パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

アップサイドダウン 重力の恋人 ★★★.5

2013年11月07日 | アクション映画ーア行
『スール/その先は…愛』などで知られるアルゼンチンの巨匠、フェルナンド・E・ソラナスを父に持つフアン・ソラナスによるSFロマンス。二つの惑星が重力で上下に引き合う世界を舞台に、上下別々の星で暮らしていた男女の運命的な恋の行方を映し出す。主演を務めるのは、『ラスベガスをぶっつぶせ』などのジム・スタージェスと『メランコリア』などのキルステン・ダンスト。自然や都市が上下に広がる世界の不思議なビジュアルはもちろん、ロマンチックな物語も魅力的。
あらすじ:富裕層が暮らす星と貧困層が暮らす星が、上下で接近するように引き合っている世界。下の星で貧しい暮らしを送っていたアダム(ジム・スタージェス)は、とある山頂で上の星の住人であるエデン(キルステン・ダンスト)と出会って恋に落ちる。ロープを使って彼女を自分の世界に引き下ろそうとするアダムだったが、星の境を監視する警備隊に発見されてエデンは上の星へと落下してしまう。それから10年後、エデンは死んだと信じ込んでいたアダムだったが、彼女が生きていることを知って再会を誓う。

<感想>先週の1日で終了だったので急いで鑑賞したのだが、忙しくて中々レビュー出来なかった。何だか、チラシを見る分にはハッタリVFX満載のビジュアルで見せるお伽噺版の「アリジウム」みたいと思ったのだが、全然違っていて風変わりな世界といっても、下の世界は1950年~60年代のヨーロッパのようだし、上の世界は現代のアメリカ風のようにも見えた。それでも、理屈は置いといて、見たことのない不思議な映像を楽しむのが正解でしょうね。

文化はあくまで地球のもので、変な服装や風俗は出てこないし、話すのも普通の英語。つまり科学考証を凝らした異世界FSではなく、あくまで寓話であり、お伽噺なのだから。特定の物質にしか作用しない重力など、科学的には説明できないしね。
それでもこの世界独特のルールは存在するわけで、違う世界の物質同士を接触し続けると数時間で熱を持ち発火するというのだ。これがサスペンスを盛り上げる要素となるのだが、このルールがすべての物質に対して徹底しているわけでもなかったりと、明らかにツメが甘い部分もちらほらと見えてきてしまう事実は仕方がないのか?

上の世界が裕福で下の世界が貧乏だったり、下の世界の資源を搾取して反映を維持しているのだ。下の世界の重力は下の世界の物質にだけに働き、上の世界の重力もまた上の世界の物質にだけ反応するという。だから下の世界の人間が上の世界に行っても、下の世界の重力に引っ張られるため、上の地面にたつことは出来ない。
しかし、アダムが子供のころから上の世界のことが気になり、侵入を拒む上の世界になんとか入り込もうとしたり、それには上の物質をたくさん身にまとい浮力のようにして重力を反転させる必要があり、アダムはスーパーの万引き犯人みたいなパンパンの格好で上の世界へ侵入するのです。

それは、アダムがお婆さんから受け継いだピンク色した蜂蜜を使って、シワ取りクリームの発明するという名目で、上の世界の会社に入社したから。アダムのことだから、好きになったらどんな困難も乗り越えて、二人は結婚して幸せになるでしょう。上下の世界が一体化して、そんな時代がきっとくるに違いないと奮闘するアダム。最後に二人に赤ちゃんが出来て、それも双子とは驚きです。
さらには自分の行動が世界を変えるきっかけになるかもしれない、という部分などは、妙に「エリジウム」と一致する部分は少なくないようだ。
しかし、「エリジウム」は、ごく普通のSF的設定から出発した普通のSfであることは疑いようがない。結局は、お互いの作品とも人間の本質的な欲望や、願望を描くために最適と思われるシンプルな舞台背景を設定したところ、類似してしまったということだろう。

だいたい上の世界が裕福で、下が貧しいというのは、ごく普通のアナロジーではないか。それにこちらの作品が、両方の世界で独自の重力が作用しているのだから、どちらから見ても相手側が「上」に見えるはずなんだけどね。
しかし、つじつまの合わない部分がもあるわけで、結局は両者ともに作品を支配する理屈が提示され、それに基づいて物語が進むわけだから。設定に関心のない観客にとってはSFか、あるいはお伽噺かな?・・・などというのは、大した違いではないのかもしれませんね。
でも、科学的な説明はつけられないが、上下向かい合わせで広がる広大なオフィスの光景は、映画的にはとても面白いですよね。こういう映像が比較的簡単に作れるようになったのは、現在のデジタル技術のおかげでしょう。

頭上に重力の異なる別世界が、逆さまになった相手側の世界が広がる光景は、とても壮大で、よく雲を見て山や岩に似ていると想像することがあるが、それを具体的な映像にしたような雰囲気で、スクリーンで見る価値はあると思った。
特に感動したのは、上の世界での古いレストランでのタンゴを踊る人々。アダムも洋服の下に上の世界の重力の物質を着込んで、エデンとレストランで食事をするシーン。カクテルを飲むのも大変そう。トイレも下の人間は、天井へとアダムの小便が貼りつくのにはびっくり。上の世界へは長くいられない、直ぐに発火して水の中へと苦労があるのよね。
アダムを演じていたのは、「クラウド・アトラス」に出ていたジム・スタージェス。エデン役には、「メランコリア」のキルステン・ダンスト。二人とも風変わりな背景に調和性があるのだろうか、上下逆さまになった男女が、山の上で会話するという映像が、脚本・監督を担当したアルゼンチン生まれのフアン・ソラナスが夢に見たというのが、アイデアの元になっているのだそうだ。
2013年劇場鑑賞作品・・・316 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング


この記事についてブログを書く
« パーシー・ジャクソンとオリ... | トップ | 2ガンズ ★★★★ »

アクション映画ーア行」カテゴリの最新記事