死刑で、しかも、すぐ結果が出るわけでもない地道な行動を、
淡々と続けた彼の心境は如何と想像します。

映画は、夫婦二人の心の絆を丁寧に言葉少なに描いていきます。
強い信念と愛で結ばれた二人の深い絆、目と目の演技、握りしめる手と手に、
ただもう涙が抑えきれませんでした。

約3年間、捕らえられるまでに書いたカードは285枚。
拾った人は、怖くてすぐ公安に届け、267枚がゲシュタポの手に届けられたそうです。

密告が横行しユダヤ人が連行され、ナチス一色の世相が描かれ、言論の自由がどんなに大切か。
親ナチスというだけで、非人間的な行為がまかりとおり、
「まっとうな人間」でいられない社会の怖さがつきつけられます。

犯人捜しをするゲシュタポ側の人間の描き方も克明で、
最後の映像は、原作者の願い、希望のようにも思えました。

実際にあった「ハンペル事件」についてのゲシュタポの記録を基に、
1946年ドイツの小説家ハンス・ラファダが一気に書き上げ、
3か月後に亡くなったそうです。

ドイツを舞台にしていながら、英語の映画というのは、
当初、ドイツ語で製作の予定でしたが、資本が集まらず、暗礁していたところ、
英訳本「Alone In Berlin」がベストセラーとなり、英語での製作となったそうです。
エマ・トンプソン、ブレンダン・グリーソン、ダニエル・ブリュールと名優がそろいました。

地味な映画ですが、当時の街の雰囲気も伝わり、ぜひ観てほしい力作です。

参考に、ふと思い出したナチス関連の映画をあげると、
アウシュヴィッツ裁判を描いた「顔のないヒトラーたち」
1939年ヒトラーを暗殺しようと一人で計画した「ヒトラー暗殺、13分の誤算」
とありますが、子どもが収容所から逃げのびた映画とか、このほかにもたくさんありますね。

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