噛みつき評論 ブログ版

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横綱が品行方正とは限らない

2017-11-19 23:57:03 | マスメディア
 このところメディア、特にテレビは日馬富士関の暴行問題一色の観がある。目撃証言の食い違いがあったり関係者の行動が不自然であったりと、謎が多いことも話題性が強くなり、不手際の続出は相撲界の管理体制にまで波及し、メディアにとってますます好都合なネタになったようである。それにしてもこれは騒ぎすぎであろう。民放はともかく、NHKまでもがメディアスクラムである。

 メディアには、横綱は角界の頂点に立つ者であるから暴力沙汰などあってはならない、国技の品格を損なうといった意見が多い。概ね同工異曲、付和雷同であり、そのような意見を何度聞かされてもあまり意味はない。

 相撲界でもっとも重視されるのは強さであろう。昇進の際にも当然強さが重視される。あの力士は弱いけれど品行方正だから横綱になった、とは聞かない。逆に問題行動が多いとされた朝青龍でも横綱になれる世界である。過去には賭博問題や暴行による死亡事件もあった。どんな業界にも不祥事はあるだろうが、相撲業界は数百人の力士で構成される少人数の世界であり、その発生割合は決して低くないと思われる。

 検事が暴力事件を犯したり、教師が強姦(強制性交等)すれば、そのコントラストの鮮やかさから世間の注目を集める。では横綱も同様であろうか。私はそうは思わない。相撲は格闘技のひとつであり、いわば規制のある暴力競技である。規制が守られなければ今回のような暴力事件となる。両者の距離はさほど遠くない。

 暴力事件を認めるわけではないが、これ程の大騒ぎをするようなことではないと思う。横綱はスターである。我々はスターに強さ以外のものを求めすぎているのではなかろうか。ある野球の有名選手はドリンク剤のCMに出るが、かれはドリンク剤に詳しいわけためではないだろう。また飲用しているとも限らない。有名な俳優が軽自動車のCMに出ていた。おそらく俳優はその軽自動車に乗っていないと思う。スターに宣伝効果があるのは知らない間に感情移入しているからだであろう。米国では自分が使ってもいない商品の宣伝には協力しないというモラルがあるそうだが日本ではなんでもOKだとも言われている。

 マスメディアはスターに実際以上のイメージを作り上げる。出来上がったスターは話題を提供してくれるので、メディアにとってもありがたい存在である。いつの間にか横綱にも品行方正な理想像が出来てしまったのだろう。本人が知らぬ間に期待値が高くなってしまったというわけである。スターのイメージは実態と乖離しているのが普通である。悪いところは伏せ、良いところだけを見せることによって作られた幻想と言ってもよい。
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実在の悪魔

2017-11-13 09:04:04 | マスメディア
 悪魔や鬼は想像の産物である。宗教の信者には現実と見えるかもしれないが、所詮は妄想である。想像上の悪魔は怖くないが、悪魔人間は怖い。9人の若者を殺害した男は悪魔と呼ぶにふさわしい。どんなに強い非難の言葉もこの男には十分ではない。悪魔のイメージは稀に出現する今回のような殺人犯をモデルに作られたのかもしれない。

 このような異常な事件が起きると、教育評論家や心理学者があちこちに出現して幼少期の心の傷が事件の原因だなどと、まことしやかな意見を述べるのが普通である。しかし今回の事件では評論家たちをあまり目にしない。私の推測だが、今回の犯行は育った環境などではとても説明がつかないのではないか。

 戦後、犯罪は貧困などの悪い環境が生み出すもの、つまり社会が作り出すもの、という考えが支配的になった。人の性格を決定するものは遺伝か、環境かという長い間の論争において、環境がより重視されるようになった流れをうけてのことである。環境が重要な要素でなければ、教育そのものが否定されるという事情もあったかもしれない。

 この9人殺害事件に関しては、有名な教育評論家でも説明がつかないのではないか。白石容疑者はサイコパスではないか、という指摘がある。サイコパスとは精神病質、反社会性人格障害などの人格の所有者で、同情や共感、良心や罪悪感を持たず、よく嘘をつく人たちであるされる。そして発現は遺伝によるところが大きいと言われている。白石容疑者がサイコパスかどうかは知らないが、犯行の特異性から見ると十分ある得ることだと思う。その場合、更生の可能性は低いとされる。

 1回だけの快楽と僅かな金のために何人もの若い命を奪うという理不尽、信用させてからそれを裏切り殺すという卑怯、社会経験が少なく弱い女性を狙うという卑劣、被害者の方々やご遺族の無念さは計り知れない。また死刑になったとしても一回の死刑だけではとても釣り合いが取れないと思う。死刑廃止論者はお困りのことと思うが。

 米国の場合、サイコパスは25人に1人の割で存在すると言われている。4%であるから意外に多い。日本などの東アジアはその10分の1程度らしい。サイコパスと言っても正常との中間的な人もいると思われるのでその線引きが難しいが、それは措くこととする。しかし多くのサイコパスはまともな市民として普通の生活を送っているそうである。ある程度の知能があれば、社会のルールを学習し、それから外れない生き方ができるわけである。

 我々の子供時代は、弱いものをいじめる、大勢で一人をいじめる、あるいは背後から刺すような行為は卑怯な行為とされ、最も恥ずべきことだと教えられた。それをしたものには強い非難が浴びせられた。現在、こうした倫理観はずいぶん弱くなっているように感じる。試しに「道徳教育」「卑怯」「卑劣」をキーワードにして検索しても意味のあるものは出てこなかった。死語になっているのだろうか。

 倫理観がサイコパスの犯罪を防ぐことができるかどうかわからないが少しは役に立つかもしれない。戦後の教育はこうした倫理を戦前の軍国主義に利用されたものとして排斥したと思う。天皇のために死ね、と言った考えなどと十把一絡げにして否定したのであろう。幼稚な単純思考の結果である。

 弱い立場の者を集団でいじめるのは卑怯な行為だと述べたが、それはメディアの得意技でもある。メディアスクラムとも呼ばれる。社内規定の消費期限が1日違っただけで大バッシングを受けた不二家、食中毒事件を起こした雪印乳業、他にも経営が揺らぐほどの、あるいは倒産するほどのダメージを受けた企業は少なくない。自殺に追い込まれた経営者もいる。犯した罪の大きさとバッシングの大きさが全然釣り合わないことが多い。だから弱い立場のものを集団でいじめる卑怯な行為を批判できないであろう。これでは学校でのいじめもなくならないだろう。社会をリードするメディアがこの体たらくでは、卑怯や卑劣の禁止が重要な倫理として重視されることは期待できそうもない。
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二流の証明

2017-11-06 09:05:06 | マスメディア
 今回の衆院選挙では様々な政治家が登場し、知られていなかった顔を見せた。危機の時、あるいは重大な選択を迫られる時、人は常には見られない姿を見せることがあるようだ。民進党分裂の立役者、前原誠司氏は野党第一党の代表という立場にあったから、それなりの評価を得ていたのであろう。しかし希望の党への合流という一大事を、甘い見通しと甘い交渉で行い、政治家だけでなく人間としてまでの信用を失ってしまった。二流であることが十分に証明された。にもかかわらず、当選したのが不思議である。メディアの批判が何故か甘かったのが気になる。

 次に小池百合子氏、一時は総理大臣候補とまで言われていた人物であるが、とんでもない誤解であったことがわかった。都議選の時は自民党に対抗する人物として、メディアの好意的な報道に支えられて大勝した。将来の総理大臣候補と持ち上げたメディアもあったほどである。今回の衆院選挙でも当初の報道は好意的に見えた。しかし「排除」発言以後、メディアの態度が変わったように感じられた。「排除」発言に驕りが見えたこともあったかもしれない。しかし希望の党が憲法改正や安保法制容認を明確にしたために左派メディアの機嫌を損ねたのが失速の大きな理由なのではないか。

 小池氏は「緑の狸」という異名をとったが、これは腹黒さを思わせるものでうまい命名である。選挙で見えたのは彼女の野心家という側面である。自己顕示欲や権勢欲は一流であるようだ。しかし政治家としては二流と言ってもよい。政治家にもっとも必要な将来の目標、ビジョンが見えてこないからである。

 立憲民主党は期待された以上に躍進したとされる。枝野氏らは意志を曲げず、男を上げたと評価されている。しかしちょっと違う。希望の党との合流が表明された両院議員総会では合流に満場一致で賛成した人たちである。もしその場で反旗を翻していれば男を上げたことになろう。しかし排除されることが明確になってからの決断であり、新党立ち上げは当然の流れというべきである。このような成立の事情はあまり報道されず、意志を曲げなかった点ばかりが強調される。そもそも意志を曲げた者が数多く現れた今回の事態が異常であり、政治家は曲げないのがあたりまえなのである。

 二流を証明した人物の中では鳩山由紀夫氏は最大級の人物であろう。ワシントンポスト紙からルーピー(頭がいかれている)鳩山と酷評された人物は民主党代表に選ばれた首相であり、民主党を選んだのは日本国民である。恥ずべきは民主党員であり、日本国民である。ただ鳩山氏を一流だと持ち上げたのはマスコミであり、彼らは真っ先に不明を恥ずべきである。

 一流の人間が急に二流になることはない。少数の例外はあるが、たいてい一流はいつまでも一流、二流はいつまでも二流なのである。前に紹介した例はいずれも、二流の人間をマスコミが一流だと間違えた結果、一流として過大評価されていたものが、何かのきっかけによって本性が露呈したに過ぎない。いつもながらの、軽率で不見識なマスコミに振り回される政治風景なのである。劇としては面白いけど。
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形式重視は愚かさの証明?

2017-10-30 08:48:43 | マスメディア
 日産自動車、スバル、神戸製鋼と大企業の不祥事が続き、朝日新聞はすべてを一面トップで報じた。おかげで品質に定評のある日本の工業製品に対する疑念が世界中に広がった。神戸製鋼のデータ改竄はモラルが問われるだけでなく現実に強度不足などの問題が起きる可能性があり、罪が深い。しかし、資格のない者が自動車の完成検査をしていたという今回の事例は現実的にはたいした問題ではない。

 日本製の自動車の品質が優れているということについては広く知られている。完成検査が不十分なためにハンドルやブレーキが効かなくなったという話は聞いたことがない。たいていの人は日本車の品質にほぼ全幅の信頼を置いている。

 スバル社長の吉永氏の発言はこの問題の核心を表している。
「(出荷した自動車について)『安全です』と言ったら(リコールの必要がなくなって)おかしくなるし、『安全ではない』と言ったらもっとおかしくなる」

 吉永氏は本音では安全だと考えているにもかかわらず、無意味なリコールをせざるを得ない状況に戸惑っておられるようである。私はスバル車に乗っているが全く不安は感じない。リコール通知が届いても、その必要はありません、と辞退するつもりである。資源の浪費だと思うからである。

 現在は部分の検査が十分されているため、完成車検査の意味が薄れているという指摘がある。制度の意味がなければ守ろうとする動機も生まれにくい。スバルは30年以上前から、日産も数十年前から「この方式」で検査を実施してきたそうである。つまり「この方式」は十分な実績があるというわけだ。

 数十年前に作られた検査の制度が現実に適合しなくなっている状況こそが問題なのだが、メディアはもっぱら違反や違法の観点からこの問題を扱っている。制度を守らなくても安全な自動車が生産できるのだから、変えるべきは検査制度の方であろう。逆に気付く立場にある行政の怠慢を指摘してもよい。しかしそのような見解の記事は見つからない。大企業の不祥事、といった「伝統的な批判」が中心である。

 世の中には形式主義者と呼ばれる人たちがいる。内容よりも形式に目が行く人たちである。行為の是非を判断するのに違法の有無などの形式を基準にすれば確かに簡単である。わかりやすく、事実を深く調べる手間も省け、思考力もいらない。従ってマスコミにも適している。ただ物事の解決にはなりにくいどころか、邪魔になる可能性が高い。マスコミがもう少し多面的な見方をしていれば、一面トップで世界を驚かすような報道をしないだろう。従軍慰安婦の虚偽報道のように日本を貶めるのが朝日の方針なら話は別だか。

 所有者のわからない土地が九州ほどもあるそうだ。今回の問題と同じく法の不備がその大きい理由なのだろう。法が時代に合わなくなっていることを探し出し、課題として提示するのはマスコミの仕事のひとつである。それを受けて法を整備するのは国会の仕事である。両者が安保法制などで大騒ぎして、その機能の多くが浪費されている状況は困ったものである。法を生産・改正する国会もまた生産性を問われるべき機関である。
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高齢化する左翼

2017-10-23 09:09:38 | マスメディア
 朝日新聞が17、18日に実施した世論調査によると、安倍首相に今後も首相を続けてほしいかの問いに「続けてほしい」が34%、「そうは思わない」が51%となっている。やや否定が多すぎるように思うが、その前に「自民党だけが強い勢力を持つ状況はよいことだと思いますか」という質問をするなどの「工夫」のおかげもあるだろう。そして「首相続投望まない 51%」が見出しとなっている。では誰を首相に望むのであろうか。恐らく反安倍だけで、現実的な答えを持っているのか疑わしい。

 一方、年齢別の調査では18~29歳は「続けてほしい」が49%、(中略)対して60代では「そうは思わない」が60%と大きな差がある。つまり若者は安倍支持で老人は反安倍が明確である。憲法9条の改正でも18~29歳は賛成47%に対し反対32%、70歳以上では賛成30%に対し反対44%となっている。原発への賛否も若者の多くが賛成、老人は反対が大多数であった。

 年齢別の発表は何故かこの3項目だけで、どの政党を支持するかという質問項目に対応する年齢別の発表がない。しかし上記の年齢別調査から、左派政党への支持は高齢層が多数を占めていることが推定できる。だが近いうちにこの世から消えるであろう老人が主な支持層となれば、それらの政党の未来は明るいとは言えない。それゆえ発表を控えたのであろう。知れば、左派政党の将来は暗いイメージに覆われるだろう。

 左派への支持が高齢層中心となり、若年層が保守的傾向を示すのはかなり以前から起きていることである。理由はいくつか考えられるが、もっとも大きいのはネットの普及であろう。情報の取得方法が多様になると従来の管理された大手メディア情報の影響力は相対的に低下する。ネットから多くの情報を得る層においては大手メディアに批判的な態度も育つ。本当の意味での情報の自由化である。

 もう一つは日教組の衰退が象徴するように教育現場の変化、つまり「政治教育」に熱心な教員が以前ほどいなくなったからではないかと思う。私もそうだが、今の高齢層は子供時代から左翼教育を受け、管理されたメディア情報によって育った世代である。つまり左翼思想の呪縛から逃れられなかった人が多くを占める世代である。まことに強力で、厄介な呪縛である。左翼思想にも良いところはあるが、非武装中立を信じたり、北朝鮮との対話が可能だと考えたりと、現実認識が歪んでしまうのが致命的な欠陥である。頭がおかしくなるのと同じで、宗教と似ている。

 よく引用するが「25歳のとき左翼にならない人には心がない。35歳になってもまだ左翼のままの人には頭がない」という言葉がある。言ったのはチャーチルだとされているが異論もある。どっちでもよいが、しばしばこれが使われるのはそれがよく現実を表しているからだろう。多くの左翼学生が就職すると抵抗なく資本主義社会に溶け込む事実はよく知られている。つまり彼らは35歳を待たずして変われるだけの頭があるということになる。

 一方、朝日やTBSには大勢の左翼が集まっているが、影響力の大きい幹部連中はとうに50歳を超えているだろう。35歳どころか50歳、60歳を過ぎても左翼のままの人の頭はどう考えればよいのであろう。チャーチルの言う「頭がない」以上の状態とは? ともかく戦後の長い間、強い影響力を誇った左翼は高齢化に直面し、徐々に衰退するものと思われる。社会に不必要な軋轢が減少し、意味ある争点・議論が生まれることに期待したい。
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国民から憲法改正の権利を奪う

2017-10-16 09:07:38 | マスメディア

 憲法は政権が勝手なことができないように政権を縛るものである、という文言はしばしばメディアなどに登場する。まあその通りだとしよう。しかし、それではその憲法を作ったり改正したりするのは誰か、というところまでは何故か話が及ばない。かつて王権神授説というのがあったが、苦しいインチキである。現行憲法では憲法改正は国民投票によることになっているが、今まで約70年間、憲法改正の投票は実施されたことがない。

 日本国憲法第96条の1には次のように書かれている。
この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

 また総務省の資料には、憲法を改正するところが複数あった場合は
憲法改正案は、内容において関連する事項ごとに提案され、それぞれの改正案ごとに一人一票を投じることとなります。
とされている。

 国会での発議は護憲派の反対のおかげで、70年間、通ったことがない。それは国民から投票、つまり国民の意思表示の機会を70年間奪ってきたことである。国民の重要な権利を妨げてきたとも言える。

 国民の権利を声高に主張する政党やメディアが極めて重要な権利を奪ってきたのである。つまり警察が裏で犯罪を犯したり、消防が放火する、聖職者が子供を犯す(これは米国の複数のカソリック教会で数百人規模で行われていた)ようなものである。明らかな自家撞着であるにもかかわらず、この護憲派が国民の権利を奪ってきたという議論を目にすることはあまりない。

 上で触れたように憲法改正案は、内容において関連する事項ごとに提案され、それぞれの改正案ごとに一人一票を投じる、とあるので、細かな選択が可能である。決して憲法改正に賛成か反対かを迫るものではない。

 むろん護憲派が国民の権利を奪ってきたという議論はときおり目にする。しかし重要な割には周知されていない。その理由はやはりメディアにあると思う。国会の段階で憲法改正を阻止しようとする勢力にとってはそれは不都合な真実なのである。そして彼らは国会の段階で阻止しなければ国民投票によって改正される可能性を恐れているわけである。国民の権利を取り上げていることを知られないための方策なのである。
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購読紙が人を支配する

2017-10-09 07:24:27 | マスメディア
 「JX通信社」が6月23日告示の東京都議会選挙を前に行った世論調査の結果が発表され、極端な結果が話題になっている。各新聞の読者ごとに小池都知事と安倍首相の支持率を調査した。調査は電話によるRDD方式で行われ、有効回答数は726人、回答の中で挙げられた購読紙は、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、日本経済新聞、東京新聞、産経新聞、その他・答えない、となっている。

 調査結果によると、産経新聞読者の安倍政権支持率は86%に達し、6紙の中で際立って高かった。一方、もっとも低かったのは東京新聞読者の5%、「極端な差」が示された。読売新聞読者の43%。日経新聞読者の41%が続いた。朝日新聞、毎日新聞の読者の支持率はそれぞれ、14%、9%にとどまった。ちなみに不支持率は産経新聞読者が6%、東京新聞読者は77%だった。

 以上は産経新聞の6月21日付の記事の要約である。回答数が726人と十分とは言えないが、これ程の大差があれば少なくとも傾向を見るには十分である。安倍政権支持率は東京新聞読者の5%という数値には驚く。朝日と毎日がそれぞれ14%、9%は報道の帰結として十分納得がいく。安倍政権批判が使命とでも思っているかのような紙面だからである。反面、産経の86%も同様に安倍政権支持の紙面の結果と見てよいと思う。

 30年ほど前であるが、読者はその思想によって購読紙を選ぶのではなく、購読紙が読者の思想を決めるのだ、という一文を読んだ記憶がある。米国の誰かの発言で、雑誌に紹介されものであったと思う。上記の例で言えば、東京新聞の大部分の読者は反安倍だから東京新聞を選んだのか、それとも東京新聞を読んだために反安倍になったのか、という問題である。

 無論、どちらか一方だけということはあり得ないと思う。問題はどちらが支配的であるかである。同じ東京都民でありながらこれ程の大差が生じるのは常識的に言って新聞の影響力なしでは考えにくい。東京新聞は地方紙であるから、思想によって購読紙を選ぶという動機は考えにくい。つまり東京には右寄りの有力地方紙という選択肢は多分ないからである。また宅配制度のために親の代から継続して購読する例も多く、子供のころから影響を受ける。どちらが支配的と言えばやはり新聞の方であろう。厳密には購読紙を変更した人の思想の変化を調べるなどの調査が必要であると思うが、あまり聞いたことがない。興味ある結果が出ると思うのだが。

 新聞・テレビ・通信社は頻繁に内閣支持率、各政党支持率などの調査を実施している。その際の質問項目には内閣を支持するかといった本来の目的以外に、性別や年齢、職業、支持政党といった回答者の属性を調べる項目がある。ここに購読紙を加えて購読紙別の結果を発表してほしい。実に興味深い結果が得られると思う。メディア各社は自分の報道がどれだけ人々の考えに影響を与え、世論に影響を与えているかを知り、多少なりともその責任の重さを自覚するだろう。個人が好き放題に言うのと違って、組織的かつ大規模に人々の考えを強引に曲げるわけだから。2009年にはその「無責任な軽口」が民主党政権を誕生させる大きな力になった。民主党はその失敗のためにいま滅ぼうとしているが、力を貸したメディアは知らん顔である。
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食い物にされる民進党

2017-10-02 09:07:06 | マスメディア
 甘い男が、したたかな女に一杯食わされたように見える。それも政党の浮沈を決める交渉である。他人の喧嘩を見るのは楽しい。不謹慎と言われるかもしれないが、それが見物人、傍観者というものである。

 民進党の両院議員総会は、民進党が希望の党に実質的に吸収されることを満場一致で承認した。こんなにも屈辱的な話がなぜ満場一致なのか、理解できなかった。民進党には骨のある人はいないのかとも思った。しかしその後の報道を見ていると、これは前原氏が小池氏に見事にしてやられた話なのだと想像がついた。前原氏が左派を切るために確信的にやったという観測もあるが、前原氏はそこまで芝居ができる人物とは思えない。

 前原氏は民進党の衆院議員全員が希望の党に移れると思わされていたようである。その前提であったからこそ、藁をもつかみたい状況の民進党議員達は話に乗ったのだろう。前原氏の甘さ、軽率さが際立つが、話に乗った方もまあ同様である。それにしても全員を受け入れると思わせながら、後戻りできない状態にまで来させてから、「全員はさらさらない」「排除する」という言葉からは小池氏の驕りも感じられる。小池氏は一枚上というだけでなく、相当に腹黒い。まあ以上は私の推測にすぎないわけだが、これから明らかになると思う。

 前原氏は外務大臣を務めた人物である。外務大臣在とは外国と交渉するのが仕事であり、騙されるようでは話にならない。まあ民主党には他に適格者がいなかったのかもしれない。なんといっても首相が鳩山氏や菅氏なんだから。

 希望の党がブームを巻き起こし大勝することを懸念する向きがあるが、私はあまり心配していない。ブームにはメディアの担ぎ上げが必須条件だが、希望の党は憲法改正や安保法案を支持する立場なので左翼メディアの支持は弱い。また民主党を担ぎ上げて大失敗した記憶はメディアにも国民にも残っている。しかしメディアが反安倍ならなんでもいいと、感情的な、筋違いのキャンペーンをやれば若干の懸念はある。

 北朝鮮による戦争危機の現実化によって9条で平和が保たれるというリベラル派の夢想は色褪せた。それは安保法案反対を掲げた民進党の凋落の一因ともなったと思う。希望の党がやや右よりの路線を選択し、ある程度の支持を集めているのはそれが時代の変化に沿ったものであるという意味がある。より左寄りの社民党はほぼ絶滅状態、民進党も同じ道を歩んでいたように見える。しかし政治の流れは変わっても、朝日など左派メディアには変化の兆しが見えない。親和性があるのは共産党くらいだろう。初志貫徹と言えば聞こえがよいが、しつこくて頑固なだけである。

 話が飛ぶが、英国のEU離脱を問う選挙、米国の大統領選挙は予想外の結果を生んだ。同時に国民多数が望まないものを選んでしまった、という評価が根強くある。両方ともまさかそんなことはあるまい、と思った人達が投票に行かなかったことが予想外の結果を生んだわけで、間違った選挙予想を信じたことが大きいとされる。

 ならば選挙の投票日を2日間程度に分け、1日目の投票結果を発表することを提案したい(あるいは1日間のままで午前中の出口調査をすぐ発表してもよい)。1日目の結果次第では危機感を抱き2日目に投票に出かける人が増えるかもしれない。予想もしない、多数にとって不本意な結果を防ぐことはできる。サイレントマジョリティーに対する投票促進効果であり、投票率も上がるだろう。投票前に中間の得票結果を知らせることは投票行動に影響を与えるのは確かであり、種々の検討を要するが、誤った選挙予想で狂わされるよりマシだろう。
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核シェルターなしという無防備はなぜ起きたか

2017-09-24 22:54:54 | マスメディア
 9月15日早朝、北朝鮮のミサイルが日本上空を通過した。しかしこれ以降、ざっと見た限り朝日の朝刊1面に北朝鮮問題が載ったことはない。北朝鮮の挑発的な言動や行動に対して朝日の報道は非常に抑制的である。NHKや民放の報道と比較してもその差は歴然としている。

 妙に抑制的なのは戦争の脅威が身近になると朝日など左派のメディアが主張してきた護憲、すなわち9条さえあれば平和が保たれるという考えの論拠が危うくなるためだろうと思われる。中国の軍事的脅威に対しても報道は抑制的であった。急膨張する中国の軍事力の脅威を知らせる記事は控えめで、その実像を理解している人は少数であろう。

 さて最近、日本でも核シェルターが注目を浴びるようになったそうである。2002年の資料だが日本核シェルター協会によると、どのくらいの国民をシェルターに収容できるかを示した割合は、スイスとイスラエルが100%、ノルウェーは98%、米国は82%、ロシアは78%、英国は67%、シンガポール54%、韓国ソウル市300%と続く。しかし日本は0・02%、ほぼ皆無と言ってよい。世界の常識から大きく外れている。

 何故こんな異常なことが起きたのだろうか。ひとつは日本の国民が核戦争などまず起こらないと考えていたためであろう。もうひとつは核戦争が起きれば壊滅状態となってシェルターなど役に立たないと考えていたためと思う。これらは何れもマスメディアによって広がった考え方であろう。

 とりわけ左派メディアは他国からの戦争の可能性を徹底的に否定した。そうでなければ9条による平和という主張の根拠がなくなるからである。反面、左派メディアは日本が軍国主義になって他国を侵略するという時代錯誤の妄想を煽ったわけである。滑稽で、かつ恥ずかしいことであるが、この的外れの論調は左派メディアだけでなく進歩的文化人と言われる人々にまで長く大きな影響力を持った。

 日本に核シェルターがほぼ皆無なのはそのおかげであると思う。しかし核戦争の可能性は現実味を帯びてきた。また核攻撃を受ければ壊滅するという理解も疑問である。広島や長崎は木造家屋が中心で爆風に弱く、放射線の遮蔽効果も小さい。広島は午前8時15分という多くの人々が移動する時間であったことも人的被害を大きくしたのではなかろうか。この点、米国は悪質である。

 今の都市はより強固な建物が中心であり、警報が出されれば爆心地以外は以前より被害は軽減される可能性がある。当然ながら、多くの地域において核シェルターは有効であろう。白か黒、オール・オワ・ナッシングではなく現実的な対応が重要であると思う。

 戦争は起きないと断言することは誰にもできない。つまり可能性はある。しかし日本だけは全くの無防備状態なのである。もし戦争になれば日本の人的被害は突出して大きいものになるかもしれない。護憲や9条を熱心に煽ってきたメディアのおかげである。日本は9条があるから攻撃してはいけないと北朝鮮に頼んでみてはどうか。「平和を愛する北朝鮮の公正と信義に信頼して…」
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読み違い戦争

2017-09-18 09:06:44 | マスメディア
 悪玉と善玉が対決する漫画はよく見られる。多くの悪玉は自信たっぷりでいつも明るく高笑いする人物として描かれる。一方、善玉はクソ真面目な人物として描かれるれることが多く、人物としての面白さは悪玉の方が多い。

 北朝鮮の金正恩もいつも自信たっぷりであり、明るい笑顔がしばしば報道される。数百人を粛清したといわれる残虐さ、アメリカを焦土にする、日本の4島を核で海に沈める、といった過激な言動は漫画の悪玉そっくりである。漫画では最後に滅びるのだが、こちらはそう簡単なことではない。

 余談はともかく、最近フィナンシャルタイムズに載った記事(2017年9月5日付、日経に転載)は面白かった。冒頭の部分を紹介する。

「20世紀に起きた大きな戦争は、何らかの破滅的な誤算が誘因となって発生することが多かった。1914年、中立国ベルギーに侵攻したドイツは、英国が同国を守るために参戦してくるとは予想していなかった。ソビエト連邦のスターリンも41年、ヒトラーが侵攻してくるとは思ってもいなかった。日本と米国も、互いの意図と対応を何度も読み違えた末、日本による真珠湾攻撃で開戦するに至った。50年に始まった朝鮮戦争では、米国は中国が参戦してくるとは考えていなかった。
(中略) 金正恩委員長と米国のトランプ大統領は、共に何をしでかすか予測がつかない。両者が互いの行動を読み違えた末に、破局的な結果に至るという危険性が今や現実味を帯びている」

 読み違いの危険を説いているわけだが、その通りだと思う。また次のように述べる。

「金氏が高度な核兵器の開発を進めているのは、現体制の維持が狙いだとの見方がもっぱらだ。金氏は、イラクのフセイン大統領やリビアのカダフィ大佐といった独裁者が自らの政権崩壊に至ったのは、核兵器を保有していなかったからだとみている。従って、核兵器を保有する以外に自分が生き残る道はないというのが彼の結論だろう。
(中略) 金氏がこう考えていることには、ある意味、安堵を覚える。そう考えているのであれば、核による先制攻撃をする可能性は低いからだ。しかし、金氏の行動を見ていると、核兵器を保有すれば先制攻撃はしないだろうという漠然とした安心感は裏切られる可能性がある、と考えざるを得ない側面もある。というのも、もし核による抑止力が唯一の目的だとすれば、なぜ米国や日本、さらには中国までをも挑発する必要があるのかという疑問が生じるからだ」

 後半が重要で、私も以前から北朝鮮の無用とも思われる挑発行為に疑問を持っていた。フセインやカダフィになりたくなければもっと静かに核開発をするのが合理的だと考えられるからである。過度の挑発は米の先制攻撃を招きかねない。派手な挑発にどんな意味があるのだろうか。FTの記事でも金氏の行動は合理性を欠く人物、つまり「核を持った狂人」とみなされ、先制攻撃を正当化する意見が通りやすくなる、と述べている。

 しばしば失敗例として語られるのがチェンバレンの融和政策である。1938年、チェコのスデーデン地方の割譲を要求したナチス・ドイツに対し、英チェンバレン首相はミュンヘン会議でその要求を認めた。一時的な平和が訪れたが、それは巨大な災厄となった第二次大戦を招いたとされている。チェンバレンはヒットラーの意図を見事に読み違えたわけである。金氏が何を考えているか、誰もわからない。金氏がミニヒットラーである可能性も排除できない。FTの記事はこう結んでいる。

「金氏が、現体制が崩壊し、自らの命をも危ういとの見通しに直面したら、核による先制攻撃をする危険性は間違いなく高まる。
 こうした危険性に対処するのは、権力の座にあるのが経験を豊富に積んだ理性的な指導者であっても難しいだろう。ところが今、判断を下すべきキーパーソンは、しかるべき経験もなく切れやすい71歳のビジネスマンと、粛清におびえ、こびへつらう取り巻きしかいない33歳の独裁者だ」

 この記事の筆者はGideon Rachman氏、優れた識見であると思う。
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