パピとママ映画のblog

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奇蹟がくれた数式 ★★★

2016年12月11日 | アクション映画ーカ行
「スラムドッグ$ミリオネア」「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」のデヴ・パテルがインドの天才数学者ラマヌジャンを演じた伝記ドラマ。独学で数学を学んだラマヌジャンが、異国の地イギリスへと渡り、文化の違いに苦しみながらも、著名な数学者G・H・ハーディ教授と数学を通じて友情を育み、強い絆で結ばれていく感動の実話を描く。共演にジェレミー・アイアンズ、トビー・ジョーンズ。監督は本作が長編2作目のマシュー・ブラウン。

あらすじ:数学に魅せられ独学で学ぶインドの青年ラマヌジャン(デヴ・パテル)。事務員として働きながら、孤独な研究を続けていた彼は、自らの成果を認めてもらおうと、著名な学者たちに手紙を送るが、まるで相手にしてもらえない。そんな中、ただ一人、イギリスの名門ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジのG・H・ハーディ(ジェレミー・アイアンズ)教授がその内容に興味を示し、彼を大学に招くことに。こうして結婚したばかりの妻をインドに残し、期待を胸に単身渡英したラマヌジャンだったが、植民地の出身で学歴のない彼は周囲から色眼鏡で見られてしまう。しかも直感で定理や公式がひらめくラマヌジャンにとって、その数式の証明の必要性を力説するハーディの要求がどうしても理解できない。次第に2人の間の溝は深まり、ますます孤独に苛まれていくラマヌジャンだったが…。

<感想>数学の天才と言えども、社会に生きている以上、ただ紙とペンを持って問題を解いていればいいという訳にはいかないのだ。インドの天才数学者のラマヌジャンが、彼を認めたイギリスの名門ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジのG・H・ハーディ教授に招かれて、英国へ渡る話なのだが、中でもラマヌジャンを演じたデヴ・パデル、「スラムドッグ$ミリオネア」の彼は飛びぬけて良かったが、それに老優のジェレミー・アイアンズが熱演しているのがいい。

第一次大戦下で、ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジの重々しい雰囲気が、実物撮影の効果で圧巻であった。ここが、ニュートンやB・ラッセルのいた所かと感慨深く想い、そうした途端に、民族的、階級的なせこい学閥意識の差別が嵐のようにラマヌジャンに襲って来るのだ。そういう展開と演出であり、「ある天文学者の恋文など、理数系エリート役での出演作の続いているジェレミー・アイアンズにあっては、本作でのニュアンス豊かな演技はとても感じよかった。

個人的にはもともと興味のあった作品だけに、ケンブリッジでさえ戦争が始まると、こんな抑圧的な雰囲気になるのかと愕然とさせられた。大学の荘厳な佇まいをたっぷりと見せられるのもいい。それに、意外に出番の多いバートランド・ラッセルを演じた、美形のジェレミー・ノーサムが洒落た人柄で良かった。

ですが、主人公のラマヌジャンの不遇ぶりを強調しているだけで、そこからの人生を描いていないのが惜しい。イギリスに渡って、宗教上の違いで食べ物もロクに与えて貰えず、野菜を自分で料理して食べているも、体が弱っていき、喀血をして肺を患い、病院へも金がないために行けず、治療もしていないからどんどん悪化して、死を待つしかないなんて。

それに、インドの習慣なのか結婚が早すぎたのでは、経済力もないのに、妻や母親を食べさせていく力も無く、自分の野望のためにイギリスの大学へきて、自分の数学の才能の凄さを見せつけてもね。インドに残された家族は、きっと息子が早くにイギリスの大学で認めて貰い、お金を稼いで自分たちの生活を楽にしてくれと願っていたに違いないから。

この時代では、まだインドという国も分かっておらず、気位の高いイギリスの大学で数式を理路整然と唱えてもダメなのであって、やはり紙に数式を解いて解明しなければ認めてもらえず、そのことでも、イギリス人の気位の高さから、貧乏人のインド人の若者が何を言っているのかと、邪見にされて毛嫌いされ邪魔者扱いを受ける。
ラストのエンドクレジットで、ラマヌジャンが立派な数学者でありましたみたいな、結局は認めたのだが、それも後で、天文学のブラックホールへの役にもたったということも、活字で知らされてもね。
この物語ならば、これを語らなければないだろう、これを見せなければいけないだろう、と言うものが全部きちんと押さえられているが、ラマヌジャンの置かれた待遇や努力があまりにも気の毒で観ていられなかった。
G・H・ハーディ教授が、「私には二つの偉大な“発見”がある。それはラマヌジャンの才能と、かけがえのない友情だ」と言う言葉に、それだけが短い命だった彼の救いであっただろう。
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