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【オリジナル】救助ヘリと報道ヘリ 航空法の解釈について

2017-07-13 23:23:31 | 公共航空

 過去のマリコの【オリジナル】での救助ヘリと報道ヘリについて不明瞭な表現・・「航空法81条で最低安全高度150メートル」など表現があり、改めて救助ヘリと報道ヘリの活動について、航空法の適用部分と解釈の明確化をしておきたいと思います。

 まず航空機の高度制限に関連する法律を引用しておきます。

<航空法>

(離着陸の場所)
第七九条 航空機(国土交通省令で定める航空機を除く。)は、陸上にあつては空港等以外の場所において、水上にあつては国土交通省令で定める場所において、離陸し、又は着陸してはならない。ただし、国土交通大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。《改正》平11法160《改正》平20法075

(飛行の禁止区域)
第八〇条 航空機は、国土交通省令で定める航空機の飛行に関し危険を生ずるおそれがある区域の上空を飛行してはならない。但し、国土交通大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。《改正》平11法160

(最低安全高度)
第八一条 航空機は、離陸又は着陸を行う場合を除いて、地上又は水上の人又は物件の安全及び航空機の安全を考慮して国土交通省令で定める高度以下の高度で飛行してはならない。但し、国土交通大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。《改正》平11法160

(捜索又は救助のための特例)
第八一条の二 前三条の規定は、国土交通省令で定める航空機が航空機の事故、海難その他の事故に際し捜索又は救助のために行なう航行については、適用しない。《改正》平11法160

引用ここまで

 これまで「航空法第81条によって高度制限が決められる」と私は表現していますが、正確には「航空法第81条によって最低安全高度が規定され、その「2」によって、適用外の航空機が決められる」です。そして「その最低安全高度は、航空法施行規則で決められる」となります。

 さて関連する航空法施行規則は以下です。

<航空法施行規則>

第六章 航空機の運航

(最低安全高度)
第百七十四条

法第八十一条の規定による航空機の最低安全高度は、次のとおりとする。

一 有視界飛行方式により飛行する航空機にあつては、飛行中動力装置のみが停止した場合に地上又は水上の人又は物件に危険を及ぼすことなく着陸できる高度及び次の高度のうちいずれか高いもの

イ 人又は家屋の密集している地域の上空にあつては、当該航空機を中心として水平距離六百メートルの範囲内の最も高い障害物の上端から三百メートルの高度

ロ 人又は家屋のない地域及び広い水面の上空にあつては、地上又は水上の人又は物件から百五十メートル以上の距離を保つて飛行することのできる高度

ハ イ及びロに規定する地域以外の地域の上空にあつては、地表面又は水面から百五十メートル以上の高度

二 計器飛行方式により飛行する航空機にあつては、告示で定める高度

(最低安全高度の飛行の許可)

第百七十五条  法第八十一条 但書の許可を受けようとする者は、左に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。
一  氏名及び住所
二  航空機の型式並びに航空機の国籍及び登録記号
三  飛行計画の概要(飛行の目的、日時、径路及び高度を明記すること。)
四  最低安全高度以下の高度で飛行する理由
五  操縦者の氏名及び資格
六  同乗者の氏名及び同乗の目的
七  その他参考となる事項

(捜索又は救助のための特例)

第百七十六条  法第八十一条の二 の国土交通省令で定める航空機は、次のとおりとする。

一  国土交通省、防衛省、警察庁、都道府県警察又は地方公共団体の消防機関の使用する航空機であつて捜索又は救助を任務とするもの

二  前号に掲げる機関の依頼又は通報により捜索又は救助を行なう航空機

三  救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法 (平成十九年法律第百三号)第五条第一項 に規定する病院の使用する救急医療用ヘリコプター(同法第二条 に規定する救急医療用ヘリコプターをいう。)であつて救助を業務とするもの

引用ここまで。

 で、注目してほしいのは、航空法施行規則第百七十四条「イ」「ロ」「ハ」です。

 実は「イ」は東京や大阪など都会の市街地を想定しています。仮に東京スカイツリー(高さ634メートル)上空を飛ぶと仮定すると、スカイツリーの真上では634メートル・プラス・300メートルで高度934メートルを「最低安全高度」として飛ばなくてはいけません。また、住宅密集地では高度300メートル(約1000フィート)となります。

 「ロ」については、いわゆるまったくの山の中や海の上で人がいない場所、たとえば日本アルプスとか太平洋上などを想定し、最低安全高度は150メートル(約500フィート)です。

 で、問題は「ハ」です。「イ及びロに規定する地域以外の地域の上空」というのは微妙で、「人又は家屋の密集している地域」と「人又は家屋のない地域」で違うのは「密集地ではない」ということです。想定は農村地帯などです

 もちろん、救助ヘリ(自衛隊、警察、消防機関、ドクターヘリ)が、その任務のために「最低安全高度」以下で飛行、あるいは空中停止=ホバリング=して作業をする、あるいは必要に応じて着陸することは可能です。そして、それ以外の一般機(報道ヘリ)は「最低安全高度」の上を飛ぶことが法律で決まっているわけです。

 ではどこが最低安全高度なのか? 答えは「当該地を管轄する航空当局(空港事務所など)の解釈」ということです。

 例えば、水害のあった常総市は、たしかに住宅地ですが東京23区内と比較して「密集地ではない」ということもいえます(国政調査に基づく「人口集中地」とは1平方キロメートル当たりの人口が4,000人以上いる基本単位区であること。基本単位区が隣接しており、合計の人口が5,000人以上いること・・・というのがありますが、それが即航空法上の解釈というわけではない)。

 素直に解釈し「ハ」に該当とすると、最低安全高度は150メートル。つまり報道機(一般機の分類)は150メートル(500ft)まで高度を落とすことができますしかし、「密集地である」(つまり「イ」)と解釈すれば300メートルまでしか高度を落とせないということなります。

 実は常総水害の救出劇の映像を分析した映像専門家の方によると、いずれも300~500メートルの高さからの撮影ではないかという結論でした。とすると常総市は「住宅密集地」という解釈で、施行規則第百七十四条の「イ」での最低安全高度300メートルとしたと思われます(航空当局の解釈が出たのか、あるいは自主的にそう判断したのかは不明ですが)。

 いずれにせよ報道ヘリは「航空法81条で最低安全高度以上を飛行しなくてはならず、それは飛行する地上の状況によって、航空法施行規則第百七十四条に基づき高度150メートルもしくは300メートルを最低安全高度とする」というのが正しい解釈です。

 なお、空港や飛行場以外の場外着陸できる種類の航空機も第百七十六条で定めております。最近では2013年に救急医療用ヘリコプター(ドクターヘリ)が追加となっています。

※ドローンの法律解釈は別の機会にしたいと思います。

※追記(2017年7月15日)ユーロコントロールのドローン関係のセミナーがあって、その時、出た高度のイラストがわかりやすいので追加しました。

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