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密偵 ★★★★

2017年12月08日 | アクション映画ーマ行

韓国を代表する実力派俳優ソン・ガンホと、「サスペクト 哀しき容疑者」のコン・ユ主演し、「悪魔を見た」のキム・ジウン監督がメガホンをとったサスペンスアクション。日本警察イ・ジョンチュル役をソン・ガンホが、義烈団のリーダー役をコン・ユが演じるほか、日本から鶴見辰吾が参加し、イ・ビョンホンも出演している。

あらすじ:日本が統治する1920年代の朝鮮半島。武装独立運動団体「義烈団」監視の特命を受けた元朝鮮人の日本警察イ・ジョンチュルは、義烈団のリーダーであるキム・ウジンに接近する。誰が密偵かもわからないほど、さまざまな情報が錯綜する中、義烈団は日本統治下の主要施設を破壊する目的で京城に爆弾を持ち込む計画を秘密裏に進めていた。義烈団と日本警察のかく乱作戦が展開し、義烈団を追う日本警察は上海へと向かう。そして、計画通りに爆弾を積んだ列車が京城を目指して走り出していた。

<感想>本作は、1920年代の日本統治下の朝鮮半島を舞台にした、骨太のスパイ映画であります。主人公のイ・ジョンチュルを演じているソン・ガンホは、朝鮮人でありながら抗日ゲリラ義烈団を追求している日本警察の警部。

ソン・ガンホはまったくもって確信犯ではなく、自分でもよく分からないうちに、二重スパイになってしまう男という、複雑な役柄を見事に演じていた。

ガンホの低くしわがれた抑揚のない日本語は、感情のこもっていない感じが抑圧された環境を、生きる葛藤の違和感として残るようだ。

それに、相棒として組まされたハシモト(オム・テグ)からは、義烈団と通じているのではないかと疑いの目を向けられるのにも知らん顔。たどたどしい日本語のオム・テグに対して、流暢な日本語のソン・ガンホ。

そして、理想のためならテロをも辞さない反体制側の中心人物である義烈団のリーダー、キム・ウジン扮するコン・ユが実に見事に好演をしているのだ。あの「新感染」ではいいお父さんを演じていたのが印象に残っている。

ここでは滑稽なんだか間抜けなんだか分からない、フィクサーの義烈団団長チョン・チェサンを演じるイ・ビョンホンも印象的であります。

日本警察の幹部ヒガシを演じた鶴見辰吾の、悪役を一手に引き受けたダークな演技も良かった。1920年代当時を再現したクラシカルな美術と照明、衣装がぴったりと似合っていた。

そして、「イングロリアス・バスターズ」を意識したであろう爆破シーンでは、ボレロの使い方もしてやったり。列車内のスパイ狩りから終盤のクライマックスへと、一気に流れ込み余韻を残して終わるところ。

ガンホが最後まで日本帝国の犬であるわけがないことは、観客は皆判ってはいるが、それによってサスペンスが弱まることはなく、最後まで緊張感が持続するのもしかり。ガンホが自分の邸宅の中に隠し持っていた爆薬を、列車に積み込むところも、だが、映画では最後まで義烈団であることが知られていないように映り、見事に爆破して日本軍をあざむくというガンホの密偵ぶりに驚くも、本当のところは、捕まってしまうガンホも映し出される。

ストーリーテリングはちょっと不器用なところもあるけれど、とにかく見せ場連続だし、最後まで飽きさせないところもいい。ラストの青年役のクォン・スヒョンは大抜擢で美味しい役どころだと思った。

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