パピとママ映画のblog

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ジャッキー・コーガン ★★

2013年04月28日 | アクション映画ーサ行
ブラッド・ピットがクールな殺し屋ジャッキー・コーガンを演じるサスペンスドラマ。

監督は「ジェシー・ジェームズの暗殺」(2007)でもピットとタッグを組んだアンドリュー・ドミニク。「優しく、殺す」をモットーにする殺し屋ジャッキーは、「ドライバー」と呼ばれるエージェントから、賭博場強盗の黒幕を捜索する依頼を受ける。ジャッキーは前科のあるマーキーを探し出すが、実際に強盗を仕組んだのは別の悪党3人組であることが発覚。さまざまな思惑が交錯するなか、ジャッキーは事件にかかわった人間を皆殺しにすることを決める。共演にリチャード・ジェンキンス、ジェームズ・ガンドルフィーニ、レイ・リオッタ、サム・シェパードら。(作品資料より)

<感想>ブラット・ピットが自らプロデューサーとして名乗りを上げ、最も冷酷かつセクシーな殺し屋を演じている本作。だが、そんなキャッチコピーからは想像されるド派手な抗争劇とは一味違います。何故殺し屋のブラピの役名を邦題にしたのか、原題は「キリング・ゼム・ソフトリー」・・・直訳で「優しく殺せ」って、それってどうすんのよ。ブラピの殺し屋が言うには、「人を殺したことあるか?泣き叫んで、命乞いをして、小便漏らして大変な騒ぎだ。俺はそれが嫌だから優しく殺すことにしている」と、のた申すわけ。ブラピが久々の悪党役を演じているのだが、とにかく話の展開がダラダラして退屈極まりない。
殺し屋と言うと、ジェイソン・ステイサムのようなスカッと爽快なアクション立ち回りを思い浮かべるが、この映画ではそんなのない。
まずは、ヤクザが遊ぶための闇ポーカー場があって、レイ・リオッタが経営している。そこへある男がチンピラ二人を雇ってその店を強盗させる。そのチンピラの一人はベン・メンデルスゾーンで、「アニマル・キングダム」で法王と言うサイコキラーを演じていた俳優。今回は薬ちゅうの大ボケで、散弾銃の銃身を切り詰めろって言われて、短く切り過ぎて先っぽからショットガンの弾の頭が出ている。もうこれって銃じゃない。

二人は賭場を襲って、ポーカーをしていたマフィアたちの有り金をまき上げる。怒ったマフィアたちが雇ったのが、プロのブラピ扮するジャッキー・コーガンなのだ。なんか「アウトレイジ」系みたいですね。原作がジョージ・V・ヒギンズが70年代に書いた小説。「エディ・コイルの友人たち」という小説が、昔映画になっている。この小説は裏業界の人々の殺伐とした日常を描いているのだけど、まるで収集日にゴミを出すような感じで淡々と人を殺す。善人は一人も出てきません。
監督はアンドリュー・ドミニク。「ジェシー・ジェームズの暗殺」のあのもの凄く静かで長く、つまらなかった映画。退屈でしかたがなかったと言われて反省したのか、今回は少しは見せ場があることはある。ブラピがレオ・リオッタを殺すシーン。超ウルトラ・スローモーションで弾丸が拳銃から飛び出し、車の窓ガラスを割ってリオッタの顔にめりこんで反対側から出ていくのをじっくりと見せつける。そのシーンで流れる歌は、62年にキティ・レスターが歌った甘いラブバラードの「ラブ・レター」。まさに優しく殺せってことなのか。

リオッタは強盗された被害者なのに、彼を信じてギャンブルをしていたヤクザたちが、彼を許さない。この映画はブッシュとオバマが火花を散らす米国大統領選が白熱する2008年の、ニューオリンズが作品の舞台になっていて、映像の中で、テレビでブッシュ大統領が「リーマン・ショックで破綻した投資銀行を税金で救済する」と説明している。ここがドミニク監督のテーマともいえるのだろう。あのころ、アメリカ人は投資や不動産というギャンブルをしていた。その胴元である銀行も客の金をバブルに注ぎこんでパアにした。マフィアはギャンブルの胴元であるリオッタを許さなかったわけ。ブッシュは国民の金をパアにした銀行を国民の金で救った。それを比較して見せている。ギャング映画を通してアメリカ経済を風刺するというわけ。

話の展開でブラピは強盗たちを殺すのに、ミッキーという殺し屋に依頼するわけ。そのミッキーを演じているのが、「ザ・ソプラノス」の中年デブのジェームズ・ガントルフィーニ。ところがミッキーがもらった金を酒と女に使って、全然仕事をしない。これもブッシュ政権の財務官僚たちが金ばかり使ってまったくの役立たずだったのと似ている。

ブラピも殺し屋のくせに、アメリカ独立宣言を書いたトーマス・ジェファーソンを批判したりして、最後は大統領選挙に勝ったオバマの演説を聞いたブラピが、「テメェ、甘っちょろいこといってんじぇねえ」って、啖呵を切りながら「アメリカってのは、国じゃねえんだ、ビジネスなんだよ」って。これはブラピが大好きファンには不向きな映画ですよ。
その他にも連絡員のドライバーに、リチャード・ジェンキンスが演じて、冷静沈着な見た目とは違う切れ者を演じている。演技派なのにもったいない。
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