凛太郎の徒然草

別に思い出だけに生きているわけじゃないですが

旅と温泉 その3 露天風呂

2006年01月21日 | 旅のアングル
 前回からの続き。ちょっと露天風呂について別枠で書いてみたい。

 露天風呂というものは気持ちいいもの。これはまず「頭寒足熱」を地でいくからだろう。いつまででも入っていられる。のぼせる確立が低い。それに加えて…開放感。なんと言っても爽快なのだ。風景のいいところはまたたまらない。あまりに無防備だと女性には入りづらいが、僕などは見られても特に問題はないので堂々と入っている。なーにかまうものか。
 露天風呂は多くの温泉旅館に設えられている。東海一と言われる奥飛騨新穂高佳留萱山荘の大露天風呂には、僕も珍しく宿泊して浴した。そりゃ気持ちいい。広い露天風呂は他にもあって、例えば水上の宝川温泉は東日本一の広さを誇っているらしい。是非入ってみたい。
 北海道の丸駒温泉は、支笏湖畔にあって湯面と支笏湖の水面が同じ。あの広い湖に入っている錯覚をおぼえる程でそりゃ気分がいい。
 露天風呂にも様々あるが、旅館内部の露天風呂は日帰り可能のところもあるが、たいていは泊まらないと味わえない。ここで書くのは旅館の中にしつらえた露天風呂ではなく、それ以外の宿泊施設を伴わない露天風呂について書いてみたい。


<共同露天風呂について>
 これは、温泉街が作った露天風呂ないしは公共で管理している露天風呂を指しているつもりである。いわゆる温泉街の外湯・共同浴場に分類されるべきだが、ちょっとピックアップしてみる。
 たいていの施設は温泉街のサービス的役割を果たしていて、廉価、もしくは寸志、無料で入浴出来る。実に有難いことだ。

 有料の施設は設備も充実している。脱衣室も完備していて女性用もちゃんとある。大好きな草津温泉にも圧倒的な広さの草津西の河原露天風呂がある。とにかく広い。女性用は知らないけれども、男性用の露天風呂は開放感溢れ、空の広さがたまらない。むろん外からは丸見えであるが。
 川のせせらぎも嬉しい白骨温泉共同露天風呂、宮崎のおおらかなえびの高原温泉露天風呂、太平洋が一望の白浜温泉崎の湯(この間まで無料だった)などなど、印象に残る素晴らしい温泉は数々ある。内風呂もあるのでここにとり上げるのはどうかと思うが、信州馬曲温泉望郷の湯などは、高地にあってアルプス一望の絶景の露天風呂だ。また行きたい。

 無料の温泉にも素晴らしい所は多い。温泉街の真ん中で丸見え、少し(かなり)恥かしい下呂温泉、三朝温泉、奥津温泉などの施設もある。これは女性には無理だろうけれども、開放感がすごい。そうした中で、岡山湯原温泉砂湯は川沿いの空気と雰囲気が実によく、温泉街混浴丸見え温泉のベストと言えるだろう。なお湯原温泉砂湯は水着は不可だがバスタオルで隠すのは認められている。なのでおばちゃんと混浴、という場面は多い(一度だけ若い女性を見た。勇気あるなあ。素晴らしい)。
 負けずにいいのは北海道知床の岩尾別温泉。「ホテル地の涯」の敷地内にあるのだが無料で開放されている。湯船が三段に作られ、脱衣所こそ無いが雰囲気は最高だ。昔早朝から、宿に泊まり合わせた旅人達と羅臼岳に登頂し、下りてきて疲れた身体を男女かまわずこの温泉に沈めたその愉悦は忘れられない。若かったなあ。

 無料でも混浴でなくちゃんと男女別で、脱衣場もある施設もある。信州の北のはしには、こもれびの綺麗な小谷温泉雨飾露天風呂がある。ブナ林に囲まれ温泉浴と森林浴が同時に味わえる。ここは大好きで何度も行った。こんないい露天風呂が無料でいいのかとも思うが、幸せは享受することにしよう。栃尾温泉荒神の湯、燕温泉黄金の湯など、中部地方にはこういういい温泉がいくつかある。
 北海道は知床の羅臼温泉熊の湯は、キャンパーなら知らない人はいないだろう。野趣溢れる原生林に囲まれた素晴らしい風景の露天風呂。これで無料で脱衣場もありしかも男女別に管理されているとは信じられない程だ。そもそも温泉客ではなく漁師さんなどが利用する共同浴場にルーツがあるらしい。温泉街が管理、ではなく地元有志に守られているとの由。この温泉のそばに利用料無料の「羅臼温泉野営場(通称熊の湯キャンプ場)」がある。知床の大自然とこの無料露天風呂のためにこのキャンプ場には長期滞在者が多い。なんせ居心地がいいのだ。中にはここにテント張りっぱなしで漁業のアルバイトをしたりしている半生活者もいる。テントに表札を出しておくと郵便物が届く、というウワサも。僕もこのキャンプ場には20年前滞在し思い出が深い。今はどうなっているのだろうか。(話が反れた)


<天然露天風呂について>
 地元の有志の方などに管理される、或いは全く管理されていない、天然の状態に近い露天風呂がある。基本的に無料もしくは寸志、そしてほとんど混浴。脱衣場もたいていは無い。
 しかし、その野趣溢れる佇まいのお湯に浸れるというのは旅の醍醐味である。
そういう天然露天風呂の中で、最も有名なのは知床のカムイワッカ湯の滝であろう。川がそのまま温泉であり、知床の山奥に存在し急斜面で滝になっている。滝壺が何ヶ所かありそれがつまり「露天風呂」な訳だけれども、昔は知る人ぞ知る温泉だったのだろう。しかし僕が訪れた20年前はガイドブックにも載るようになっていて、ライダーを中心に盛況状態だった。しかしそれでも野趣は十分に残されていて気分が良かった。渓流を2、30分遡らなくては行けなかったので(また硫黄成分で滑るのだ)限られた人しか行けなかったということもあるだろう。のんびりしていた。滝壺は深く、足が立たない。潜ってしまうと酸の強いお湯が目に沁みて辛いのもまた一興だった。現在は観光名所であり、ツアー客も訪れるようになり観光バスが並ぶ。登り口には滑り止めの足袋やゾウリをレンタルする業者も現れ、入浴客ではなく見学客の方が増えた由。入浴していたら観光客のオバちゃんにジロジロ見られて恥ずかしかったという話も聞く。秘湯がひとつ消えたのだ。まだ脱衣場はなく湯壷は自然のままに残されていることが救いだろうか。

 北海道は天然露天風呂王国だ。養老牛温泉からまつの湯、薫別温泉、相泊温泉、セセキ温泉、平田内温泉…。熊が出てくるのを怖れながら入浴する温泉もまだ存在する。素晴らしい。知床の付け根にある川北温泉は、林道を山へと5kmほど遡ったところにあり、かつて一軒宿があったのが焼失し、湯船だけが残されているという変わった温泉で、一応男女別となっている。仕切りは低いが。ここは男女のお湯それぞれ泉質が違うという珍しい温泉で、誰も居なかったのを幸いに女性用にも入った(秘密)。
 雌阿寒のオンネトー湯の滝もやはり滝壺温泉であるのだが、現在はここの「マンガン層」が天然記念物に指定され入れなくなった(現在は下流に新しく人工露天風呂が作られている)。入っておいてよかったなあ。
 憧れのヌプントムラウシ温泉。これは本当に山奥だ。国道からそれること50km、後半はダートとなる。マニアでしか行かないだろう。何故ここが憧れなのかと言うと、かつてこの50kmの道を車で分け入ったことはあるのだが、ダートにさしかかってしばらく経って、飛ばして降りてくる対向車に激突され事故になってしまい、あとちょっとのところで入浴し損ねたいきさつがあるのだ。うーむ。僕はもう一度チャレンジしたいと思っているのだが、妻は怖かったのだろう、もう絶対に行かないと言い張る。僕にとっては幻になってしまったのかなあ。

 天然露天風呂は山奥だけではない。海際にも多く存在する。北海道の水無海浜温泉や前述したセセキ温泉は、満潮時には水没してしまう。時間制限のある天然温泉だ。面白い。こういうところで僕が思い出深いのは屋久島の平内海中温泉である。
 屋久島には温泉が数多く湧いているが、野趣という意味ではここが白眉だろう。干潮時二時間くらいしか入れないので、潮の時間を調べて行かないといけない。僕が行ってみると、こういう開けっぴろげの温泉であるため好事家の観光客しか来ないのだろうと思っていたが、地元のおっちゃんおばちゃんが平気で入浴していた。潮が引く時に逃げ遅れた小魚が湯船に浮いている。茹でられてしまったのだろう。地元の人と笑いながらそれらを掻い出してゆっくりと浸かった。

 もっといろいろ書きたいのだが饒舌過ぎるのでこのくらいにしておく。日本にはまだまだバラエティーに富んだ温泉が数多くある。是非とも足を運んでみたいものだなあと思う。
 温泉の話終わります。


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