パピとママ映画のblog

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マンチェスター・バイ・ザ・シー ★★★★

2017年05月15日 | アクション映画ーマ行
「ジェシー・ジェームズの暗殺」「ゴーン・ベイビー・ゴーン」のケイシー・アフレックが心に深い傷を抱えた主人公を好演し、アカデミー主演男優賞をはじめ主要映画賞を総なめするなど各方面から絶賛された感動のヒューマン・ドラマ。ある悲劇をきっかけに故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーに背を向けて生きてきた孤独な男が、兄の突然の死で帰郷を余儀なくされ、過去の悲劇と向き合わざるを得なくなる悲痛な姿を、ほのかなユーモアを織り交ぜつつ切なくも優しいタッチで綴る。共演はミシェル・ウィリアムズ、カイル・チャンドラー、ルーカス・ヘッジズ。監督は「ユー・キャン・カウント・オン・ミー」「マーガレット」のケネス・ロナーガン。

<感想>映画の最初の方で、マンチェスター・バイ・ザ・シーの海に浮かぶ船の上で、ケイシー扮するリーと兄のジョー(カイル・チャンドラー)、そして彼の幼い息子のパトリックが映し出される場面があるが、リーはパトリックと海に釣り糸を垂らしながら、「地図を見るように世間を見られれば人生をうまくサバイバルしていける」というようなことを話している。この映画は、過去であるリーの記憶の光景なのである。

それは、現在の彼はボストン郊外で暮らすアパートの便利屋であり、住居の苦情を聞き、水道をなおし、前かがみの姿勢で雪かきをしているのが映し出される。無口でかつ不愛想で、夜はバーへ行き一人ビールを飲み、他の客に絡むと、いきなり殴りかかったりする短気な性格。

ケイシーは冒頭の部分で、主人公リーが過去の問題を抱え、心を閉ざしていることを観客に伝えているように見えた。極めて視覚に訴える演技であり、猫背の肩は緊張し、半ば無意識に腕とゲンコツに力が入っているが、その様子には過去を捨て、未来を見失い、ただ現在の中に落ち込み、男の痛みと苛立ちが滲んで見える。
これはある壮絶な出来事を経験し、故郷を捨てた男が、過去と向き合っていく姿を見つめたヒューマン・ドラマ。なにしろ短気で不愛想で、孤独な主人公リーに扮し、再生への険しい道のりを体現したケイシー・アフレックが、第89回アカデミー賞で主演男優賞を受賞。同脚本賞を得たケネス・ロナーガン監督のユーモアを交えた繊細な語り口も光っている。
本作は当初、マット・デイモンが制作、主演を兼ねる監督デビュー作として構想していたそうです。しかし、デイモンのスケジュールの都合で脚本を担当していたケネス・ロナーガンが監督に。きめ細やかな感情描写で映画を成功に導き、アカデミー賞脚本賞を受賞した。

リーの癒しようのないトラウマが再現されるところでは、妻のミシェル・ウィリアムズと娘が1人に、生まれたばかりの息子を抱え、楽しく暮らしていたのに、ある晩のこと、暖炉に薪をくべて火を起こし、そのままにして近所のコンビニへ買い物へ行った。家には、妻のミシェルの産後の疲れでベッドから起き上がれない。子供も寝てしまい、火のついた薪が床にでも転がってそのまま飛び火して火事になってしまったようだ。
コンビニから帰ってみると家の前では妻が泣き叫び、家には火柱があがり中へは入れなかった。子供2人の焼死体を消防員が焼け跡から運び出すのを見て、放心状態になり、その後に妻と離婚してボストンへ引っ越したと思われる。元妻は、その後に再婚して子供を産み幸せに暮らしているようだ。
とにかく、主人公リーの孤独に生きる男の姿が、痛々しく映り、それでも便利屋の仕事を何でも引き受けている。暗いベッドしかない地下の部屋で、辛い過去を忘れるように、毎晩のように酒に溺れているどうしようもない男。
そこへ、故郷の兄の訃報の知らせが入り、車を走らせて帰る。病院で霊安室での兄のジョーの遺体と対面して、泣き崩れるリー。どれだけ兄貴を頼りにしていたことかが、リーのショック状態で分かる。

葬儀のことから、弁護士のところへ行き、甥っ子のパトリックの後見人になっていたこと。自分には、現在一人で生きていくのが背一杯なのに、甥っ子の世話まで出来はしない。それに、ボストンを引き払って、この故郷には帰ってきたくないのだ。甥っ子にルーカス・ヘッジズが扮しているが、若いのに中々上出来。父親のカイル・チャンドラーも渋くていい感じであり、弟のリーのことを心配している。

しかし、甥っ子が16歳でまだ養育保護の責任があり、兄貴の別れた妻は何処へいるのかさえ分からない。それが、息子パトリックと母親は連絡を取り合っているようで、元妻は妊娠をしており再婚をするつもりだという。葬式にも参列すると言っており、その兄の元妻の家へとパトリックを連れて行くも、再婚相手はキリスト教徒で、食膳の祈りとか厳格な性格で、とても引き取ってはもらえない。

結局は、リーがボストンを引き払って故郷へ帰って、兄貴の家で甥っ子と暮らすことになるのだが、高校生のパトリックは部活がホッケー選手で、趣味でガレージバンドをしており、それに恋人が2人もいて、家には一人の彼女を呼びセックスをして、もう一人の彼女の家にくるまで送るリー。その彼女の家の母親が、リーに気があるらしく夕飯を誘うも話が噛みあわない。部活のホッケー選手はともかくとして、趣味のバンドは下手くそで聞いていられない。
兄の所有している船も、エンジンが古くて管理するにもお金がかかるし、売るしかないのだが、甥っ子は、父親の思い出として釣りを楽しみたいと売らないでくれと頼んで来る。仕方なく、猟銃を処分したお金で,エンジンを新しく取り換えてパトリックのために船は置いておくことになる。

それに、もう一つパトリックが反対していることがある。それは、冬で墓地が凍っており埋葬できないので、冷凍保存をして春になってから埋葬するということだ。
それでも、故郷の町では、リーの昔の噂もあり、バーで飲んでもケンカになり、リーには住みずらいところ。ここで甥っ子と2人で仲良く暮らしていけるのか、どうかが問題でもあるのだ。
それでも、ラスト近くで甥っ子と船に乗って、釣りを楽しんでいるシーンが映し出されるのを見て、少しは心が楽になった。後見人の叔父さんリーが、悲痛で感情をかき乱されるも、人間の内に秘めた心の傷についてのドラマでもあるが、もう一つ、親になることの難しさがこの映画からひしひしと伝わって来る。
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