パピとママ映画のblog

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ペーパーボーイ 真夏の引力 ★★★.5

2013年07月28日 | アクション映画ーハ行
数々の映画賞を席巻した『プレシャス』のリー・ダニエルズ監督が、ピート・デクスターのベストセラー小説を映画化したクライム・サスペンス。ある殺人事件を調査する兄弟が、事件の真相をめぐる複雑な人間関係に巻き込まれていく。主演は、『ハイスクール・ミュージカル』シリーズのザック・エフロン。彼をとりこにしてしまう謎めいた美女をオスカー女優ニコール・キッドマンがなまめかしく熱演するほか、マシュー・マコノヒー、ジョン・キューザックら実力派がそろう。

<感想>うだるような真夏に観るにはもってこいのような、炎天下の焼けつくような太陽と、ドロドロと地面に溶けたくなるような陰湿で残虐な作品です。主人公はフロリダに住む、ある問題によって大学を追われた青年ジャック(ザック・エフロン)と言う青年。ジャックの父は兄とそれぞれ、新聞=ペーパーに関連した職業についている。ジャックの父親は、地元新聞社の社主で、兄のウォード(マシュー・マコノヒー)は、地元を離れてマイアミ・タイムズの記者として働いていた。
郡保安官を殺害した罪で逮捕され、死刑判決をうけたヒラリー(ジョン・キューザック)という男に、これは冤罪ではないか、という疑惑が持ち上がる。

ジャックは、この事件を取材するため同僚と共に地元に戻って来た兄のウォードを、運転手として手伝うことになる。
ヒラリーには、投獄されてから文通で知り合ったシャーロット(ニコール・キッドマン)という婚約者がいた。ヒラリーの無罪を信じるシャーロットも、ウォードたちと行動を共にすることになる。
時代は、1960年の終り、舞台は人種差別、様々な偏見の色濃く残るフロリダ。この設定だけでも、かなり濃いめの空気が漂う映画だということは、察していただけるかと思うが、実際に映画を観て驚きました。監督は『プレシャス』で、虐待を受けて地獄のような日々を送る黒人少女を描いた、リー・ダニエルズ。
まずびっくりしたのが、ニコール・キッドマンが凄いのだ。女優魂に火が付いたとしか思えない、どぎつい化粧に、半ケツが見えそうなビチビチのワンピースを着て、周りからは「ビッチなバービー」つまり色情狂の40女と罵倒されまくるうえ、本当にその通りなバカ女キャラなのだ。公開待機作が、「Grace Monaco」では、モナコ王妃グレース・ケリーを麗しく演じるそうなニコールの、このふり幅の激しさは素晴らしい女優である。

また本作の殺人犯としてのジョン・キューザックは、誰も訪れない湿地帯の奥で、親族だけで暮らしているという完全に「悪魔のいけにえ」状態な男を演じているのだ。主な仕事は、ワニの皮剥ぎという、日本なら表現的にアウトなキャラを、不自然な髪形と壮絶な挙動不審さで演じきっている。

そして今、ノリにのっているマシュー・マコノヒーが、当然2人に劣るわけがない。有望で家族にも優しい記者が、ニコールたちのさらに上をいく破滅的な魂を抱えていることが次第に露わになっていく。いっさいの救済のないどん詰まり感は必見ですぞ。

この3人が初めて顔合わせをする刑務所の面会のシーンは、ただでさえ全員の顔面力や存在の重圧感が凄すぎて圧倒されるのに、ニコールの役者魂の炸裂もあって、とんでもない状態に発展していくので、ハイテンションな生き地獄に付きあわされた気分になります。子供が観る映画ではありませんから。

若いジャックが、美しくいかにも経験豊富そうな年上女のシャーロットに抱く想いはすぐに想像がつく。恵まれた環境で生きてきたとは思えない、彼女自身の境遇が、よるべない孤独な死刑因への、歪んだ同情を生む。同情はさらに愛情へと勘違いされて、彼女自身を引き返せない窮地へと追い詰めていく。

ジャックが、シャーロットに恋い焦がれるのは仕方がないこと。幼いころに母親は、兄弟を捨てて出て行ったのだ。だからという分けでもないが、年上の色気美人につい恋をしてしまったのさ。
そして、フロリダ南部の、虫や爬虫類が蠢く湿地帯へ一歩踏み込んだ後の、物理的にも精神的にも後戻りできなさ加減は、とくかくこの映画のハイライト、瀕死の絶望感で恐ろしくなり生きて帰れるのかと、最後は本当に「悪魔のいけにえ」状態になるんだろうと、ぞっと背筋が凍りつきます。
しかしながら、ラストのスリーショットが目に焼き付く悲しいボートでの構図は、何とも息苦しく胸を締め付けられる思いにさせられます。
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