パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞、未公開DVD、お気に入り自己所有のビデオ・DVDの感想などネタバレ有りで記録しています。

利休にたずねよ ★★★

2013年12月09日 | ら行の映画
茶人・千利休の人生を描き、第140回直木賞を受賞した山本兼一の同名小説を、歌舞伎俳優・市川海老蔵の主演で映画化。豊臣秀吉のもと「天下一の宗匠」として名をはせるも、やがて秀吉に疎まれ、武士でないにもかかわらず切腹しなければならなかった利休。
その謎を、ある女性との秘められた恋とともに描き出していく。若かりし頃、色街に入り浸っていた利休は、高麗からさらわれてきた女と出会う。その気高いたたずまいと美しさに心を奪われた利休だったが、やがて別れの時が迫る。かなわぬ恋に対する利休の情熱は、ある事件を引き起こす。
中谷美紀が利休の妻・宗恩、伊勢谷友介が信長、大森南朋が秀吉にそれぞれ扮する。監督は「化粧師 KEWAISHI」「火天の城」の田中光敏。

<感想>さすがに歌舞伎界きっての美形、市川海老蔵が茶人・千利休を演じると、実にさまになっていて美しく、茶道とはいかにもこういう所作で行うものかと、つくづく見入ってしまいました。
原作者の山本兼一に主演を熱望されたという海老さま、本物へのこだわり希望により、小道具や料理の多くは本物を使用したとのこと。特に利休が愛したという黒樂茶碗は時価数億円の「万代屋黒」。撮影では窯元の樂屋当代ですらお湯を通していない茶碗に湯をいれたそうです。京都にある裏千家の歴史的な茶室「今日庵」にもクレーンを持ち込んで撮影を行ったようですね。

茶道の名門・三千家の協力によって茶道の奥深さが描かれる本作なのだが、茶の世界に惹かれる出演者も多く、宗恩役の中谷美紀は撮影現場で皆のために茶をたてたという。
そして、2013年2月に死去した市川團十郎が利休の師匠役で出演して、海老蔵と映画での父子初出演を果たしました。かなり具合が悪そうな感じで、しかし、市川團十郎としての威厳はありました。

信長の伊勢谷くんは、威勢があってさすがに信長という役に適っている。そして秀吉の大森南朋さんは、私にしては役不足というか、香川照之さんに演じてもらいたかったです。
物語が、雷鳴とどろく中、豊富秀吉の命により3000もの兵が千利休の屋敷を取り囲むところから始まります。間もなく切腹で自らの命を絶とうとしていた利休は、妻宗恩の「ずっと想い人がいらっしゃたのでは、・・・?」という言葉で、過去に想いを馳せる利休の若き日が描かれる。
戦国の覇者である織田信長。利休の美に関する才能に惚れこんで重用し、茶の湯を自らの権力を演出するために巧みに利用した。

その後、秀吉の庇護のもとで名声を得た利休だが、利休は秀吉に素朴な味の粥を食べさせる。もともと秀吉は農民の出で、やがて秀吉の「むさぼる心」に火がつき、その立場を失っていく。これによって秀吉は心を掴まれてしまう。

秀吉は利休が隠す、利休に美を教えた“何か”を奪おうとするのだが、その“何か”の秘密は、利休の青年時代の記憶に隠されていた。
秀吉が才知にたけた利休を疎ましく思うようになり、理不尽な罪で秀吉に切腹を命じられる。それから、利休の美意識の根底には、若き日の情熱的な恋があるという大胆な発想で物語は進んでいきます。

その愛した女性、高麗の女(クララ)との出会いに思いを馳せるシーンが、一番の見せ所とも言えるのでは。そのラブロマンスの描写が、師匠である市川團十郎の屋敷に匿われた高麗の女に一目惚れし、その姫が食べ物を受け付けない事を知り、高麗の食べ物を知っている男に聞いて食材を集めて自分で作る。それを女に食べさせ、彼女も心を許すようになり、故郷へ帰りたいと二人で駆け落ちみたいに浜辺を歩く。
しかし、追ってが近づき、高麗の女は浜辺の網小屋で命を絶ってしまうという悲しい出来事があり、利休の心の奥にはいつまでも忘れられない思い出がある。
その高麗女が、いつも肌身離さずに持っていた緑色のお香の入れ物。中にはその高麗女の小指の爪が入っていた。その悲しい思い出の形見の品物。
そのことを、妻の宗恩に見抜かれるが、人間だれしもがそういった忘れられない思い人があってもいいのではないかと思う。

そもそも千利休ってどんな人なの?・・・安土桃山時代の茶人で、魚問屋を営む田中与兵衛の息子として、1522年に堺に生まれる。10代で武野紹に弟子入りし、23歳で茶会を開くほどの才を見せる。
織田信長に取り立てられ、信長の死後は秀吉に仕える。秀吉の下で「天下一の宗匠」の名を不動のものとしたが、1591年に秀吉から切腹を命じられ、その生涯を終えたという。切腹を命じられた理由は諸説あり、明らかになってない。
本作では、最晩年の利休、信長・秀吉に仕えていたころの利休、放蕩の限りを尽くしていた若き日の利休が描かれている。我々が、イメージする利休像にはない、奔放な青年時代が市川海老蔵によって、わびさびを体現した晩年までを演じ分け、息を呑むほど美しい画の数々がスクリーンに映し出されて、日本の美の原点はここにあると、思い知らされます。
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