パピとママ映画のblog

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アイム・ソー・エキサイテッド! ★★★

2014年04月05日 | アクション映画ーア行
『トーク・トゥ・ハー』『私が、生きる肌』などの鬼才ペドロ・アルモドバルによるコメディー。機体トラブルで旋回し続ける旅客機内を舞台に、オネエ系の客室乗務員をはじめとするクセあり乗務員と乗客が抱腹絶倒の騒動を繰り広げる。『気狂いピエロの決闘』などのカルロス・アレセスや『トーク・トゥ・ハー』などのハビエル・カマラら、スペインの実力派俳優が結集して怪演を披露。アルモドバル監督ならではのカラフルでポップなビジュアルに加え、アントニオ・バンデラス、ペネロペ・クルスといった大物出演も楽しい。
あらすじ:マドリードからメキシコシティへと向けて飛び立ったものの、機体トラブルが発生して上空を旋回し続ける旅客機。ビジネスクラスを担当するオカマの客室乗務員トリオは、乗客の不安を少しでも和らげようと、歌って踊り、さらには不気味なカクテルを作る。しかし、不吉な予言をするアラフォー女性、何かとクレームをつけてくるSMの女王様、泥酔状態の新婚カップルなど、クセのある乗客たちの言動が、機内をさらなる混乱に陥れていく。

<感想>予告で観て面白そうなので興味深々で観ました。いやいや、これまでの作風とは180度異なるコメディ作品。鬼才ペドロ・アルモドバル監督の傑作揃いのフィルモグラフィーの中でも史上最強にナンセンスで、オカマチックに弾けまくるおバカ映画です。
一癖もふた癖もある濃いキャラクターたちが旅客機という密室空間で繰り広げられる報復絶倒の物語は、鬼才ペドロ・アルモドバル作品のファンには異質に映るかもしれませんね。それでも、どんなにシリアスなテーマの作品であっても、常にどこか突き抜けたユーモアが入っているし、オネエ度指数も高いに決まっているのだけれど、にしてもここまであけっぴろげに攻めてくれたのは、たぶんデビュー当時の「セクシリア」以来ではなかろうかと。
だからといって本作が、後ろ向きな映画なのかというとそうではない。ご存じの通り、現在のスペインは過去最悪の経済不況に陥っていて、国民も苦しい生活を強いられている。本作の舞台が「着陸不能となり、空港の上空で旋回し続けるしかない飛行機の中」に設定されているのも、そんな母国の現状と無縁ではないと思う。

さて、本作で“国民的人気俳優の愛人”役を演じ、ただでさえ賑やかなストーリーに可憐な美の華を添えているのが、ブランカ・スアレス。現在25歳の彼女は、
アルモドバル前作の「私が、生きる肌」にも精神患者の役で出演し、かなり強烈な印象を残していた。この監督は、気に入った俳優を何度も使いたがるので有名。アントニオ・バンデラスやペネロペ・クルスのお二人さんも、ノリノリでカメオ出演している。
「トーク・トゥ・ハー」で介護士を演じていたハビエル・カマラや「オール・アバウト・マイ・マザー」の主演セシリア・ロスに、「ボルベール」のロラ・ドゥエニャスなど、アルモドバル組が再集結しているのも楽しい。
アルコールもドラッグもセックスも、何でもアリなパーティのような機内のカオスは、監督が青春を送った80年代の盛況が盛り込まれている。だから、機内で配られる媚薬入りバレンシアカクテル(シャンパンをオレンジジュースで割ったものに、麻薬を混ぜたもの)や、客室乗務員たちが歌って踊るポインター・シスターズの「I’m So Excited!」は、アルモドバルの青春時代を彩ったアイコンたちに違いない。飛行機のデザインを担当したグラフィック・デザイナーのマリスカルも当時からの仲間だという。
80年代のファッションなどアイコンが多く描かれる一方で、空港の滑走路で搭乗する、アントニオ・バンデラスやペネロペ・クルス。整備員のバンデラスが車輪止めをうっかり取り除かなかったため、車輪に付いたまま滑走。そして、ツイッターに夢中になり書き込む地上係員や、機内電話から携帯電話に電話するなど、時事性も取り入れられている。
それは、機内は監督の思い出やノスタルジーの場所で、機外では現実というコントラストを描くため。着陸の目途も立たぬまま、ぐるぐると空中を旋回し続ける飛行機は、まさに今のスペインの状況を表しているというのだ。この状況を抜け出すには、不時着も必要だと誰もが気付いている。
飛行機が不時着するシーンは、アルモドバル監督の出身地であるラ・マンチャのシウダ・レアル空港で撮影された。不景気のあおりを受けて2012年に閉鎖されてしまった空港。
それにしても、過度にエロ、下ネタ満載のコメディとは、おそらくスペイン人の気質なのだろう。そういう意味では爆笑し続ける作品だと思う。
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