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ディーン、君がいた瞬間(とき)★★★

2016年03月28日 | アクション映画ータ行
デビュー間もないジェームズ・ディーンに密着し、直後に伝説となった彼の貴重なポートレート写真を撮影した若手写真家デニス・ストック。本作は著名な写真家でもある「コントロール」「誰よりも狙われた男」のアントン・コルベイン監督が、そんなデニス・ストックとジェームズ・ディーンの撮影旅行に焦点を当て、2人の友情と知られざる素顔を描いた伝記ドラマ。出演はジェームズ・ディーン役に「クロニクル」「アメイジング・スパイダーマン2」のデイン・デハーン、デニス・ストック役に「トワイライト」シリーズのロバート・パティンソン。

あらすじ:1955年、アメリカ。野心溢れる若手写真家デニス・ストックは、初主演作「エデンの東」の公開を目前にした無名の俳優ジェームズ・ディーンと出会い、意気投合。試写を観て彼がスターになると確信したデニスは、ライフ誌にフォト・エッセイの企画を売り込むと、撮影に乗り気でないディーンを追ってニューヨークへと向い、やがて彼の故郷インディアナへの旅にも同行するのだったが…。

<感想>何だか、デイン・デハーンの容貌はそんなにジェームズ・ディーンには似ているわけではないが、視線の使い方やしゃべり方など、やり過ぎなくらいに似せているのだ。彼、デハーンも演じるためにあらゆる著書やインタビュー映像から仕草とか話方など、ものの考え方などまで徹底的に調べ上げて撮影に臨んだと言うのだ。

それに、3カ月で11キロ以上も体重を増やしたうえで、約2時間に及ぶ特殊メイクで目の色とか、髪の色、耳たぶにいたる細部までビジュアルを再現しているというのだ。だから、デイン・デハーンは芸術家の繊細さと、カントリーボーイの不器用さを兼ね備えたジェームズ・ディーンを巧みに演じているといっていい。
「エデンの東」を撮り終えたばかりの未だ無名のジェームズ・ディーンが、ニコラス・レイのパーティで、写真家デニスと出会うシーンから始まる。

アメリカ映画のファンには、まさに堪らない瞬間である。ピア・アンジェリ、ナタリー・ウッド、アーサー・キット、カザン・ワーナー社長にベン・キングズレーが扮して、周囲を彩る人物には事欠かないのだ。

エデンの東」のプレミア会場には姿を現さずに、デニスの車で故郷インディアナへ帰りたいと言うジミーの要望に応えて車を走らせる。早世の天才が、故郷のイリノイでデニスと過ごしたわずか数日の至福の時間が、この映画の全てなのだが。なんとも切ない。
これまでの映画や、書籍で語られているジェームズ・ディーンの人物像は、あまり語られていない。これはこれで問題なのだが、不明な点はないのだけれど、問題はデニス・ストックの方にある。

まだ無名のディーンを、「LIFE」誌掲載のため彼の写真を撮影するために、2人でディーンの故郷へ2週間の旅に出るのだが、人生に迷ったディーンが「ここにいるのが本物の僕の姿だ」と、故郷を愛し、華やかなハリウッドの映画の世界には無縁な、ディーンの故郷での姿が映し出される。

デニスは自分の才能をどう考えていたのだろうか、自分に苛立っていたのか、環境に苛立っていたのだろうかが解らないので、ジミーとの衝突も盛り上がらず、2人がお互いをどう変えたのかが分からずじまいに終わっている。
本作は死の半年前、ひとりの無名俳優と写真家がほんの一瞬だけ併走する物語になっている。今なお語り継がれるタイムズスクエア前での、伝説的な写真はどのようにして生まれたのだろうか。
カメラマンで映画監督でもあるアントン・コービン監督は、その被写体と撮影者の特殊な距離感をつぶさに描き出す。後に不世出の俳優と名写真家となる二人の回顧に憧れを抱いているのは強く伝わってくるし、その瞬間を俗っぽくせずにピュアに完全再現したいのも理解できるのだが。

しかし、本当に切り取っただけなので両者を知らない者には、この2週間がどれだけ凄いのかは分からないと思う。
エンドロールに映し出される、デニスが撮った写真と、本物のジェームズ・ディーンの写真が同じなので少し戸惑いを受けるが、ディーンはきっと俳優になって、有名になるのを望んではいなかったような気がしてならない。
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