パピとママ映画のblog

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聖の青春 ★★★★

2016年11月20日 | アクション映画ーサ行
29歳の若さでこの世を去った天才棋士・村山聖の生涯をつづる大崎善生のノンフィクションを、松山ケンイチ主演で映画化。幼いころより患う難病と闘いながら将棋の道を突き進んだ村山の壮絶な人生を、羽生善治をはじめとする同世代の棋士との死闘や、彼を支える師匠や両親たちの愛を通して描く。『宇宙兄弟』などの森義隆がメガホンを取り、『マイ・バック・ページ』などの向井康介が脚本を担当。大幅な体重増量など徹底した役作りに挑んだ松山の熱演が光る。
あらすじ:幼少期から難病を患う村山聖は、入退院を繰り返す中で将棋と出会い、15歳で森信雄に師事する。10年後、名人になる夢をかなえるべく上京した聖(松山ケンイチ)は周囲に支えられながら将棋に全力を注ぎ、七段に昇段したころ、同世代で名人のタイトルを獲得した羽生善治に激しいライバル心を抱く。さらに将棋に没頭する聖だったが、がんが彼の体をむしばんでおり……。

<感想>将棋界で100年に一人の天才と言われる羽生善治と、「東の羽生、西の村山」と並び称されながら、29歳の若さで夢半ばにして亡くなった実在の天才棋士・村山聖。幼いころから腎臓の難病、ネフローゼと闘いながら将棋に命をかけた彼が、羽生善治ら同世代の天才棋士たちと命を削りながら将棋を指した最後の4年間が描かれている。
物語の核となるのが、羽生との特別なライバル関係と、自身の病との間で翻弄されながら、全力で闘う村山の生きざまなのだが、いわゆるお涙頂戴の難病ものではないのがすこぶる良かった。

松山ケンイチの渾身の役作りに感心し、将棋を指す手と指の動きに、相当な練習を重ねたに違いないくらい美しい。また全身全霊でこの役に挑んだ執念が映像から滲み出ていた。村山が、持病の治療よりも将棋が命とばかりに、村山が選んだ将棋の世界を、治療もせず文字通り命を削って勝負に挑む姿勢はまさに正気の沙汰であります。

そんな彼も少女マンガをこよなく愛し、食べ物は「吉野家の牛丼」お好み焼は「広島のみっちゃん」というほど、食のこだわりも強い。酒はビールよりワインが好きなようで、麻雀も好きで、仲間と楽しく飲んでいるのも映し出されている。

自分の身体よりも将棋が一番大事というその生き方は、偏屈者で、自暴自棄に見えるかもしれない。村山の心の奥底にある「生きる時間を削ってでも将棋に勝ちたい」と言う、何よりもピュアな想いに触れた時、松山ケンイチという俳優の肉体に宿った“怪童、村山聖”という男そのものを観たような感覚に陥ってしまった。

しかしながら羽生との対局では、静かでまるで深い海の底へと引きずり込まれるような息苦しさを覚え、将棋を知らない私も感動できたし、将棋に興味が持てました。

脇方では、師匠のリリーさんに子弟の染谷さん、柄本さん、それに増しても羽生善治を演じた東出昌大の神経質そうに扇子をパチパチと開いたり閉じたりする演技と、羽生そっくりな徹底した成りきりぶりに、あっぱれと拍手を送りたいです。
村山がこだわっていた手指の長い爪に長い髪の毛、その爪を切り、髪の毛を短く切って勝負に向かう村山の姿には、間近に迫る死期を感じ取ったのであろう勝負師の姿が見て取れる。
最後の雪の降る古い老舗の旅館。将棋の対局という1対1の静寂の中では、まるで深海のような世界で、二人が静かに心を通い合わせる様子が、しっかりと映し出されて良かった。

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