パピとママ映画のblog

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フライト ★★★

2013年03月01日 | アクション映画ーハ行
「フォレスト・ガンプ/一期一会」のロバート・ゼメキス監督によるサスペンス。奇跡的な緊急着陸を成功させた旅客機機長に浮上した疑惑と、その驚愕の真実を描く。出演は「トレーニング デイ」のデンゼル・ワシントン、「ホテル・ルワンダ」のドン・チードル、「アルゴ」のジョン・グッドマン。脚本は「リアル・スティール」のジョン・ゲイティンズ。

あらすじ:フロリダ州オークランド発アトランタ行きの旅客機に乗り込んだウィップ・ウィトカー機長(デンゼル・ワシントン)。一流の操縦テクニックを誇る彼は、この日も激しい乱気流を鮮やかに切り抜け、機体が安定すると副操縦士に任せて眠ってしまう。だが突然の急降下が、ウィトカーの眠りを破る。
機体は制御不能、車輪を出し、燃料を捨て、あらゆる手段で速度を落とそうとするが、降下は止まらない。緊迫するコックピットでウィトカーは、機体を逆さまにする背面飛行を決行。高度は水平に保たれ、前方に草原が現れた。ウィトカーは機体を元に戻し、決死の不時着陸に挑む……。(作品資料より)

<感想>この映画のストーリーラインを聞いて真っ先に、あのハドソン川に不時着させた旅客機のことを思い浮かべた。パイロットの完璧な判断力に、発揮する英雄パイロットによって多くの命が救われたことを。ところがこの作品の中では、冒頭から私たちを一気に不安な雰囲気に引き込ませる。
前の晩に客室乗務員と盛り上がった機長のウィトカー、全裸の女性にデンゼルの裸を見せられ、コカインで景気をつけてフライトに臨み、機内でも人目を盗んで酒を飲んでいる。驚きはそれだけではない。高度3万フィートでトラブル発生。ガンガンと降下する絶体絶命のピンチ。それまで少々眠かった機長は、何らかの故障で機体が制御不能に陥ると、背面飛行という離れ業で危機を切り抜け、草原に奇跡ともいえる緊急着陸を成し遂げたのである。

6人の犠牲者をだした事故原因は、機体の故障と判明するが、ウィトカーの血液中から高いアルコールが検出され、血液検査の結果が公になれば、ウィトカーは過失致死罪に問われ、終身刑となるかもしれない。会社と組合は事実の隠ぺいを選択し、弁護士のラングに説得された彼は、同乗していたマーガレット客室乗務員ら同僚たちに、公聴会で自分に有利な証言をするように頼む。
普通だったら大惨事を回避してヒーローとなったパイロットなのに、一転して彼の血液中からアルコールが検出され、公聴会が開かれることになる。この作品では、二つのドラマが同時進行させることにより、そんな巡りあわせが巧みに強調されている。
緊急着陸と並行して描かれるのは、薬物依存症に苦しむ女ニコールのドラマである。彼女は男からドラッグを渡される時、注射するのではなく吸うように念を押されるが、ある揉め事のせいでたまたま箱から転げ落ちる注射器の誘惑に負け、薬物過剰摂取で病院に担ぎ込まれる。
しかし、病院の非常階段でタバコを吸っているニコールと、事故現場から搬送されたウィトカーと偶然に出会ったことがきっかけで、やがて更生の道を歩んでいく。このニコールのエピソードはウィトカーが直面する現実の伏線となっている。彼女はコカイン中毒から立派に更生してみせるのだが、・・・。

なのに、彼は刑務所へ送られるかもしれないという不安から、アルコールに溺れていく。さらに事故の調査によって、現場からウォッカのミニボトルが発見される。
この映画で発見されたミニボトルは、単なる証拠ではない。おそらくウィトカーはフライトの度に同じことを繰り返していたはずだ。しかし、たまたまその日は、飛行機が乱気流に巻き込まれたためドリンクのサービスを中止し、そして事故が起こり、ミニボトルが問題になったのである。
有能な弁護士(ドン・チードル)にいろいろ対策を講じてもらうのだが、その計画を邪魔するとんでもないKYおっさんが登場するのである。麻薬を満タンに詰めたリュックを片手に、颯爽と現れるジョン・グッドマンの姿は、息詰まるシリアスなドラマが展開する中で、唯一の爆笑ポイントである。
悪友のハーリンなるヒッピーの生き残りらしい風貌の彼は、麻薬の調達で稼いでおり、せっかくウィトカーが我慢をしているガンバリを「ここにあるぜ」的なお誘いでぶち壊してしまう。劇中的にはとっても迷惑なおっさんなのに、面白いからまた出てこないかな~ぁ、なんて思ってしまう。
自身の抱える問題を巡って葛藤する姿を描く、人生の再生を描く物語。称賛されたまま、嘘の人生を貫くか、糾弾されても正直に生きるのか、弱さと良心との間で揺れ動く心理を、迫真の演技で表現したデンゼル。航空パニック映画として見紛う冒頭のシークエンスと、クライマックスの緊迫した公聴会のシーンは見ものです。
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