たからものメモ帳

ぼんやりと感じるままに記する日記

かなしむときはいまではなく

2016-10-17 | 日記

 山本みち子さん 詩集「夕焼け買い」から

 
 「夕映え」
 

 くもの いとに

 たんぽぽの わたげ ひとつ

 
 くもは てあしを ひろげ

 ここちよい かぜのことばに

 ききいっている


 いそぐことは なにもなく

 かなしむときは いまではなく

 あることだけを ゆだねて そっと

 
 車椅子の母が 庭先の白山吹を見ている

 葉かげから 一羽の紋白蝶が浮かびあがり

 母の膝にとまる

 (ここしかない)とでも言うふうに


 蝶は傷ついた羽根を

 とじては ひろげ

 ひろげては とじ

 ゆっくりと 母の呼吸に合わせていく


 あわい意識の中で生きるひとの九十数年と

 この季節だけの蝶の時間に

 どれほどの違いがあるというのだろう

 
 大いなるものの配剤

 偶然で 必然の出会いに気がつかぬまま

 母も 蝶も

 今日の夕映えにつつまれている


 


 うかつにあれこれ言いたくない詩ですねえ。

 いそぐことは なにもなく
 かなしむときは いまではなく
 あることだけに ゆだねて そっと

 (ここしかない)とでも言うふうに

 のところがとても好きです。
 
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