パピとママ映画のblog

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起終点駅 ターミナル ★★★★

2015年11月12日 | アクション映画ーカ行
「ホテルローヤル」で直木賞を受賞した、桜木紫乃の短編小説を原作にした人間ドラマ。判事だったころに体験した苦い出来事を引きずる55歳の弁護士が、孤独な25歳の女との出会いを経て再生していくさまを追い掛ける。メガホンを取るのは、『小川の辺』などの篠原哲雄。『壬生義士伝』、『ザ・マジックアワー』などの佐藤浩市、『アオハライド』などの本田翼が主人公となる男女を、『そして父になる』などの尾野真千子が男の人生に深く関わる人物を演じる。実力派たちの共演に加え、ロケを敢行した北海道釧路市の風景も見どころ。
あらすじ:北海道旭川の地方裁判所判事だった鷲田(佐藤浩市)は、覚せい剤事件の被告となった昔の恋人・冴子(尾野真千子)と法廷で再会。東京に妻子を置いてきた身でありながら、関係をよみがえらせてしまう。だが、その半年後に彼女を失って深く傷つく。それから25年後、鷲田は判事を辞め、妻子と別れ、釧路で国選弁護専門の弁護士として孤独な日々を送っていた。そんな中、担当することになった事件の被告人・敦子(本田翼)と出会った彼は、彼女に冴子の面影を見る。一方の敦子も鷲田に心を許し……。

<感想>佐藤浩市の大ファンと言うわけでもないが、この俳優さんの映画は良く観る。父親が有名な三国廉太郎さんで、息子である佐藤浩市も、父親似のとても演技の巧い役者さんである。前に観た「愛を積む人」の舞台も北海道の美瑛であった。妻あるいは恋人に死なれ、白髪の中年男が背中を丸めて世捨て人のような風情。

今作では北海道の釧路を舞台に、仕事で単身赴任で来た旭川で、学生時代に恋人同士であった彼女と再会して不倫関係を続け、冒頭でのベットシーンがその関係を物語っている。東京へ転勤の話が出て彼女と何処かで再出発して暮らそうと話合っていたのに、その彼女が駅のホームで、目の前で恋人が電車に飛び込み轢死してしまう。

彼女は、鷲田が家族のいる東京へ帰りたいのに、別れ話を切り出せずに一緒にどこかへ行こうと駅に行き、冴子は別れを感じ取り一番残酷な方法を選択する分けです。その時、つい彼がとった行動は、その場から直ぐに立ち去り逃げることだった。

そして、終の棲家となる釧路駅で降り、そこで自分の取った男として一番卑怯な逃げたことに、後悔と贖罪のためなのか、妻と子供と別れてその後の25年間はずっと、一人孤独に生きている。北海道での一人暮らしでの寂しさに、つい魔がさしたのか昔の女が現れ関係を持ってしまう。別れるタイミングを失いグズグズと引きずってしまう男の弱さ。そんな鷲田の過去を知りながら面倒を見る泉谷しげるの仲間がいる。

いつもそのことを後悔しているのか、表情の暗い鷲田が猫背で台所で食事を作る姿に滲みでているようだ。TVの料理番組を見ては、レシピをメモして地元の料理でザンギ(北海道版、鶏のから揚げ)や、イクラを醤油漬けにする仕草に一人暮らしの慣れが見え隠れする。

男は、彼女の冴子(尾野真千子)が、自殺をすることに気づいてやれなかった不甲斐なさを。この時の冴子との再会も、裁判所であり覚せい剤の使用で捕まったのだ。その後の女性、若い敦子(本田翼)も同じく覚醒剤使用で逮捕され、その後、鷲田(佐藤浩市)の家へ遊びに来るようになる。

だから、今度は逃げないで彼女のことを見守ってやろうと決心するのだが、覚せい剤を持って逃げた彼氏が、ヤクザの中村獅童の組の男で、前に彼を裁判したこともあり更生するように諭してあげたこともあり、覚せい剤を持ち逃げした男の女が、鷲田(佐藤浩市)の家にいることを嗅ぎ付けてやってくるのだ。
度々、鷲田の家へやってくる敦子が、父親の愛に飢えているせいか、彼の作った食事を御馳走になり、食後の珈琲を飲むシーンがいいですよね。そこで、彼女が高熱を出して、医者へ連れて行く鷲田。

敦子は、未成年で家を飛び出して、転々として今の覚醒剤男と同棲するようになったのだ。だから、保険証もなく鷲田が高額の料金を支払い、手厚く看病しておかゆまで作ってあげる優しさ。中年男とはいえ、敦子にとっては、初めて男に親切にされたのだろう。

といっても、いつまでも鷲田の家にいるわけにもいかず、敦子は故郷へ帰るから奥尻まで車で送って行って欲しいと言う。行って見ると、家は誰も住んでおらず廃墟になっていた。敦子は、仏壇には両親と孫の位牌が並んであったのを見て、全てを知り位牌を持って実家を出る。
そして、廃墟の部屋に注射器を見つけ、鷲田の感が冴えわたり、きっとここに敦子の彼氏が潜んでいたに違いないと。網小屋にいると思い、急いでいってみるとそこには、覚せい剤で朦朧としている男が寝ていたのだ。

ですが、鷲田が東京の息子に仕送りをしており、大学を出たことを釧路の職場の判事補から聞き、息子の結婚式に出席するんですかと聞かれ戸惑う鷲田。
というのも、隣の家の老人が一人住まいで認知症で、自分宛の手紙を持っていて、だいぶ月日が経ってから鷲田の手元に戻ってくる。それには、確かに息子からの手紙が2通もあり、結婚式の招待の手紙と大学を卒業したという報告と、今までの仕送りのお礼の手紙であった。
懐かしく、留守電に息子が父親にどうしても結婚式に出てくれという伝言に躊躇していたのだが、ふっきれたように我が子の好きなイクラの醤油漬けを持ち、結婚式へと東京へ向かう鷲田の姿に、やっとここから過去の罪悪感から自らを罰するという男が、再出発することを感じさせるラストに、安堵感が湧く。

タイトルの「起終点駅」とは、始まりであり終りであり、入り口であり出口でもあるという。人生に行き詰った男女の思いがけない出会いと新たな出発を、北海道の釧路市で、情緒豊かな風景の中で描いている。
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