1日1話・話題の燃料

これを読めば今日の話題は準備OK。
著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

1月19日・エドガー・アラン・ポーの凄味

2018-01-19 | 文学
1月19日は、文豪、森鴎外(本名・森林太郎)が生まれた日(文久2年)だが、米国の作家、エドガー・アラン・ポーの誕生日でもある。

エドガー・ポーは、1809年、米国マサチューセッツ州のボストンで生まれた。両親はともに俳優だった。エドガーは3人きょうだいのまんなかで、上に兄、下に妹がいた。
エドガーが生まれた翌年、父親は家族を捨てて出ていき、その後、母親が肺結核で没したため、エドガーは、ヴァージニア州リッチモンドに住む裕福な商人で、ジョン・アランという人の家に引き取られた。そこで彼は、エドガー・アラン・ポーという名を名乗ることになった。
ヴァージニア大学に1年ほど通った後、18歳のとき、年齢を22歳といつわって陸軍に入隊した。陸軍士官学校をへて、雑誌編集にかかわるようになり、編集者として辣腕をふるいながら、詩や短編小説を発表しつづけた。
ポーは、米国ではじめて著述によって生活を立てようとした作家と言われる。が、当時はまだ著作権が確立されておらず、経済的にはひじょうな困難を強いられた。
発表した作品は好評で、ヨーロッパでも高い評価を受けたが、経済的には恵まれず、貧しい生活のなかで執筆を続けた。
1849年10月、メリーランド州ボルティモアの路上で倒れ、うわごとを言っているところを発見されたポーは、病院に担ぎ込まれ、その4日後に没した。40歳だった。
作品に、世界最初の推理小説といわれる『モルグ街の殺人』、短編小説に『アッシャー家の崩壊』『黄金虫』『黒猫』、詩に『大鴉』などがある。

ポーの作品は拙著『名作英語の名文句』の1、2の両方で取り上げた。

エドガー・アラン・ポーよりも江戸川乱歩の名を先に知っていた。
小学生のときにはじめて読んだポーの小説は『メールストロムの旋渦』だった。すごい話だった。『死霊』を書いた埴谷雄高もこの作品を絶賛していた。
それは、船乗りが海で巨大な渦に巻き込まれた体験を語る話で、その人は機転をきかせてかろうじて助かったのだけれど、子どものときに読んでいて感じた、あのなんとも言えない恐ろしい印象は、いまだによく覚えている。この小説は、村上春樹の『スプートニクの恋人』に影響を与えていると確信している。

ポーの書いたものには、宿命の響きがある。人間のもつ重たい運命を、わしづかみにしてきて、どんっと机の上に置いて見せた、そういう凄味がある。
(2018年1月19日)



●おすすめの電子書籍!

『ここだけは原文で読みたい! 名作英語の名文句2』(金原義明)
「メールストロムの旋渦」「ガリヴァ旅行記」から「ダ・ヴィンチ・コード」まで、英語の名著の名フレーズを原文(英語)を解説、英語ワンポイン・レッスンを添えた新読書ガイド。好評シリーズ!

『ここだけは原文で読みたい! 名作英語の名文句』(越智道雄選、金原義明著)
「黒猫」「風と共に去りぬ」から「ハリー・ポッター」まで、英語の名作の名文句(英文)をピックアップして解説。英語ワンポイン・レッスンを添えた新読書ガイド。


●電子書籍は明鏡舎。
http://www.meikyosha.com

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする