コンセプト
ソーラー蓄電プロジェクトの経緯からお話しましょう。 ソーラーをたくさん使うなら、きちんと業者に依頼して4.3kw程度のソーラーシステムを構築すれば、ほとんど1世帯分の電力をまかなえ、売電によって利益さえあがります。しかし、調べてみたら、それは我が家では難しいことがわかりました。なぜなら、マンションだからです。 マンションの場合、次の四つの点をクリアする必要があります。
- 置く場所があること
- マンション理事会の承認を得ること
- マンションの躯体に打ち付ける許可を得ること
- マンション全体の電力システムが売電の仕組みに対応できるよう変更すること
幸い、私のマンションにはルーフバルコニーがあるので置く場所はあります。(横にならべたら40枚くらい置けます)
ただ、理事会の承認や設置許可を得るのはとても困難です。
私は何年か前に理事長をしていたことがあります。そのとき、マンション全体に光ケーブルを導入しました。5社の見積もりを取り、3社に絞り、各家庭に説明し了承を得て、管理費の一部を切り崩して導入しました。各家庭が個別に契約するのですが、それでもマンション全体に工事が必要なのです。(マンションまでは1Gbitの光ケーブルでやってきて、集線装置から家庭までは既存の銅線で接続される。)これはとても大変な作業でした。ソーラー導入、売電のシステムを入れるには、同じ活動が必要でしょう。ましてや、たった一軒の世帯のために、全体の予算を使うのは難しいです。
ということで、東京電力からやっていきている業者電力システムには接続しない形で発電・蓄電の仕組みを作ることにしました。これを「独立電源」と言うそうです。独立電源は、停電のときに役立ちます。昨年の3.11地震のとき、私のマンションは地震の最中から夜の9時まで停電し、暗い中ですごしました。そんなとき、独立電源があれば大丈夫です。もちろん、輪番停電なんてことがあっても有る程度の電力が確保できるわけです。
目標として、以下のようなことを掲げました。
- 蓄電型にすること
停電時に、夜間、真っ暗になった経験から、蓄電は重要です。 - 拡張可能にすること
最初から最適な構成が組める自身はないので、パネルやバッテリーを増強できるシステムにします。 - 冷蔵庫や小型エアコンくらいは使えるようにしたい
冷蔵庫は定格295W、小型エアコンは550Wです。これらを夏季に輪番停電されても、その間ドライブできる程度の電力を確保します。 - プログラムでモニターできる
一応、ソーラープロジェクトの経験値を上げるための目的もあるので、プログラムを作ってモニターします。そのために、データ取得できる環境を検討します。これにより、業者電力の一部を効率よく独立電源の電力でまかない、原発にお金を払わない努力をします。
また、ソーラーをいろいろ調べていくうちに「自作したい」という危険な衝動にかられたのも、今回のプロジェクトの背景にあります。まぁ、エンジニア魂に火がついたというか・・・。
システム構成
今回購入したシステムは、次のような機材から成り立っています。拡張可能、エアコン運用、という条件から、チャージコントローラーとインバーターはオーバースペックなものを選択しています。
- ソーラーパネル「JWG190JT-72P」×2枚
中国製の単結晶パネルです。国産のを買ってあげたかったんですが、あまりにもこれが安かったのでとびついてしまいました。ヤフオク経由で1枚17,000円(送料込み)でした。定価は12万円もします。国際のパネルも通常ルートで買ったらそのくらい平気でします。
DC36V・190Wというパネル2枚です。 - バッテリー「SMF-31MS-850」×4個
国産の「G&Yu」のバッテリーです。「ディープサイクル」という大容量出力に適したバッテリーです。シールド型の鉛蓄電池です。楽天で17,800円でした。鉛蓄電池はリサイクル率が非常に高いそうなので、思い切ってたくさん買ってしまいました。読み進めていただくとわかりますが、今回のシステムはDC48V構成で構築しているので、DC12Vバッテリー4本を直列接続しています。
12V・115Ahというかなり大容量のバッテリーです。 - 正弦波インバーター「BR-P-2000」
またもや中国製のインバーターです。取り扱い説明書が中国語なのでびっくりしました。しかも外国語のものは一切ない、という・・・・。作りは昭和なにおいがします(笑)。
ヤフオク経由で、28,000円でした。
DC48V入力→AC100V(定格2000W:最大4000W)です。かなり大容量です。 - チャージコントローラー「TS-MPPT-60」
アメリカ Tri-Star社」製のバッテリーチャージコントローラーです。今回の買い物の中で、一番高いのがこれです。ヤフオク経由で58,000円もしました。通常なら13万円する機械です。かなり贅沢な機器です。これは取説が英語なので読めました。(フランス語、イタリア語、ドイツ語などの翻訳はあったのですが日本語はありませんでした)バッテリー側電圧DC12V、DC24V、DC36V、DC48Vに対応し、DC48V構成では最大入力(発電量)3200Wまで耐えられます。今回のシステムをDC48V構成にしようと決めたのはこれが理由です。このため、バッテリーを追加購入する場合は4本ずつ、ということになります。入力電圧は最大DC150Vです。これもかなりの大容量です。このコントローラーを選択した最大の理由は「Ethernet接続可能」ということです。
他にも、延長ケーブル、ガルバケースなどいくつかのものを買いましたが、それはおいおいご紹介していきます。しっかし、日本製、中国製、アメリカ製、という混合でシステムが組めちゃうのですから、標準化ってすばらしいですね。
図1.接続構成図