パピとママ映画のblog

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それでも夜は明ける ★★★★

2014年05月02日 | さ行の映画
奴隷制度がはびこっていたアメリカを舞台に、自由の身でありながら拉致され、南部の綿花農園で12年間も奴隷生活を強いられた黒人男性の実話を映画化した伝記ドラマ。主人公が体験した壮絶な奴隷生活の行方、そして絶望に打ち勝つ希望を描き出す。監督は『SHAME -シェイム-』のスティーヴ・マックィーン、黒人男性を『2012』などのキウェテル・イジョフォーが演じる。共演には、マイケル・ファスベンダー、ベネディクト・カンバーバッチ、ブラッド・ピットら豪華キャストがそろう。
あらすじ:1841年、奴隷制廃止以前のニューヨーク、家族と一緒に幸せに暮らしていた黒人音楽家ソロモン(キウェテル・イジョフォー)は、ある日突然拉致され、奴隷として南部の綿花農園に売られてしまう。狂信的な選民主義者エップス(マイケル・ファスベンダー)ら白人たちの非道な仕打ちに虐げられながらも、彼は自身の尊厳を守り続ける。やがて12年の歳月が流れ、ソロモンは奴隷制度撤廃を唱えるカナダ人労働者バス(ブラッド・ピット)と出会い……。

<感想>本年度のアカデミー賞作品賞を受賞した、この映画は、黒人であれば避けては通れない奴隷制度というテーマで、非常に真摯で素直な作りの映画だと思います。
過去に、ピュリッツァー受賞のアレックス・ヘイリー原作で「ルーツ」が、TVシリーズで放映されてからすでに36年。あれだけのブームを呼びながら以来、黒人差別を主題としたドラマはあったもの、再び過去に戻りアメリカの暗黒史、奴隷制度を映像化した作品は皆無といっていい。
今回は、これを真正面から見つめ直して、力強い映画に仕上げた情熱と信念に脱帽ですね。不正をただ嘆き、告白するだけでなく、かすかな希望に向かって懸命に生きようとする主人公の姿に、素直に感動させられました。

1853年に出版されたソロモン・ノーサップの、体験を基にした本の映画化で、本作の主人公が自由黒人でありながら、騙され、監禁され、奴隷売買されて、大農園で強制労働を強いられた12年間の時期(1841年~1853年)と重なる。この映画は、ブラット・ピットがプロデューサーとして支援している。彼も出演、南部の綿花農園の主人エップス(マイケル・ファスベンダー)の所へ、東屋建築のため身を寄せて、そこでソロモンと出会い、彼が騙されて南部へ売られてきたこと。自分は自由黒人だと証明することを、北部の友人にそのことを証明してもらうように手紙を出してくれと頼む。
最後の方で、保安官と一緒に北部の友人が迎えに来てくれた時のソロモンの嬉しそうな顔といったら、観ていてどうなることかと、救いの手は無いのかと、でも本当に良かった。

主人公が奴隷売買のために違法に拉致されたあと、過酷な運命をたどる姿が淡々と描かれている。何をしてもご主人様の怒りに触れると、鞭打ちの拷問が待っており、それよりも熾烈なのが首吊りの刑だ。人間として扱われない奴隷たち、家畜と同じ扱いで主人に刃向うの者は死が待っている。
拷問シーンなどは壮絶に痛いだろうと想像がつくものの、監督の演出は追体験の身体的痛みを生み出し、観ている方も身が縮こまる思いで胸が痛くなる。映画は現在進行形の生きた記憶の探究の場にしようとしている。
何よりもそのことの切迫さが画面を張りつめさせている。もう思い出すことさえ困難な遠い体験を生き生きとした方法でなぞっていき、遥か彼方に失われた記憶を丸ごとわしづかみするには、このような映画の場しか残されていないのでは。
主人公のキウェテル・イジョフォーの存在感と演技は「キンキーブーツ」でも知っていたので、偉大なオーラと繊細な部分を同時に持ち合わせた、そんな主人公の人柄を上手く演じていた。

そして、マイケル・ファスベンダーの役どころは敬虔なクリスチャンなのに、サディスティックで残虐な農園主でしたね。彼は綿花畑に奴隷をつかって生産させているのですが、奴隷1人当たり、1日の綿花の積む量を決めて、その量に達しない者はムチ打ちの刑にする。女性の奴隷を自分の性の道具として毎夜慰みとして扱い、中には、可愛がられて妻のように扱われる奴隷女もいる。そのことで、妻とも揉めるのだが、妻も子共を産めないので、夫の性のはけ口を奴隷女に任せている。しかし妻は、その奴隷女に女性としての憎しみと、嫉妬が入り交じりその奴隷女を殺そうと仕向けるのだ。その女性の奴隷役でルピタ・ニョンゴが熱演し、アカデミー賞助演女優賞を獲得したのも納得できます。
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