パピとママ映画のblog

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四十九日のレシピ ★★★

2013年11月21日 | さ行の映画
NHKでドラマ化もされた伊吹有喜の人気小説を、「百万円と苦虫女」「ふがいない僕は空を見た」のタナダユキ監督が映画化。母が残したあるレシピによって、離れ離れになっていた家族が再び集い、それぞれが抱えた心の傷と向き合いながら再生していく姿を描く。
あらすじ:妻の乙美を亡くして生きる気力を失っていた良平のもとに、夫の不倫で結婚生活が破たんし、離婚を決意した娘の百合子が戻ってくる。そして、そんな2人の前に、派手な服を着た不思議な少女イモが現れる。イモは、乙美から頼まれていた四十九日までの家事を引き受けにやってきたと言い、乙美が残したというレシピの存在を伝える。百合子役で永作博美が主演。父・良平役の石橋蓮司、イモ役の二階堂ふみらが共演。

<感想>主人公役の永作博美さん、嫌いじゃないけどなんか影があるような、何だかミスキャストのような気がした。別に華のある女優さんじゃなければというわけでもないが、作品的にチマチマとした感じが、永作博美の生真面目なオーラのせいに思えてしまうのだ。父親の石橋蓮司は、オロオロとして何だか頑固親父には見えなかった。でも、お風呂で二階堂ふみに背中を流してもらっている映像には、つい吹き出してしまった。

確かに主人公の百合子は、夫との関係に問題を抱えて実家に戻ってきているのだが、実家で出会う様々な若者たちとの、ぎこちない距離感が最後まで消えない。
料理の映画だと思って、たくさん美味しそうな料理がテーブルに並ぶのかと期待したのだが、確かにコロッケパンなるサンドイッチとちらし寿司、それにいろんな料理が並んでいたが、レシピもそんなに画面には出てこないのだ。つまり、生活や料理に関する知恵が書き込まれた「暮らしのレシピカード」
母親が遺した肝心のレシピも、作劇上不可欠なお宝としての役割は与えられず、最後の娘婿にあげてしまう程度のものにすぎない。

この映画、子供が出来ないなんてたいした問題じゃない。というのをこんな大げさに扱うしかなかったのは大失敗である。というのも、49日の大宴会を家でするために、部屋を飾る母親の生きた明かしの年表を作る娘。そこで、空白の部分が目立って、子供がいなかった亡き母親のことを、自分も不妊症で子供が産めないことを涙していう。「出産をしない女の人生は空っぽだ」という百合子。これって、女の人が見たら怒り心頭なんじゃないの。

そもそも、亡くなったお母さんは後妻で、育ての親なわけで、子供が出来なかった。「どうでもいい仕来たりやシガラミを笑い飛ばしなさい、そのために美味しいレシピを残します。」という企画なんだから、そっちを強調してくれないと、旦那がくだらない愛人が出来て、妊娠までさせちゃって、という部分にこだわったせいで、その旦那が土下座までして「帰って来てくれ、やり直そう」と百合子に赦しを乞う下りで、仕上がりが汚らしくなってしまった。

それに、どの人物の行動も一貫性がなく、前後のシーンで感情が繋がっていないことに気付く。母親が生きている間に働いていた養護施設の子供たち。イモ役の二階堂ふみが可愛らしく演技して、岡田将生のブラジル人二世役の片言日本語の台詞の違和感など、それと淡路恵子の叔母さん、啖呵を切って49日の法要の席を出て行ったのに、何故か仲間を連れて戻ってきてフラダンスを踊り出すシーン。これは、演出的な飛躍があれば際立つシーンも、支離滅裂な行動に見えてしまって残念です。
タナダ監督の前作「百万円と苦虫女」「ふがいない僕は空を見た」同様、あれこれの話を盛り込んでいるが、今回はちと作品の開放感が希薄になっているように見えました。
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