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暗黙のカルテル

2016-10-17 09:05:44 | マスメディア
 オリンピック・パラリンピックの開催費が何倍にも膨らんで問題となっています。数千億円ということで決定したものが2兆円とか3兆円とかになったわけで、これはもう詐欺同然です。たかが十数日間のスポーツの祭りのための費用としては法外とも思われます。期間中、マスメディアが大騒ぎするので、国中がお祭り気分になるように感じられますが、その過半はメディアが自ら作りだす虚像だと思われます。しらける人も相当数いると思われますが、メディアは決して取り上げません。

 また日本が金メダルを百個取ったとしても、日本の国際的地位が向上するわけではないでしょう。最近、日本人のノーベル賞受賞が続いていますが、こちらは世界の医療や食料生産などの科学技術に貢献するため、国際的地位は向上し、尊敬されもするでしょう。その意味では2兆円とか3兆円は自然科学の教育に使った方がマシだと思われます。

 前置きが長くなりましたが、まず2兆円とか3兆円という金額がどれほど大きいかを示したかったのです。国家予算の2~3%に相当します。そして携帯電話大手3社の毎年の営業利益がこの程度になります。その元は携帯電話の利用者から集めた金です。以下、以前に書いたものですが再掲載します。

『15年度の営業利益ランキングで、ソフトバンクが3位、KDDIが4位、ドコモが7位と携帯電話大手3社は常に上位を占め、営業利益合計は約2兆3千6百億円もあります。しかしその裏には料金体系を複雑化し、利用者が簡単に理解できないようにしたり、悪名高い2年縛りを全社が「協調」して採用する、長年の固定客からの収益を乗り換え客優遇の資金にするなど、高いモラルを持つ業界だとはお世辞にも言えません。固定客からの収益で新規客を優遇するのは新聞社と同じですが、どちらも不公正な収益構造です。

 表面的には激しい競争をしているように見えますが、競争は限定的であり、料金は高止まり、結果としては3社が仲良く繁栄を謳歌してきたわけです。携帯電話は今ではインフラと言ってもよく、電力や水道、ガスのように公共的な性格が強い事業です。電力やガスの会社がコストからかけ離れた高い料金で、巨額の利益をあげていれば、当然問題になります。本来のコストの低さは格安スマホの料金を見ればわかります』

 問題は大手3社には実質的な価格競争がないということです。そこには暗黙のカルテルといったものがあるのではないかと疑われます。明示的なカルテルの存在が証明できなければ、独禁法には触れないので、違法とは言えませんが、実質的にはカルテルがあるのと同じです。

 10月1日、格安SIM大手の日本通信はソフトバンクがSIMロックをなくすよう、総務省に申し立てた、というごく小さい記事が載りました。現在、大手3社から買った端末は6ヵ月間、他社のSIMに乗り換えらません。この制限を外せ、というわけです。既にドコモは回線を貸している格安SIM業者には外しているそうです。SIMロックは他社への乗り換えを防ぐ手段ですが、利用者にとっては自由な選択を妨害するものであり、不当な手段に見えます。

 NTTドコモは過去4度の海外投資がすべて失敗、合計で約1兆5000億円の損失を計上しているそうです。国内から吸い上げた金を海外でバラまいているわけです。ソフトバンクも1兆6千億円で買収したスプリントでは損失を出しています。結果はわかりませんが、最近買収した英アームは3兆円だそうです。ずいぶん気前のいい話ですが、この背景には日本市場で確実に稼げる仕組みがあるのでしょう。米国では料金の値下げ競争があるそうで、それがスプリントの不振の理由のひとつとも言われています。寡占状態でも競争原理が働いているようです。

 明示的なカルテルがなかったとしても実質的には価格競争が制限され、利用者の利益を損なわれている状況は看過できないと思うのですが、マスメディアはなぜかずいぶん寛容です。独禁法が機能しない以上、不正義を認識させるのがメディアの役割の筈です。下らない報道は山ほどあるのですが。

 この春でしたか、安倍首相が携帯料金の値下げを要求しましたが、さほどの効果はなかったようです(政府の競争促進策も十分とは言えません)。首相が気づくほどのことをなぜメディアが気づかないのでしょうか。キャリア3社の広告費が巨大なため敢えて黙認しているのではないかと勘繰りたくなります。しかしNHKも同様であることを考えると、メディアには見識ある人がいないのではないかとも疑いたくなります。メディアが大騒ぎしている、政務活動費や豊洲の地下空間の問題とは比較にならない大事な問題だと思うのですが。
ジャンル:
経済
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