TDY、Temporary Duty。アメリカの軍隊用語で出張を意味する。世界の僻地の出張記録!TDYの次は日常の雑感

現役時代の出張記録。人との出会いと感動。TDY編を終え、写真を交えた日常の雑感を綴る。

折々の写真&雑感 78

2016年09月12日 | エッセイ
 もうかなり前の話になるが、食料品を扱う店の棚からジャムが姿を消したことがあった。特にイチゴのジャムは皆無になった。ちょうど私が貿易会社を始めようとしていた時期であった。日本の食料品は高すぎると感じ、アメリカから安い食料品を輸入することを思いついたのであった。私のアメリカ空軍勤務は、最初は不動産課でアメリカ空軍が所有したり、借りたりしていた不動産の管理が主な業務であった。それから、当時のハワイ二世の上司に誘われ、「カミサリー・ストアー」に移籍した。給料もかなり上がった。このカミサリー・ストアーとは大型のスーパー・マーケットとお考え頂きたい。軍人や軍属のために生活必需品を提供する店である。また、デパートの外商部に相当することもやっていた。一番大きな取引は「トループ・イッシュー」と云われる部隊への食料品やタバコの供給である。また、NCOクラブ(折々の写真&雑感の74をご参照願いたい)や将校クラブ、病院、学校等々へも供給していた。そこの経理担当を手始めに経理責任者、最後には仕入れの責任者をやった。このカミサリー・ストアーで扱っていた商品は8,000品目ほどあった。その中でどの商品の味がよく、どの商品が最も売れるかの知識は全て私の頭の中に入っていた。その経験を活かし、アメリカから安く上質な食料品を輸入することを思いついたのである。だが巧くいかなかった。日本の流通、価格、商習慣に全く無知であったからである。以下にその顛末を記したい。

 ジャムがないことで、アメリカで最も味がよく上等な「メリー・エレン」と云う会社に手紙を書き、日本への販売権を獲得した。ここまでは大成功だった。而し、日本国内での販路を持っていなかった。従って友人の経営する食料品会社を経由し、その会社と取引のある大手の卸売販売会社を通して販売を行うことにした。メリー・エレンのブランドは国内では全く知られていなかった。それで、扱う商品は一番小さいサイズの、中身が100グラムほどの一番小さいサイズの物から始めることにした。私の輸入価格は100円前後だったが、小売店の店頭に並ぶときは600円ほどになってしまう。いくら味がよく、上等なジャムであってもこの値段では売れない。火傷する前に私は撤退した。

 次に目を付けたのが「ストックリー」の野菜や果物の缶詰であった。ストックリー社は将来の日本市場のことを考え、私に販売権をくれるのを渋っていた。而し、「販売はホテルの業務用」に限定することで販売権を手に入れた。東京の代表的なホテルに売り込みに行くと、担当者はストックリーの名前を知っており、中には少量だがストックリーの製品を既に使っていたホテルもあった。商談は成功かに見えた。だが、見積もりを持っていくと、「これは偽物じゃないのか?」と云われた。ストックリーの缶詰がこんなに安く買えるわけがないと云うのだ。いくら説明しても納得してくれなかった。あのとき、2倍か3倍の値段をつけて持って行ったら、今は持て余すほどの蔵が建っていたかもしれない。

 以下は私が愛してやまない猿どもの写真である。地獄谷の野猿公苑は原則として猿に餌付けをしていない。而し、山に住む猿が一匹でも野猿公苑に来るように、温泉の中や通路に多少の小麦を撒く。釣りのコマセ(撒き餌)のようなものだ。それで猿は満腹しないが、多少は腹の足しになる。写真でお分かりのように、小麦の入った箱には蓋がしてあり、猿の力では開けられないようになっている。この日は苑長さんが蓋の上に座っていた。

 何回も通っているうちに、かなり猿語が理解出来るようになった。可能な限り正確な注釈を付けた。


EOS5DにEF70-200mm、2.8Lを装着。 ISO:100、 f11、 1/500秒、 露出補正:-1、 WB:オート。
「オジさん、ちょっと、オジさん」。


EOS5DにEF70-200mm、2.8Lを装着。 ISO:100、 f11、 1/400秒、 露出補正:-1、 WB:オート。
「オジさんたら、オジさん。エサちょうだいよ!」。


EOS5DにEF70-200mm、2.8Lを装着。 ISO:100、 f11、 1/400秒、 露出補正:-1、 WB:オート。
「エサちょうだいってば…」。


EOS5DにEF70-200mm、2.8Lを装着。 ISO:100、 f11、 1/400秒、 露出補正:-1、 WB:オート。
「返事してよ、オジさん!」。


EOS5DにEF70-200mm、2.8Lを装着。 ISO:100、 f11、 1/400秒、 露出補正:-1、 WB:オート。
「ダメか、、、。しょうがねぇな」。


EOS7DにEF24-105mm、4Lを装着。 ISO:100、 f5.6、 1/60秒、 露出補正:-1、 WB:オート。
「我が息子の非礼、深く深くお詫び申し上げます」。


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2 コメント

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食料品の高値 (M/M)
2016-09-12 10:17:24
食料品の値段の高さの仕組みの一部がぼんやりとわかりました。
Jamcoさんの猿語の上達に驚いています。発音が難しいのでは?
生産者の利益 (Jamco)
2016-09-12 10:28:25
最近は流通の問題だけではなく、生産者の利益率の上げるために、やたらと手をかけ、一円でも高く売ろうとしている姿勢かあります。我々は曲がったキュウリでも、一円でも安く買いたいです。
猿と話すときは手真似です。発音は難しすぎます。

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