パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞、未公開DVD、お気に入り自己所有のビデオ・DVDの感想などネタバレ有りで記録しています。

ジャージー・ボーイズ ★★★★

2014年09月28日 | アクション映画ーサ行
「ミリオンダラー・ベイビー」「グラン・トリノ」の名匠クリント・イーストウッド監督が、1960年代に世界的な人気を誇った伝説の米ポップスグループ「ザ・フォー・シーズンズ」と、その代表曲として知られる「君の瞳に恋してる(Can't Take My Eyes Off You)」の誕生秘話を描いたドラマ。2006年トニー賞でミュージカル作品賞を含む4部門を受賞した、人気ブロードウェイミュージカルを映画化した。アメリカ東部ニュージャージー州の貧しい町に生まれた4人の若者たち。金もコネもない者が町から逃げ出すには、軍隊に入るかギャングになるしかなかったが、彼らには類まれな美声と曲作りの才能があった。4人は息の合った完璧なハーモニーを武器に、スターダムを駆けあがっていく。ミュージカル版にも主演し、トニー賞でミュージカル男優賞を受賞したジョン・ロイド・ヤングが、映画版でも主演を務めた。

<感想>クリント・イーストウッド監督作品とくれば観ないわけにはいくまい。正直なところ、“フランキー・ヴァリ&フォー・シーズンズ”というポップグループにさして関心はなかった。ところがである、その甘美な楽曲の数々が、ノンストップで頭の中を駆け巡り、予想をはるかに超える素晴らしさに驚嘆させられた。

とびきりソウルフルな声を持って生まれたイタリア系の移民の子、フランキーと田舎町育ちの悪ガキたちトミー・デビートに、ニック・マッシの3人の若者たちが、泥棒稼業というやんちゃの度がすぎて、警察のお世話になったりしながらも、音楽への情熱を燃やし続ける。そこへ音楽的才能の高いボブ・ゴーディオが入るわけ。
そんな青春篇がまず抜群のリズム感で展開されていくのだから。メリハリのきいた語り口と、活きのいい俳優たちの演技も見事に対応しているので、ストーリーが加速していくような感覚が痛快このうえないのだ。

しかし、「フォー・ラヴァーズ」などと名乗ってなかなか芽が出なかったグループが、あるきっかけで「フォー・シーズンズ」となる。その啓示にも似た瞬間を、一目瞭然のワンショットで示す演出の小気味よさといったらない。

ノリノリの青春篇から、やがてメンバーが大人になっていき、裏切りや挫折に見まわれる展開に、いささかのダレもなく描き切っている後半部分もまた凄い。
4人の中で多額の借金をした男のトラブルをはじめ、問題大アリのその男(トミー)がグループをダメにする。絶対に反省も謝罪もしそうにないその男を通して、「悪(マフィア)」の存在が浮上してくるあたりのスリル。

だが、もともと、彼らの後ろ盾にはニュージャジーを締める、クリストファー・ウォーケンというギャングのボスがいて、フランキーの歌手としての才能を評価していた。
綺麗ごとでは終わらなくなるあたりも、その中でフランキーが、全ての借金を一人で背負い込むかたちで苦悩の後半へと進んでいく。

もとになった演劇も良く出来ていたのだろう。オールディーズ・ミュージック好きなら、「シェリー」「恋のヤセがまん」「恋のハリキリ・ボーイ」などの大ヒット曲がスクリーンを彩る。それに、俳優たちがすべてその場で歌い、ステップまで踏んでの“ライヴ”であるのが最高。人間関係の葛藤がきっちり描かれているだけに、いっそうイザコザの一切を超えて、胸キュンであり続けるのだ。

ですが、この作品自体、魅力的な女優たちをキャスティングしていながらも、男女関係は少しもロマンチックではない。フランキーの妻となった女優さんなんて綺麗だし、その娘のフランシーヌも美人で歌手を夢見ていた。
だが、それだけでは収まらなく、フランキーの離婚や長女の麻薬中毒死などが絡んで生活が荒んでいく。それでも、借金を全額返済して、落ち込んでいるフランキーに新しく曲を提供するボブ。それが「君の瞳に恋してる」で、初めて聞いたような、前にも聴いているような素敵なラブソングでしたね。

ともすればフランキーが絶対的に中心人物になりそうな物語を、現在と過去が同一画面に同居して、人物のトミーが正視しながら「悪役」によるものも含めて、複数のバージョンの可能性が鮮やかに映し出されるのだ。そこにはユーモアも漂っているし、ステージの上で、ベーシストが演奏しながら観客を見ながら内幕を披露するなどと言う、何ともお茶目で愉快な作品であります。

ラストの電柱の下で歌う「フォー・シーズンズ」が素晴らしかった。ですが、フィナーレの群舞シーンでは、インド映画のような映像で、ギャングの親分役のウォーケンも歌と踊りに加わって一緒にステップを踏んでいるなんて。野暮な理屈なんて投げ出したくなります。これが映画として全編、驚くべき力を備えた作品であることは間違いありません。
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映画評「ジャージー・ボーイズ」 (プロフェッサー・オカピーの部屋[別館])
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ジャージー・ボーイズ (のほほん便り)
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