ダックのパパママストア

商店街に有る、パパママストア。
  何を売る店? 今日は、何をお探しですか....? 商店街で起こる色々なこと。

コント欄

2016-12-27 18:07:39 | 鎮魂歌

赤トンボ 君のお里も 少子化か      (上越市 H・H)

こんな川柳などが載る、地元新聞に“日報読者文芸”というページがある。毎週楽しみにしている人も多いのだろう。

私の知っているお方の名前も、何度かお目にすることもある。そんな方々のうんちくやら、視点の鋭さに触れ、ほくそ笑んでいる。

家内が「あら、同名の方がいるのかしら?」と新聞に掲載されたコント欄を見て、私の方へ振り返る。

「エッ?そんな事は無いさ」と、新聞を見れば、(新発田市 S・A)さんの名前が載っている。

この方の作品は、コント欄で何度か拝見している。視点のつけどころ、どんでん返しのストーリー、最後のオチのあり方が鋭いのです。

物静かな雰囲気の方で、何度かお話もしたことがあるが、昔、私が仕事で御世話になった父上と一緒に、建設業を手伝っていたが、結婚され今は介護の仕事に就かれていたそうで、夜中の勤務が終わり、徒歩で帰路の途中、交通事故に遭い帰らぬ人に。

そんな話を人づてに聞いていて、びっくりしてから一ヶ月以上が経つ。

その彼の文面が、今週新聞紙面のコントの入選作として紹介されていた。

読めば間違いなく彼の文面の流れだ。

こんなに、度々紹介されるセンスは、人様の推論を遥かに超えた、組立てがあるのだろう。

そうでなければ、選者をうならせ度々新聞紙面を賑わす事はない。

作品名は『受験生』。我々が受験生と聞けば、若人の近未来を想う物語と思うのだが、この物語の出だしは、

“まさかこの歳で受験生になるとは夢にも思わなかった。しかし、周りを見ればほとんどの受験生は八十歳を超えている。若干、若い人も居るようだがほとんどは俺と同じ高齢者だ。”

こんな出だしで始まるのだが、“俺の受験番号は一〇五九番。噂によるとこの受験番号は縁起がいい番号だそうだが、全く実感は湧かなかった。”

“合格点は取れる自信はある。午後からは作文だ。課題は家族へ一言だった。これは俺の想いを、あれこれと思い惑う事無く丁寧に書いた。”

物語は一ヶ月後の合格発表にとつながって行くのだが、ドラマチックな結末に興味のある方は、昨日の新聞12月26日の、19面をご覧あれ。

一度読んで分からなければ、二度お読み下され、それだけ我々の年代は、頭が固くなっているんですネー。

選評は、入選作は、数々の試験を経てきた人生ですが、これは最後のというか、別世界最初のというか、試験にも合格し、めでたしめでたし。

奇想天外の発想と云うか、読み通せばドラマチックな展開だが、それが彼のストーリー力なのでしょう。

若くして無念だが、もはや彼の文筆が新聞紙面を賑わす事はないのだろう。

もっと、幸せな夢も語れたろうが、奇しくも、この物語が最後のメッセージに成るとは..。

謹んでご冥福をお祈りいたします。

                     合掌

 

追記: 年末、ヒマにまかせ、新聞の無い方の為に、コントを書き写しました。

 

『受験生』  佐藤 明

 まさかこの歳で受験生になるとは夢にも思わなかった。しかし、回りを見ればほとんどの受験生は八十歳をを越えている。若干、若い人も居るようだがほとんどは俺と同じ高齢者だ。

人生最後の資格試験に向けて事前説明会に参加した。一週間後の学科試験と作文による二つの試験。一ヶ月後に学科試験の合格発表がある。それから合格者への二次試験。正式には家族、親戚、友人などから合格者の人物像の調査という他人任せの試験だが、一定の基準点を越えると二週間後には真の合格者となり、はれて資格試験合格者となる。

「以上で説明を終わります。皆さん頑張って下さい」

 説明を聞き終わると帰りに受験票が渡された。俺の受験番号は一〇五九番。噂によるとこの受験番号は縁起がいい番号だそうだが、全く実感は湧かなかった。とにかく勉強だ。家に戻った俺に家族は悲しそうな顔をしているように見えた。八十六歳になって今更受験とは酷に見えるだろう。

 それから一週間後、午前中に学科試験を受けた。試験はさほど難しくはなかった。合格点は取れる自信はある。午後からは作文だ。課題は家族への一言だった。これは俺の想いを、あれこれと思い惑う事無く丁寧に書いた。後は一ヶ月後の合格発表を待つだけとなった。

 一ヶ月はアッという間に過ぎた。事前説明会を受けた会場に発表を見に出掛けた。あの若い男性は受かったのだろう。ガッツポーズをしている。その横のおばあさんは落ちたのだろう。悔しそうな顔をしている。さて俺はどうだろう。

「えーと、一〇五四、五七、五八、五九、」俺の番号があった。落ちた人の事を思えば声は出せない。心の中で、受かった、と叫んだ。自然と笑みが浮かんだのを思わず隠した。後は二次試験だ。ただこれは他人任せ、運を天に任せるしかなかった。

 それから二週間後、二次試験の合格発表の日を迎えた。再び会場に向かうと試験官が直接合格を伝えてくれる。受験票を提出すると番号を検索した。無表情な試験官が笑顔になった。

「いい受験番号ですね、一〇五九番、おめでとうございます。合格しましたよ」

 試験結果の評価説明をその場で聞いた後、俺はお礼を言った。そしてこの事を家族に伝える為に急いで家族の元へと向かった。

 その家族の居る場所はお墓の前だ。納骨を終えた息子夫婦、孫達、親戚が泣きながら手を合わせている。「おじいちゃん、さようなら」

 孫の声が聞こえた。俺は受験生として最後の報告をした。

「みんなのお陰で天国への資格試験に合格したよ。初七日の学科試験の作文で家族思いのおじいちゃんだった事をわかってもらえた。二次試験では今日の四十九日を迎えるまでにとても慕われていて、面倒見の良い、人に優しいおじいちゃんだった事をみんなの過ごし方でわかったそうだ。俺の人生はとても充実していて、他人様からもいい人でしたと評価を頂いたそうだ。作文で家族の愚痴ばかり書いた人や、二次試験で、悪行を重ねていたり、人道的に嫌われていたりした事が明らかになった人は、落ちて地獄へ行ったそうだよ。人生最後までなにがあるかわからなもんだ。生きている間に人の為に尽くして、人に優しく生きていけたら合格出来るからみんなもそんな人生を送ってくれよ。天国で見守っているから。そうそう、噂になっていた縁起のいい受験番号一〇五九番って、てん・ご・く・と読めるそうだよ」

 墓を後にする家族達を見送りながら俺も天国へと向かった。

 

 

ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 気合が入りませんナ。 | トップ | テープカット »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL