パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞、未公開DVD、お気に入り自己所有のビデオ・DVDの感想などネタバレ有りで記録しています。

キャロル ★★★★

2016年04月15日 | アクション映画ーカ行
『見知らぬ乗客』『太陽がいっぱい』などで知られる女流ミステリー作家パトリシア・ハイスミスが52年に別名義で発表した小説を「エデンより彼方に」のトッド・ヘインズ監督が映画化。エレガントな大人の女性に心奪われた若いヒロインの切なくも美しい禁断の恋の行方を、50年代のニューヨークを鮮やかに再現した衣装・美術と素晴らしい映像美で描き出す。主演は「ドラゴン・タトゥーの女」のルーニー・マーラと「ブルージャスミン」のケイト・ブランシェット。

あらすじ:1952年、クリスマス目前の活気あふれるニューヨーク。高級百貨店のおもちゃ売り場でアルバイトをしているテレーズ。フォトグラファーという夢を持ち、恋人のリチャードからは結婚を迫られるなど、一見充実しているかに思えて、どこか満たされない日々を送っていた。そんなある日、ゴージャスな毛皮のコートを着た女性キャロルが、娘のクリスマスプレゼントを探しに彼女の売り場へやって来る。その美しく優雅な佇まいに一瞬で目を奪われ、強い憧れを抱くテレーズ。後日、ふとした成り行きからキャロルにランチに誘われ、彼女が夫ハージとの愛のない結婚生活に苦しんできたこと、そしてついに離婚を決意したことを知るが…。

<感想>50年代、ニューヨークの社交界、その煌びやかな世界には、一方では暗黙の了解があり、自由奔放な生き方は許されない保守的な空気に満ちていた。上流階級のキャロルと出会ったテレーズは、彼女の美しさに憧れを覚えるが、やがてキャロルの自分に対する感情に気づき、憧れが愛に変わっていくのだ。

パトリシア・ハイスミスの著書の中で、珍しく唯一クライム・ドラマではない作品になっている。つまり、2人が恋に落ちる瞬間をクライム・ドラマのような分析力で描いているのに、とても惹かれた。

キャサリン・ヘプバーンと、オードリー・ヘップバーンのお二人に、良く似た女優2人は、埃っぽい幹線道路に車を走らせて、因習から逃走する。それは「男の付属物」として生きることしか女には許されなかった時代に、自分の欲求するものを得ようとする旅に出る。
ですが、極めてまっとうなラブロマンスにしてセックス云々を問わずに、マイノリティーの生きづらさを描いたドラマでもあるのだ。

人妻のキャロルのタバコを挟んだ指、お互いの肩に添える手など。レズビアンにとって性的にも重要な手と指がひたすら艶めかしく映し出される。二人のベッドインの映像も美しく、禁断の恋というモラルを逸した行動が、キャロルの夫であるハージの差し金である探偵によりバレてしまう。それは、キャロルにとっては、娘の親権を貰えないばかりか、娘と逢うことさえはばかれるのだ。

全体的にラグジュアリーで、そこはかとなくサスペンスフルになっている。ラブストーリーというのは障害があることでいっそうの効果をあげるからであり、現代において2人の恋人が一緒にはなれないと言う環境は非常に稀である。

だが、昔はモラルの問題や社会性を織り込むことで、そういう時代性や背景などが、映画として非常に面白く見えるのではないかと思う。

メロドラマといえばその通りなのだが、そのソープオペラ的響きとは裏腹に、本作はこの上なく格調高く、限りなく繊細に、彼女たちの言葉にできない感情や、表現してはならない気持ちを、その視線や仕草を追うことですくいとって見せる。
これは女性同士に限らず、どんなカップルにも共通する物語であり、現代にも通じるあらゆる障害に阻まれたラブストーリーと言える。ですが、本作ではその対象が女性であるだけに、セットやコスチュームも含めてその映像美がいっそう強調されていて、眼を奪われます。
対照的な持ち味が光る二人の、演技派女優のコラボレーションとともに、胸を突く、トッド・ヘインズ監督の最高傑作でもあります。

2016年劇場鑑賞作品・・・75映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
『映画』 ジャンルのランキング
トラックバック (20)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« ミラクル・ニール!★★ | トップ | ドクムシ ★ »
最近の画像もっと見る

あわせて読む

20 トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。
『キャロル(Carol)』トッド・ヘインズ監督、ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラ、カイル・チャンドラー、他 (映画雑記・COLOR of CINEMA)
『キャロル』Carol原作 : パトリシア・ハイスミス監督 : トッド・ヘインズ出演 : ケイト・ブランシェットルーニー・マーラカイル・チャンドラージェイク・レイシーサラ・ポールソン、他 物語・195
『キャロル』 2016年1月20日 ユーロライブ (気ままな映画生活 -適当なコメントですが、よければどうぞ!-)
『キャロル』 を試写会で鑑賞しました。 どうもケイト様は好きになれない。 あの顔つきが、キツイ感じで受け付けないんだよね... 【ストーリー】  1952年のニューヨーク。デパートでアルバイトをするテレーズ(ルーニー・マーラ)は、娘へのプレゼントを探すキャロル...
キャロル (映画的・絵画的・音楽的)
 『キャロル』を吉祥寺プラザで見ました。 (1)本作の主演のケイト・ブランシェットがアカデミー賞主演女優賞にノミネートされているというので映画館に行ってみました。  本作(注1)の冒頭の時点は1952年。まず地下鉄の走る音に続いて駅で停車する音が聞こえた後、ジ...
キャロル (映画と本の『たんぽぽ館』)
惹かれ合う理由 * * * * * * * * * * 本作は1952年に、パトリシア・ハイスミスによって発表された小説。 けれど、当時は同性愛は法に触れることもあり、 別名で出版されたといいます。 今や同性婚も認められつつある時代。 だからわりと何気なく見...
キャロル (映画1ヵ月フリーパスポートもらうぞ~)
評価:★★★☆【3.5点】(P) 同性愛をテーマにしたメロドラマに付いて行けるか^^;
キャロル (風に吹かれて)
恋に落ちた相手はキャロル 公式サイト http://carol-movie.com 原作: キャロル (パトリシア・ハイスミス著/河出文庫)監督: トッド・ヘインズ  「ベルベット・ゴールドマイン」 
『キャロル』 (こねたみっくす)
「憧れ」や「代用」は恋へと昇華するのだろうか。 これは恋の物語でも愛の物語でもなく、本当の意味での恋が始まるまでの物語。キャロル・エアードとテレーズ・ベリベットの対等 ...
映画:キャロル Carol ケイト・ブランシェットの主演女優賞他、納得の アカデミー賞ノミニー × 8 ! (日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~)
ケイト・ブランシェットの「ブルージャスミン」に続いての主演女優賞が噂される今作。 アカデミー賞候補が発表されたが、まだ内容は知らないタイミングで今作を鑑賞した。 そして鑑賞直後に感じたのはまず、 ケイト・ブランシェットは、2度めの主演女優賞を獲ったな....
『キャロル』 静かに進む濃密な愛の行方 (Nice One!! @goo)
原題: Carol 監督: トッド・ヘインズ 出演: ケイト・ブランシェット 、ルーニー・マーラ 、サラ・ポールソン 、ジェイク・レイシー 、カイル・チャンドラー 試写会場: ユーロライブ 2015年 アメリカ 映画『キャロル』公式サイトはこちら。 52年、冬。ジャ...
キャロル  (心のままに映画の風景)
  1952年のニューヨーク。 デパートでアルバイトをするテレーズ(ルーニー・マーラ)は、娘のプレゼントを探すゴージャスな女性キャロル(ケイト・ブランシェット)を接客。 優雅で気品に満ちたキャロルに魅了されたテレーズは、彼女の忘れ物を送ったことからランチに...
これは不倫か?純愛か?『キャロル』 (水曜日のシネマ日記)
離婚調停中の人妻と若い女性の恋愛を描いた作品です。
私の天使~『キャロル』 (真紅のthinkingdays)
 CAROL  1952年、ニューヨーク。フォトグラファーに憧れながらも百貨店のおもちゃ 売り場で働くテレーズ(ルーニー・マーラ)は、娘へのクリスマスプレゼントを 買いに来た貴婦人キャロル(ケイト・ブランシェット)と出逢う。  我らがケイト・ブラ...
キャロル (そーれりぽーと)
ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラが出てるってこと以外、何も知らずに『キャロル』を観てきました。 ★★★ キャストだけで蓋を開けてみたら、ビアン版『テルマ&ルイーズ』(言い過ぎか)的な内容でびっくり。 だいたい、タイトルからクリスマス関係の話だとば...
「キャロル」 (Con Gas, Sin Hielo)
貫禄で巻き込みねじ伏せる。 「ジェンダー」という単語が社会的地位を得てからだいぶ経つ。様々な性的な問題が表面化し言葉も増えた。 本作で主に扱われるのは、女性同士の間に生まれた愛情だ。しかし意外なことに、映像で描かれる以上に同性愛がクローズアップされる....
キャロル (★yukarinの映画鑑賞ぷらす日記★)
【CAROL】 2016/02/11公開 イギリス/アメリカ/フランス PG12 118分監督:トッド・ヘインズ出演:ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラ、サラ・ポールソン、ジェイク・レイシー、カイル・チャンドラー このうえもなく美しく、このうえもなく不幸なひと、キャロル。...
ショートレビュー「キャロル・・・・・評価額1700円」 (ノラネコの呑んで観るシネマ)
その愛は、人生を永遠に変える。 舞台は1950年代のニューヨーク。 エレガントな大人の女性キャロルと、まだ初々しい蕾のテレーズ。 対象的な二人は共に人生の岐路に立っており、運命的に出会うと急速に惹かれ合う。 「太陽がいっぱい」で知られるパトリシア・ハイス...
キャロル CAROL (まてぃの徒然映画+雑記)
1950年代のアメリカ、女性同士の同性愛をテーマにした作品。 デパートで販売員の仕事をしているテレーズ(ルーニー・マーラ)、クリスマスのおもちゃ売り場で出会った、娘へのクリスマスプレゼントを買うキャロル(ケイト・ブランシェット)に心を奪われる。キャロルは....
キャロル / シークレット・アイズ / 教授のおかしな妄想殺人 (セレンディピティ ダイアリー)
最近劇場で見た映画、3作品の感想を簡単に書き残しておきます。 キャロル (Car
映画評「キャロル」 (プロフェッサー・オカピーの部屋[別館])
☆☆☆★(7点/10点満点中) 2015年アメリカ=イギリス=オーストラリア合作映画 監督トッド・ヘインズ ネタバレあり
キャロル (マープルのつぶやき)
JUGEMテーマ:洋画     「キャロル」 原題:Carol 監督:トッド・ヘインズ 2015年 アメリカ=フランス=イギリス映画  118分 PG12 キャスト......