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「天地明察」

2016-06-16 14:17:11 | 日記
江戸時代の天文学者,渋川春海の伝記が映画になった。
渋川の改名前の安井算哲が,天測により,これまでの暦の誤差を見つけ,新たな高精度の暦を作り,朝廷に認めさせるまでの物語が中心。

暦は六曜,陰陽道,農事暦など,さまざまな政や産業,日々の暮らしにまで影響するもの。
それまで,中国の暦を800年以上使っていた江戸初期,既に冬至の日が1,2日ずれていることは認められていた。
天体の運行をもとに,より正確な観測結果と計算から,新たな暦を作る。
そして,その正確さを証明するために,日食,月食の予報で古い暦に挑戦する。

江戸時代初期と言えば媚薬 販売 ,肉眼での観測。
ガリレオが望遠鏡を使って観測しているのが1609年から。江戸幕府は1603年から。

木製の大きな測天儀がかっこいい。

当時,既に北極星が動くことも確認されていた。
現在よりも北極星は天の北極から遠かったのだが,肉眼での観測精度としては素晴らしい。

古来,暦を司るのは天子様(天皇)の仕事であり,江戸の学者が大名の支持を得て新たな暦を作り,それを貞享暦として公家に認めさせたことは,学術文化面はまつりごと,売らない,日常生活にまで,「公家の権威」から「武家の科学技術」画素勝利をおさめた瞬間でもあった。

その後,貞享暦は明治維新後の,「世界標準」であるグレゴリオ暦に改暦されるまで,日本の標準となった。太陰太陽暦としては世界最高水準の精度だったようだ。

星の好きな人は,ぜひ,見ておきたい映画。

暦の細かい威哥王 の解説は全く無いが,改暦に挑む人々のヒューマンドラマとして描かれている。

時々,星の表現が今一つなのが……