先日納品させていただいたホイールをご紹介します。
ある意味『究極』と言えるホイールでしょう。
構成はZIPP202ハブにSAPIM CX-RAYスポーク、そして
GOKISOハブです。
ご来店、またはお電話で私とハブに関してお話しさせていただいた事のある方は
沢山いらっしゃいますが、今日はハブに関して書いてみたいと思います。
良くお訊ねいただくのが、「ハブはどんなものが良いのでしょう?」と言う事な
のですが理想的なことを言えば、下記の通りになります。
・ハブボディー剛性が高い事
・ベアリングがアンギュラ構造であること
・ベアリングに高負荷がかかった時にも回転抵抗が小さいもの
・ハブ軸剛性の高いもの
ハブボディーの剛性に関して言えば、自転車のハブは右フランジと左フランジで
負荷を受けています。
左右の負荷が同じなら問題はないのですが自転車のハブは構造上、右フランジと
左フランジには別々の負荷がかかっています。
コーナリング時に車体がバンクしている場合もそうですし、リアには駆動力がか
かった時に、常に捩れ方向に負荷がかかっています。
このように右フランジと左フランジで負荷の差が大きい場合、ハブボディーの剛
性が低いとボディー自体の捩れが発生します。
ベアリングにかかる負荷は、車体が垂直で軸受けが完全な水平である場合、負荷
はラジアル方向(車軸に対して垂直方向)のみになります。
しかしハブベアリングは常にスラスト方向(車軸に対して水平方向)にも負荷を
受けています。
車体がバンクしている場合、路面がうねっている場合、ハブボディーが捩れた場
合などです。
ラジアルベアリング(この場合一般的なシールドカートリッジベアリング)はス
ラスト方向に負荷を受けた場合、回転抵抗が大きくなります。
従ってアンギュラベアリング(スラスト方向にも負荷を受けられる構造)が有利
ではあります。
ベアリングの接触面に高負荷がかかった場合、ベアリング個々の接触面が小さい
ほど回転抵抗は大きくなります。
また接触面が高負荷になった時、潤滑剤(この場合グリス)が油膜切れを起こ
し、回転抵抗は大きくなってしまいます。
よく無負荷でいつまでも回っているハブが良いハブと思っておられる方がいます
が、想定出来る負荷がかかった状態で考えないと全く意味はありません。
極圧性の高いグリスを使う意味はここにあるのです。
いつまでも回っているハブを作るのは簡単です。
グリスを抜いて粘度の非常に低いオイルを入れればいつまでも回っています。
しかしこれではベアリング面に高負荷がかかった時に油膜切れを起こし、かえって回転抵抗は大きくなってしまうのです。
これらを徹底的に検証し、製作されたハブがGOKISOのハブです。
自転車ハブの理想を追求した結果、出来上がったハブと言えるでしょう。
価格も飛び抜けていますが、当然性能も飛び抜けています。
ここまで妥協を排したハブは初めて見ました。
本当に素晴らしいものを組ませていただいて、良い経験になりました。
ここまでは理想的にはこうだという方向で書きました。
では、例えば一般的なシールドカートリッジベアリングを使用した軽量ハブはど
うなのか?
これは私の見解ではほとんど問題はありません。
ハブを生産しているメーカーも上記をある程度想定した上で設計・製作している
訳で、例えばNOVATECのハブとGOKISOのハブでタイムトライアルをした場合、
よっぽどの極限状態でない限り、まずタイムは変わらないでしょう。
ですから安心して当店でNOVATEC製や105、ULTEGRAハブをオーダーして下さい(笑)
しかしグレードの高いハブを使うという事が悪い筈もありません。
高級感がありますし、確かに極限状態で使用した場合の差はあるのです。
その極限状態がどこにあるのかは私にもわかりませんが(笑)
精神衛生上、良いハブであるという事はプラスでもありますしね。
グレードの高いハブは美しいですし、所有欲も満たされます。
もちろん、感じ方は人によって様々なので、DURA ACEは絶対的に走りが軽い!
CAMPAGNOLO RECORDは圧倒的に滑らかだと感じられるなら、それも正解だと思います。
GOKISOなどは確かに現在考えられる理想のハブを妥協無しに実現したもので、コンセプトは非常に素晴らしいと思います。
総論としましては、ハブはそこそこのものを使えば全く問題なく、ハブで巡航速度が上がる事は究極的な負荷がかかった時にしかあり得ません。
しかし選ぶのはユーザーの皆さんですから、ルックスや所有する満足感、予算、究極的な場面での性能差などを考慮して選んでいただけば良いのです。
しかし今回のホイールは本当に究極の一品だと思います。