パピとママ映画のblog

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幼な子われらに生まれ★★★・5

2017年09月04日 | アクション映画ーア行
重松清の同名小説を「ヴァイブレータ」「共喰い」の荒井晴彦が脚色し、「しあわせのパン」「繕い裁つ人」の三島有紀子が監督した群像ヒューマン・ドラマ。2人の連れ子のいるバツイチ女性と再婚した男を軸に、家族を築いていくことの困難さに直面した不器用な大人たちが織りなす愛と葛藤の人間模様を綴る。主演は浅野忠信、共演に田中麗奈、寺島しのぶ、宮藤官九郎。

<感想>親愛なる、傷だらけの人たちへ。血の繋がらない家族、血の繋がった他人――つまずき、傷つきながらも幸せを紡いでいく大人たちの、アンサンブルムービー。我が家へ帰るための斜行エレベーターのロケーション・センスも抜群でした。

一見良きパパに見えながらも、家庭と仕事の両方でもんもんとした思いを抱えるサラリーマン・田中信(浅野忠信)。そんな信と結婚し、いま新たな命を宿した妻の奈苗(田中麗奈)。そして、信との間にひとり娘をもうけたが、キャリアを優先させるために信との別れを選んだ元妻の友佳(寺島しのぶ)。そして、自分の人生にとって「邪魔」でしかないと家族を愛せず、奈苗と娘たちを捨てた元夫の沢田(宮藤官九郎)。

本作は4人の不器用な大人たちの姿を通して、本当の家族とはなにか、そして、血の繋がらない他人でも家族となり得る希望を見る者の前に照らし出す。脚本家・荒井晴彦、監督・三島有紀子、そして4人の実力派俳優たち──映画ファンが注目するべき、新たなる良作な映画となっている。

血の繋がらない家族が本当に家族となっていく物語はもちろん、それを織り成す4人の実力派俳優たちの演技が必見です。バツイチ同士の夫と妻、そして連れ子2人が、“本当の家族”になるまでを描いているのだが、「やっぱりこの家、嫌だ。本当のパパに会わせてよ」。バツイチ同士で再婚した妻が連れてきた長女から、そう冷たく言い放たれる。妻が妊娠をして新しく子供が生まれることと、この薫が初潮を迎えたことで、女になったということで、養父への嫌悪感が露わになり、自分の居場所が見つからない。
再婚同士の夫婦って、やっぱり上手くいかないのかなぁ~という不安感を覚える内容。確かに夫の浅野忠信は、今度こそ家族を持って幸せになろうと、それに、2人もの子供を抱えている田中麗奈を助けてあげようと思ったからなの。

家族との時間を優先する良き夫なのに、会社ではリストラの対象として出行させられたのが、倉庫作業を強いられ仕事面でも壁にぶち当たった信。それでも、スーツ姿で倉庫へ出勤する夫。うさばらしに、独りカラオケに行く浅野忠信。だが、それでも鬱憤は晴れない。
だが、職場でも家庭でも自分の居場所がなくなり、やがて追い詰められていき……精一杯誠実に生きていこうする平凡な中年男・信を演じるのは、尖がった役が多かった浅野忠信であり、いつかこの男、爆発するのでは、と思っていたが、やはり妊婦の妻に言った言葉が、「自分の体に色々なことが起きるんだったら、それはもう堕ろすしかないでしょ」と妻に苛立ちをぶつける。

奈苗は目に涙を浮かべて「嫌よ」と首を振るが、信は「ずっと考えてるけど、今だったら俺たちきれいに別れられると思う。だから、子ども堕ろして別れよう」と自分に言い聞かせるように早口でまくしたて、ため息をついて対話を拒絶する。

こんな酷いことってあるのか、なんて勝手なことを言って、観ていて結婚している女として、この夫の浅野忠信に腹が立ってしょうがなかった。男って幾つになっても、子供で成長していない。先妻の娘もいるし、再婚相手にも2人も子供がいるのに、それも承知で再婚を決めたのは、あなたでしょうに。仕事がリストラで、給料が減給されることとか、そういうこともあろうかと、何故、再婚をする時に、もう子供は作らないでおこうと約束しなかったのだろう。

妻の奈苗役の田中麗奈もずるいところがある。夫が給料を減給されるならば、自分もパートで働くことができたのに、何故か彼の子供を産みたいと、外へ働きに出るのはもう嫌だとばかりに、自分を主張する女。

先妻には、颯爽と働く大学助教授の寺島しのぶ。眩しいくらいに溌剌として仕事をし、着ている服が素敵で似合っている。それに、娘のさおりも自分に懐いているし、もしかして復縁出来るかもしれない、なんて男は考えているのかも。

しかし、一旦、家へ帰れば、反抗期の薫がまったく言うことを効かない。沢田という前の父親はDVで、娘も殴って前歯を折ったとか言うし、そんな父親でも会いたいのか。内心は、会わせたくないのだ。自分は先妻の娘に会っているのに。理不尽な答えしか出てこない。

しかし、沢田と会い、薫が会いたがっていることを話すと、今は一人で好きなことをして暮らしているので、会いたくないというのだ。「金10万円くれるなら会ってもいい」と言うので、仕方なく預金を降ろして10万円を渡す。必ず来てくれるようにと、念を入れて頼む父親の浅野忠信。DVの前夫の沢田には、宮藤官九郎さんが、ヨレヨレ感がいい。
そして、薫が本当のパパと会う日が来る。心配して、そのデパートへ行ってみる浅野忠信。すると沢田はスーツを着て、薫に土産まで買って来ていた。だが、肝心の薫が来ていなかったのだ。家へ帰ると、薫がいてパパに会ったようなそぶりをする。ウソをついている薫に、本当のパパからの土産、ぬいぐるみを渡すと、それを抱きしめて、泣きながら父親の浅野忠信に抱き着いて来るのだ。

それに、先妻の娘が突然やってきて、養父に懐かなくて、養父が末期がんで危篤状態であり、最後を見届けてやりたいのに、涙が出ないというのだ。そこで、本当の父親浅野忠信が、病院まで送っていくからと駐車場へ。外は雨、そこには現在の妻と次女が乗っていて、さおりが自分の父親のあるべき姿を見せつけられる。この終盤の豪雨で、物語を集約させる構成も素晴らしい。
ラストは、新しい家族の誕生を祝う子供たちと、やっと生まれてきた自分の子供を抱きしめて、パパになった喜びが、顔面に溢れかえる浅野忠信がいた。改めて家族の繋がりとは、何かを考えさせる物語でありました。

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