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忘れたくなかった人。

2016-10-08 12:22:30 | 感想箱
まだ会ったことのない君を、探している。


――君の名は。(2016)


初めて見た感想は、「すごい映画を見た」の一言。
私の「初めて」をいくつもさらった映画になりました。(笑)


基本気になる映画はDVDまで待って、映画館へ見に行くことは滅多にない私。
気にならない映画はテレビでやるまで待ちます。


映画館で見る価値のある私的条件は、「映画館栄えする映画であること」。
アクションあり、笑えて泣けて、恋愛もあり、実写であり、
映画館の音響設備やスクリーンを最大限生かせる映画。
(「図書館戦争」「ballad 名もなき恋の歌」は映画館で見てよかったです。)


「君の名は。」は、当初その条件には合っていなかった。
でも映画公開前から見ると決めていました。


理由は、RADWIMPSです。大学時代、私の青春。
最近アルバムを聴き直して好きな曲が増え大好きになり、
そのRADWIMPSが劇中歌を全て担当するということで、
映画公開を楽しみに待っていました。


アニメはジブリやディズニーしか興味ない。
「君の名は。」のキャラはアニメっぽくてむしろ嫌い。
「ラッドを映画館に聴きに行こう」という動機で映画を見に行った私。


すごい映画でした。音楽目当てで見に行って、予想外のストーリーに引き込まれた。
初めて映画2回見に行きました。
初めてパンフレットを買いました。
DVD出たら買います。


今まで見た映画の中で一番好きかもしれない、という満足度。
よりによってアニメ。
でも本当によかったんです。


一度目に見たのが9月初旬。
聞こえてくる映画の評判に、「そうだろう」と満足する私なのでした。


…語りすぎました。ではあらすじを。




千年に一度の彗星飛来が目前に迫ったある時。
田舎町で暮らす少女、宮水三葉に不思議な現象が降りかかる。
記憶が1日飛んで、その間に自分には身に覚えもないことをやっていたと周りから伝え聞く。
授業のノートには、書いた覚えのない「お前は誰だ」の文字。


一方で、自分は全くの他人の人生を送っている夢を見る。
都会の男子高校生、立花瀧として過ごし、
学校生活やバイトなどリアルすぎる1日を過ごす三葉。
1日の終わり、「お前は誰だ」の落書きを思い出し、手のひらに自分の名前を書く。


やがて二人は、これが夢ではなく実際に1日お互いに入れ替わっていることに気付く。
お互いの体で相手が好きに振る舞うことで、不満を募らせる二人。


瀧の入った三葉は、勝ち気な性格でスポーツができ、男女問わず告白されるようになり、
三葉に入った瀧は、バイト先の憧れの先輩と持ち前の女子力で親しくなる。


三葉は瀧の憧れの先輩を、瀧に代わってデートに誘うことに。
デート当日、三葉は自分の体で目覚める。
瀧自身が憧れの先輩とデートすることを思って、良かったと思いながら、
なぜか涙が流れる三葉。


一方三葉との入れ替わりのお陰で、憧れていた先輩とのデートにこぎ着けた瀧だったが、
ぎこちなくてうまくいかない。


それどころか、先輩から「好きな子いるでしょ」と言われ、何も言えなくなってしまう。
先輩と別れた瀧は、初めて三葉に電話しようとするが、電話は通じないままで、
それ以来入れ替わりは起こらなくなった。
瀧は三葉に会いに行くことを決め、微かな記憶を頼りに三葉の故郷を探すが、
そこで真実を突き付けられる…。


という感じ。ここからネタバレです。





…冒頭の彗星が落ちていくシーンの空が綺麗すぎて、映像の美しさにやられました。
初見では、素直に映像美に感動して見てましたが、2回目に見ると、
この彗星の為に三葉の故郷が街全体破壊され、多くの人の命が失われているわけで、
それを思うとぞっとするほどの美しさなんですよね。
2回目に見たときに一番印象が変わりました。


その後のオープニング、ラッドの「夢灯籠」。
静かな映画館にボーカルの声が染み渡り、映像美と相まって鳥肌が立ちました。
ここで既に映画館に見に来て良かったと思えた。


そして二人がお互いに現実で入れ替わっていることに気付いてからの「前前前世」。
ここで来るか!うまい!と思わせるテンポのよさ。
いや、前前前世はメイン主題歌だから、エンディングで使われると思ってたんですよね。


また三葉が初めて目にする東京の美しさと言ったら。
車道を車が流れるカットが、よく見ないとアニメに見えない。実写かと見まごう映像。
実写より綺麗なアニメーションなんて、あり得ていいのでしょうか。


そして…ついに三葉の故郷を突き止める瀧。
糸守町を見渡せる高台に立ち、三葉に入って見た
彼女の故郷が無残に破壊された様子を見て絶句する。


それまで高校生の男女が入れ替わる幸せな話だと思って見ていた観客も、
予想外のストーリーに息を呑む場面。
ここから前半とは全く違う物語になって、ぐんぐん引き込まれて行きました。


図書館で糸守町を調べる瀧。
死亡者リストをめくり、彼女の名前があって絶望し、同時に混乱する。


同じ時を生きていると思っていた三葉が、実は彗星の落ちた日に亡くなっていた。
自分は3年前の彼女と入れ替わっていた。
だから電話は通じない。入れ替わりも起こらない。


三葉が瀧のスマホに残した入れ替わり日記が文字化けし、みるみる消えてなくなってしまう。
瀧自身も、三葉と入れ替わっていたことが夢のように感じ、
記憶も曖昧になり彼女の名前も思い出せない。


思い出せないながらも、彼女を救いたい一心で瀧は、あることを思い出す。
彼女が実家の神社の儀式で作り、瀧が彼女の体で御神体に奉納した口噛み酒。
彼女の半身、「片割れ」。


御神体にたどり着き、口噛み酒を飲んだ瀧は昏倒し、再び夢を見る。
彼女の片割れが流れ込んだ瀧は、彼女が生まれてからの人生を一緒に追体験する。


その中で、彗星の降る前日、彼女が3年前の自分に会いに来ていたこと、
いつ誰にもらったか忘れても、何となく身に付けていた紐が、
実はそのときに彼女に託された「組紐」であったことを思い出す。


赤い組紐が二人を結びつけ、瀧は三葉の名前を思い出し、
目覚めると彼女にまた入れ替わっていた。
生きている三葉に喜びの涙を流す瀧だったが、その日は彗星の落ちる当日。


瀧は三葉として何とか彼女の運命を救おうとするも、
かつて入れ替わりを経験した彼女の祖母にも、町長である彼女の父にも
自分の話を信じてもらえない。
彼女の父からは、娘ではないと勘づかれ「お前は誰だ」と言われる始末。


説得を一旦諦めた瀧は、彼女の友人に頼み込んで一計を講じる。
一方、3年後の瀧と入れ替わった三葉は御神体で倒れていたところで目覚め、
彗星落下後の壊滅した糸守町を見て自分が死んだことを悟る。


計画の段取りをつけたところで、瀧は三葉に呼ばれた気がして、
1人御神体へ向かって三葉を探し始める。
三葉も瀧を探すが、三葉は3年後の御神体にいて、瀧は彗星落下前の御神体にいる。
3年の時差がある二人。会えるはずがなかったのだが。


日が暮れかけて、誰そ彼時。
この世と彼の世、別世界がつながる「片割れ時」。
お互いの姿が見え、三葉と瀧は互いの本来の姿で初対面する。


会えるはずもない運命の中出会えた二人は、他愛ない会話で痴話喧嘩するが、
彗星が落ちてくる猶予もない。
瀧はお互いの名前を手のひらに書いておこうと提案し、
三葉の手を取ってペンで書く。
三葉も書こうとする途中で――片割れ時が終わり、ペンだけが落ち、三葉の姿はなく、
瀧は3年後の壊滅した糸守を見下ろす御神体に取り残される。
三葉に組紐と共に運命を託し、瀧は三葉の無事を祈るも程なくして彼女の名前を忘れてしまう。


瀧から託された計画を引き継ぎ、彗星が落ちる前に町民を避難させるために走る三葉。
やはり瀧の名前が記憶から薄れていく中、転んだ拍子に手のひらを見る。


…ここ、瀧が本当に名前を書いてたんなら、その場面を描くはずだと思ってました。
作り手として、絶対描きがいのあるシーンのはずだから。
でも瀧が何を書いたかは映されなかったから、きっと名前は書いてない、
好きとか書いてあるんじゃないかと思っていてこの場面。


よし来た!と思いました。(笑)
いや、こういうお約束が好きなんです。予想通りでいいんです。
ハイライトでサビがくる、「スパークル」も最高でした。


…「すきだ」と書いてある手のひら。
名前は思い出せなくなっても、生きてもう一度会いたいと立ち上がり、再び走り始める三葉。
無情にも彗星の核が分裂し、軌道が逸れた彗星の一部が糸守町に落下し、
町を破壊したところで3年後。


瀧の記憶が薄れ、「知らない山」で目覚め3年後の瀧から物語が始まる。
さらに2年経ち、就活中の瀧は、ずっと何かを探している、何か大切なことを忘れている気がするが、
それが何かはわからないまま毎日を送っている。

5年前彗星の衝突で壊滅した町のことをよく調べていたり、
行ったこともないのによく知っているような気がしたり、
自分でもよくわからない感覚に戸惑う瀧。
町は壊滅したが、その日は大規模な避難訓練を行っていて、結果町民の多くは無事であった。


やがて就職して、いつからか通勤電車で窓の外に何かを探すようになる。
そしてある時、反対方向の電車の窓に赤い紐を髪に結わえた女性を見つけ、
彼女こそ自分のずっと探していた人だと直感し、電車を降りて女性を探す。


探すが、会えるわけがないと諦めかけたとき、坂になった階段でその女性の姿を見つける。
会えたけれど、名前も知らないその人に声をかけるのをためらう瀧。


女性とすれ違い、歩いていく。
このまますれ違ったままで別れていいのか。
意を決して話しかけると――その女性も同じように振り返り、涙を流していた。
その女性は組紐で髪を結んだ、成長して東京に移り住んだ三葉で、
お互いに「君の名前は」と問いかけてエンディング。



…本当によくできた、いい映画でした。
一度見たら必ず2回、いや何回でも見たくなる。
本当にすごい映画って、月並みな感想しか出てこない。
確かに、主人公と同じ年代のときに見たかったと思うような作品ですね。


映画の核、彗星の衝突で町が壊滅する。
美しい湖岸が破壊され、電車が脱線して時が止まった町。
隕石の衝突で地表ごとえぐられ、大部分が新たにできた湖の下に沈んだ。
一瞬にして世界が変わり、3年後も時が止まったまま取り残されている。

…東日本大震災があり、熊本地震があり、台風で冠水して
濁流が町に流れている様子をテレビで見させられる現実。
これが日本で現実に起きていることかと目を疑う映像。
映画であればと願っても、映っているのは確かに日本の町並みで、だからこそ異様でむごい。


大震災以来、ニュースで災害の映像を見ると無意識に涙が流れている。
昨日までその町で暮らしていた生活の営みが、一夜にして奪われる。
地震が起こった時間で止まったままの時計のように、時を止めた人もいる。
災害がなければ明日も笑って会えたはずの人が、もう戻らないとか。


信じられないだろうな。
災害のなかった時に戻りたいだろうな。
戻れないとわかってるけど。


もしかしたら自分だったかもしれない。
今回はたまたまで、いつか自分に起こる時が来るかも。
そう思うととても他人事とは思えなくて、気付くと泣いている。


監督もこの映画を作るとき震災のことを意識したと聞く。
物語くらいハッピーエンドでいいよ。
実際には、昨日には戻れないから、せめて映画では、救いがほしいです。


大好きな映画になりました。まだ見てない人は、ぜひ見てほしいです。
見終わってから、まだ見てない人には薦めたい、見た人とは感想を語り合いたい、
そんな気持ちになれるのは、いい映画なんだと思います。
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