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著書『誇りに思う日本人たち』
『ビッグショッツ』
『黒い火』ほか

4月22日・カントの自由

2017-04-22 | 思想
4月22日は、地球環境について考える日「アースデイ」だが、この日は哲学者イマヌエル・カントの誕生日でもある。

イマヌエル・カントは、1724年、東プロイセンのケーニヒスベルク(現在のロシア領カリーニングラード)で生まれた。父親は馬具職人で、イマヌエルは9人きょうだいの4番目の子どもだった。
カントは、貧しい境遇のなかで、教会の牧師や、親戚から援助を受けながら学校に通い、ケーニヒスベルク大学に入学した。大学時代にも友だちから服を援助してもらったりした。
22歳のとき、父親が没した。貧しく、葬式代がないため、公費で葬式を出した。カントは教会のノートにこう書いた。
「寂し、貧し」
カントは、大学をやめ、それから家庭教師などをしながら生活していたが、31歳のとき、同大学の私講師となった。以後、大学で教えながら、哲学の研究生活に入った。
カントは生来、虚弱な体質だったため、本人もそれを意識して、規則正しい生活に努め、健康に留意しつづけた。彼の講義は大学ではとても人気が高かったそうだが、カントはとうぜん、講義に遅れるようなことはなかった。生涯を通じて、時計の針のような規則正しい生活を送ったカントだが、唯一、38歳のころ、ルソーの『エミール』を読んだときだけは、読書に熱中して散歩の時間を忘れたという。彼は『エミール』によって、人間の尊厳を敬うことに目覚めた。そして『美と崇高なるものの感情にかんする観察』を書いた。
いくつかの大学からの教授就任の誘いを断っていたカントは、46歳のとき、ケーニヒスベルク大学の論理学・形而上学の正教授に就任した(62歳のとき、同大学の総長に就任し、その職を72歳まで務めた)。
57歳のとき『純粋理性批判』を出版。以後、『実践理性批判』『判断力批判』『永久平和のために』などを書いた後、1804年2月に没。79歳だった。

カントは、人間の認識についての立場を従来の哲学とは逆転させ、いわゆる「コペルニクス的転回」をおこなった人である。カントは、人間の認識の方法を「ア・プリオリ」と「ア・ポステリエリ」に仕分けして、哲学の範囲を確定した。そしてまた、カントは、人間の自由や、道徳について、崇高な、ひじょうにきびしい定義をした人でもある。

カントは、人間が欲望や本能にしたがって行動することは「自由」でないとみた。お腹がすいたから食べたいとか、いい服が着たいとか、いい家に住みたいとか、そんなものは「自由」でもなんでもない、ただ、欲望に突き動かされているだけで、本能の奴隷になっているにすぎない、と。そうではなくて、「これが、人間として自分のなすべき義務だ」と考えて自律的に行動してこそ、はじめて「自由」な行動になるのだ、と。
道徳についても、個人的に、無条件に「なすべきだ」と考える行為が、そのまますべての人がなすべき行為と一致して、はじめて道徳的な善と言える、と、とてもきびしい考え方をしている。カントに言わせれば、現代日本人のほとんどは「自由な人間」でも「徳のある人間」でもなくて、ただ、抜け目なく、利にさとい、そろばん勘定にたけた、欲望に支配された奴隷、ということになるのにちがいない。

カントの墓の墓碑銘には、彼自身のこういうことばが刻まれている。
「我が上なる星空と、我が内なる道徳法則、我はこの二つに畏敬の念を抱いてやまない」
(2017年4月22日)



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