1日1話・話題の燃料

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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

1月13日・マイケル・ボンドの昇華

2017-01-13 | 文学
1月13日は、日本画家、狩野芳崖(かのうほうがい)が生まれた日(文政11年)だが、児童文学家、マイケル・ボンドの誕生日でもある。『くまのパディントン』の作者である。

マイケル・ボンドは、1926年、英国イングランドのバークシア州ニューベリーで生まれた。同州の都市レディングで育ったマイケルは、鉄道の駅に行って汽車を見るのが好きな少年だった。母親がそこの学校の制服のカラーが好きだったからという理由で、レディングのカトリックの学校に入れられたマイケルは、ベルトで折檻するその学校がいやで、14歳のときに学校をやめてしまった。彼はBBC放送局の技師助手となったが、第二次世界大戦がはじまり、レディングに大空襲があり、彼が働いていたビルは空襲で崩壊し多くの死者が出た。が、彼は奇跡的に助かった。
戦時下、マイゲル・ボンドは英国空軍に17歳で志願した。しかし、飛行機になるとパニックをおこす航空病にかかり、陸軍所属へと替わり、戦後の21歳まで陸軍にいた。
陸軍兵士としてエジプトに駐留していたころから、ボンドは短編小説を書いて雑誌に投稿し、取り上げられたりしていたが、物書きで食べていけるとは考えず、BBC放送のカメラマンをしながら、短編小説や戯曲を書いていた。
32歳のとき、彼は初の単行本『くまのパディントン(A Bear Called Paddington)』を出版。この本は大好評を博し、彼はこの続編を書き、41歳で放送局を辞め、専業作家となった。彼のパディントン・シリーズは、約30カ国語に翻訳され、世界で3500万部売れているという。ボンドは、パディントン以外の児童文学シリーズや、大人向けのミステリー小説なども書き、71歳のとき、英国王室からOBE勲章を受けた。

パディントンは、南米ペルーからやってきたくまで、帽子をかぶり、コートの胸に「このくまをよろしくお願いします」という名札を着けて、パディントン駅でスーツケースの上にすわっていた。彼はブラウン夫妻に引き取られることになる。駅名から彼はこの名で呼ばれるようになった。パディントンは礼儀正しいくまだが、ブラウン家ではいろいろな騒動が持ち上がり……というのがくまのパディントンの物語の発端である。

パディントンが駅で名札をつけてすわっているのは、戦争中、ロンドンから疎開してきた子どもが、よく駅で「この子をよろしくお願いします」という名札をつけてすわっていた光景が投影されているそうだ。
「アンパンマン」の作者やなせたかしが、戦時中の食べ物のないひもじい時代の反転として、空腹の者にアンパンを届けるアンパンマンを創造したことを思いださせる。
戦争から戦記文学や反戦マンガが生まれることもあれば、パディントンやアンパンマンのように昇華される場合もある。
(2017年1月13日)



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