パピとママ映画のblog

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哭声/コクソン ★★★★

2017年04月27日 | アクション映画ーカ行
「チェイサー」「哀しき獣」のナ・ホンジン監督が、静かで平和な村を舞台に贈る戦慄のサスペンス・スリラー。謎の日本人中年男性の出現と相前後して原因不明の不気味な殺人事件が立て続けに発生する中、捜査を担当する地元の平凡な警察官を待ち受けるおぞましくも不条理な運命を、予測不能の展開で衝撃的に描き出す。主演は「弁護人」のクァク・ドウォン、共演に「国際市場で逢いましょう」のファン・ジョンミン。また、國村隼が謎に包まれたよそ者の日本人を怪演し、韓国を代表する映画賞のひとつ“青龍映画賞”でみごと助演男優賞に輝き、同映画史上初めての外国人受賞者となる快挙を果たした。

あらすじ:のどかな田舎の村。いつの頃からか、山の中の一軒家に一人の日本人が住み着き、村人たちの間にこのよそ者に対する不気味な噂が広まり始めていた。そんな中、村人が自分の家族を惨殺する謎の猟奇事件が連続して発生する。いずれの事件でも、犯人の村人は体中を奇妙な湿疹に覆われ、正気を失った状態で現場に残っていた。気のいい村の警察官ジョングは、よそ者の日本人が関係していると睨んで捜査を進めるが、ある日自分の幼い娘ヒョジンにも犯人と同じ湿疹を発見する。娘だけは何としても守らなければと、祈祷師のイルグァンを村に呼び寄せるジョングだったが…。

<感想>小さな村で起きた凄惨な殺人事件をきっかけに湧き上がった謎が、別の謎と共鳴しながら、予想もしなかった世界へと見る者を運んでいく本作。映画の中では“謎そのもの”というべき存在の“よそもの”を演じた國村隼は、脚本を読んだ段階で「こんな世界観の映画は観たこともない」と興味を持ったと言うのだ。しかしながら、ある理由からしばしの間、出演を躊躇したというのだ。

実は、映画の中ではふんどしを付けて出て来るが、脚本の段階では真っ裸という設定だったそうだ。その上、「山中を四足歩行で、まるで獣のように走り、鹿の生肉をガブガブと食らう」と脚本に書いてあったという。本人曰く、これは自分にできるのかと悩んだそうです。日本人俳優の國村隼さんは、「チェイサー」「哀しき獣」のナ・ホンジン監督は凄いと、是非にでもやりたいと申し出たそうです。
人里は離れた山中のボロ家にたった一人住むよそ者は、日本人らしきみかけはしているものの、正体は不明。動機がわからぬままの殺人事件が続くにつれ、「そういえば、あいつが村の近くに現れてから、おかしなことが起こるようになった」という噂が村中を駆け巡るようになる。日本語通訳を務める若者が、神の言葉を媒介する存在、それは教会の助祭でもあることや、画面や挿話に現れるいくつかのシンポリズムからして、これはキリスト教的な意味での「信じること」と「疑うこと」についての物語でもある。

何度観てもどのように観ても謎が残る。パズルのラストピースがピタリと嵌まり、謎が解けて留飲下がってカタルシスを得るようなタイプの映画ではないのだ。だが、しかしである、だからこそこの「哭声/コクソン」は面白いのであります。のどかな田舎の村に謎の男が住んでいる。以来、村では悪霊に取憑かれたかのような者が、家人を惨殺する事件が続発。捜査にあたった警察官の幼娘も悪霊に取り憑かれて、祈祷師が呼ばれるのだが、・・・。

それは、連続殺人事件の被害者たちが、全身に湿疹が出て来て、みんなゾンビみたいになっていく。主人公の警察官ジョングの娘が、どんどん壊れていくのは怖かった。韓国版「エクソシスト」か、「ゼブン」にも、はたまた「ゾンビ」にも見えるものの、しかし、そのいずれでもなく、単なるホラーでは括りにくい、観たことの無い映画なのである。
中でも一番の謎は、何故に山中のよそ者が國村隼さんで、何故にパスポートまで提示して日本人と規定されているのかである。中国人でもよかったのではないか、監督の希望で日本人の俳優を使いたかったようで、肝心の國村隼さんは一つのカットで、中国の仮面劇、変面のように様々な表情や演技を見せることが出来る俳優であると。

さすがに、この國村隼さん演じるよそ者は、祈祷師による霊視で悪霊とみなされます。それ故に、一見、反日的な作品とも見紛うのだ。ですが、よくよく見れば、反反日をこそ意図した映画なのではあるまいか。祈祷師がトランス状態に入り込み、喧噪的なお祓いを繰り広げるシーン、本作中で圧倒的な見せ場の一つですからね。

ファン・ジョンミンの名演による祈祷師の狂騒ぶりは、反日という呪縛に囚われる人々に重なって見えて来るのである。しかし、犯人が誰なのかはっきりとしない点、一回死んだのに、よそ者の鬼として生き返った國村隼さんなのか、謎の女(チョン・ウヒ)なのか、それともマスコミとか警察が発表した毒キノコのせいなのか?・・・判らないのが不思議。???マークが見た後に付くわけだが、監督によると、「解釈は観客の判断に任せる」ということなのか。

呪い術に翻弄され、混乱してゆく町の者たちと、観ている者をシンクロさせる「羅生門」的構成が実に巧みであった。結局は、祈祷師は後に、霊視間違いだったことを告げるわけで、韓国がこうした呪縛から逃れる必要性を説いているのではないかと思うのだが。本当の犯人は、悪霊が憑いたよそ者の國村隼さんなのかもしれないし、祈祷師なのかもしれない。
たしかに前2作とは違ったスタイルではあるが、ナ・ホンジンならではの“追いつ追われつ”なシンはしっかりと用意し、吹き出す血の量も赤黒配合色で大量にアップしている。「エクソシスト」など、他の映画からの引用はあるものの、2時間半を持たせるのは、撮影の細部がいいせいだと思った。

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