パピとママ映画のblog

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インサイド・ルーウィン・デイヴィス ★★★

2014年07月24日 | あ行の映画
第66回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞したジョエル、イーサン・コーエン監督によるドラマ。フォークソングで有名な1960年代のニューヨークはグリニッジビレッジを舞台に、音楽活動に奔走しながらも苦闘するシンガー・ソングライターが過ごす1週間を見つめる。『ボーン・レガシー』などのオスカー・アイザック、『17歳の肖像』などのキャリー・マリガンなど、実力派俳優が結集する。コーエン兄弟ならではのユーモラスな語り口に加え、詳細に再現された1960年代フォークシーンの描写も見もの。
あらすじ:1960年代のニューヨーク、冬。若い世代のアートやカルチャーが花開いていたエリア、グリニッジビレッジのライブハウスでフォークソングを歌い続けるシンガー・ソングライターのルーウィン・デイヴィス(オスカー・アイザック)。熱心に音楽に取り組む彼だったが、なかなかレコードは売れない。それゆえに音楽で食べていくのを諦めようとする彼だが、何かと友人たちに手を差し伸べられ……。

<感想>アカデミー受賞監督であるコーエン兄弟の最新作。2013年、第66回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した本作は、ボブ・ディランが憧れた伝説のフォーク・シンガー、デイヴ・ヴァン・ロンクの回想録をベースに、名もなきフォーク・シンガーの1週間をユーモラスに綴った作品である。
移り行く時代の中で、懸命に生きる主人公をとおして、人生に悪戦苦闘する人々にさりげなくエールを送るストーリー性はもちろん、舞台である1961年、NYのグリニッジビレッジをリアルに映し出すべく、全てフィルムで撮影されているところにも注目したい。
それと、本作のライブシーンをすべて生の録音で挑んだオスカー・アイザックは、ジュリアード学院卒ならではの見事なギター演奏と歌声を披露しています。

また、名プロデューサー、T・ボーン・バーネットほか、人気のフォーク・ロック・バンドが参加した音楽性の高いサウンドラックも一緒に堪能して欲しいですね。
冬の柔かい光で全編が統一されているのが魅力的です。NYのライブでの埃が見えるような陰影から、シカゴのひたすら暗く沈む闇の間で、灰色の物語が語られる。
金ナシ、家ナシ、浮気相手は妊娠するとは。最近何をやっても裏目に出てばかりのルーウィン。一文無しで知り合いの家を泊まり歩く日々の中、女友達のジーンから妊娠を告げられる。
このジーンを演じているのが、キャリー・マリガンで、彼女の本当の恋人はジム・バーキー(ジャスティン・ティンバーレイク)。近年、話題作に続々と出演し俳優としても目覚ましい活躍の世界的ポップシンガー、ジャスティン・ティンバーレイクの歌声にも注目したい。
ここでは、キャリー・マリガンとジャスティン・ティンバーレイクが、ジム&ジーンとしてステージに立っている。中でも、オスカー・アイザックとキャリー・マリガンとジャスティン・ティンバーレイクの3人が歌う場面はとても素晴らしい。

そんなトラブルから逃げ出すように、ギターと猫を抱えてジャズ・ミュージシャンのローランドと悪夢のようなドライブでカナダまで旅に出るのだが、・・・。ジョン・グッドマンの使われ方が面白い。彼が演じる高慢で口汚いジャズマン、ガソリンスタンドで止まる度トイレに行く。自分もトイレをしに行くと、ローランドが覚醒剤を打って倒れていた。一緒に車に乗っていた、ビート詩人の(「オン・ザ・ロード」でディーン役を演じた)ギャレット・ヘドランド。

彼らと乗った車から見るアメリカ、冬枯れのインディアナも曇り空のイリノイも、素晴らしく陰鬱であった。挫折の帰り道、夜のオハイオで、昔別れた女の住む町をやり過ごすと、暗い夜道に猫が飛び出してきて轢いてしまったようだ。可哀相なことをしたと思っていたら、どうやら彼には猫に好かれるようないいところがあるらしい。だが、車に乗り合わせた印象的な二人の男の、その後をまったく描かないこととか。一方では、1匹の猫、その名もユリシーズの気まぐれな動きが、曇ったNYに空気を掻き回す。懐いているのか、地下鉄にも一緒に抱いて乗るのだ。
NYに戻りあらゆることに打ち拉がれ、父親と同じ船員に戻ろうと決意するも、いい加減な男なために船員免許証が姉によって捨てられてしまう。また再発行届を出すのに、お金がかかる。無一文の彼は、父親の家を売りに出し、そのお金を充てにするも、姉はその金は父親を老人ホームへ入れるお金にするというのだ。認知症の父親の世話をする姉は、そんな弟に呆れている。

ともかく、売れないシンガー・ソングライターなんて負け犬よ。キャリー・マリガンが言っていたが、人間のクズよ、クソよと虐げられても仕方がないのだ。結局は、またNYのライブハウスで歌うしかない。ラストでライブハウスで演奏している男が、ボブ・ディランのように映っている。
1961年にNYにやってきたボブ・ディランが、ヴァン・ロンクの多大な影響を受け、その服装からギター演奏スタイルまで真似し「朝日のあたる家」のアレンジまでも引用したほど。残酷な言い方をすれば、ディランが神様になろうが、ヴァン・ロンクがその陰に潜もうが、フォークソングの潮流は一つの現象でしかない。
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