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皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ★★★

2017年07月11日 | アクション映画ーマ行
これが長編デビューとなるイタリアの新鋭ガブリエーレ・マイネッティ監督が、イタリアでも放送され人気を博した日本のTVアニメ「鋼鉄ジーグ」をモチーフに、イタリア映画初の本格スーパーヒーロー映画として撮り上げた異色のクライム・アクション。ひょんなことから超人的パワーを持った孤独なチンピラが、アニメ「鋼鉄ジーグ」に憧れる女性との交流を通じて次第に正義に目覚めていくさまを、過激なバイオレンス描写を織り交ぜダークな筆致で描き出していく。主演は「緑はよみがえる」のクラウディオ・サンタマリア、共演にイレニア・パストレッリ、ルカ・マリネッリ、アントニア・トゥルッポ。イタリアのアカデミー賞に当たるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞では最多16部門にノミネートされて、新人監督賞や主演男優賞、主演女優賞など最多7部門を受賞した。

あらすじ:貧困と暴力がはびこるローマ郊外の荒廃した街。窃盗で食いつなぐしがないその日暮らしの孤独なチンピラ、エンツォ。ある日、警察に追われ飛び込んだ川で放射能を浴び、鋼の肉体と超人的パワーを手に入れる。最初はそのスーパーパワーを持て余し、悪事に利用するのみだったエンツォだが、ひょんな成り行きから、唯一の友セルジョを殺したギャングのボス、ジンガロからセルジョの娘アレッシアを守るハメに。そのアレッシアはどうやら現実との区別がつかない妄想の世界に生きているようで、エンツォを熱愛するアニメ「鋼鉄ジーグ」の主人公・司馬宙(シバヒロシ)と同一視して慕うようになるのだったが…。

<感想>日本のアニメへの敬意はあるものの、イタリア人の手にかかると相当に肉食系の味わいになってしまう。主人公のおっさん、エンツォが超人的パワーを手に入れる原因がテヴェレ川の水中に沈んでいたドラム缶の、放射性廃棄物を呑んだせいだというのだから、話の展開もかなりデタラメになっている。
しかし、スーパー・ヒーロー役のクラウディオ・サンタマリアを初めとして、恋人のちょっと頭が弱いヒロイン・アレッシアには、イレニア・パストレッリが、醸し出す雰囲気は何だか「オールド・ボーイ」ふうだし、何よりも「鋼鉄ジーグ」だと思います。

それに、悪役のルカ・マリネッリは必ず歌を一曲披露してから闘うという、それに、エンツォの超人的な力の原因を突き止めて、自分も川に入って俄然パワー全開となるところも、何だかなぁってB級映画の感じがした。

そして、スーパー・ヒーローのオジサンが折角怪力を得たのに、銀行のATM機を引っこ抜いて、家まで持っていき、その金で食べ物買って冷蔵庫をいっぱいにすること。それに、現金輸送車を襲ったり、家にホームシアターを買い揃えて、彼女と「鋼鉄ジーグ」のBoxセットを購入したり、Hビデオを見たりしてしょうもない人間に、そんな力を授けてもいいのかと。

監督の好きなものを詰め込んでいるのがアリアリなわけですが、自己満足に終わってないのは良かった。さもしいチンピラの分際で、大いなる力を得てしまった主人公が、初めは私利私欲のために、その力を使うバカなオヤジだったが、頭の弱い女に好かれてしまう。
超人的能力も、然るべき人間に授けられるのでなければ、こうなってしまうのだと言う風刺的な話かと思って見ていたらば、彼がこのような人物になるまでの経緯がやがて見え初め、そこから現代のイタリア都市の状況も透けて見えて来るのだ。

敵対する2人の男には、しっかりと実力派男優が配置されていて、低予算ながら工夫を重ねて撮ったと思われる点も好ましく、しかも主人公のエンツォのクラウディオ・サンタマリアが、武骨でマッチしていていい。
善行よりも悪行を働く方が、人々からもてはやされる現在の風潮もしっかりと描かれており、ヒーローの在り方をズシンと問い正して浮き立たせている。どこまでも憂鬱だが、燃えてしまう快作でもあった。

日本へのアニメへの敬意はあるものの、その女が日本の永井豪原作のロボットアニメ「鋼鉄ジーグ」が大好きで、オジサンがその主人公に自分もなろうと努力していき、ラストの少女を助ける下りも良かった。この作品自体は「鋼鉄ジーグ」の実写化じゃないと言うし、ストーリー的な関連もない。だから、原作の「鋼鉄ジーグ」を知らなくても楽しめるはずです。
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