凛太郎の徒然草

別に思い出だけに生きているわけじゃないですが

ボストンクラブ(逆エビ固め)

2005年02月26日 | プロレス技あれこれ
 ボストンクラブ。つまり逆エビ固めのことなのだが、なんでボストンクラブと言うのだろうかとしばし思案。日本にはボストンクラブというウィスキーもあるのだが、それが関係なあるとも思えぬし。
 クラブ、というのはカニのはず。しかし逆エビ固めというくらいで技の姿は正にエビだ。しょうがないのでネタ本を繰ると、ボストンクラブというエビが居るらしい。アメリカでは、例えばオマールエビのようなハサミを持ったエビは「クラブ」と言うらしい。そこから命名されたようだ。

 閑話休題。
 逆エビ固めはプロレスの代表的な技と言っていいと思う。昔は子供がプロレスごっこでまず仕掛けるのがこれだった(今はどうかな)。また、プロレス技をかけられたいじめられっ子の死亡記事が新聞に出ると、たいていは逆エビ固めで死んでいる。死因は窒息死。危険な技なのだ。
 技の説明など不要だと思われるが、この有名な技を開発したのは誰かは寡聞にして知りません。おそらくボストンを中心に活躍したレスラーだとは思うが、誰か教えてください。
 有名なのは「赤さそり」タム・ライスで、アメリカで修業中の力道山が負けた3人のうちの一人として知られる(他2名はレオ・ノメリーニとフレッド・アトキンス)。伝説だけでこれも見たことがない。
 日本では豊登が知られるがこれも未見。僕がよく見ていた時代は、坂口征二やストロング小林などのパワーファイターが得意としていた。口から泡を飛ばしながら締め上げる坂口の姿をよく憶えている。「あんなにグイグイやったら死んじゃう!」と子供心ながら思ったものだ。
 しかしタッグマッチではカットされて決まらないし、徐々に廃れていったように思っている。使うのは若手中心になっていったようだ。
 僕の印象では、再び脚光を浴び出すのはUWFからではなかったか。中野龍雄が使う「シャチホコ固め」と呼ばれるエグい角度の逆エビはちょっと戦慄ものだった。相手の反り方は尋常ではなく、なかなかに恐ろしい技だった。

 その頃プロレスファンの間では、「ボストンクラブはどこを極めるのが正しいのか」という論議が出た。曰く「背骨を傷める」のが主眼か「脚(アキレス腱)を極める」のが主眼か、である。まあ今にして思えばアホらしい論争でこれは複合技なのだからケースバイケースなのだけれど、片逆エビ固めはやはり脚を極めている要素が強い。「絶対逃れられないアキレス腱固め」と解釈する見方が強かったと思う。
 前田日明と中矢ニールセンの試合で、前田が最初逆エビ固めをかけたが逃げられ、片逆エビ固めに切り替えて勝ったのを憶えている人は多いと思う。あの試合など片逆エビ固めの「伝説」を作ったと言っていいのではないか。
 それより古いけれども、馬場さんがジン・キニスキーからタイトルを奪い返した試合をビデオで見たことがある。馬場さんのフィニッシュは片逆エビ固めだったが、ほとんど直立状態で腰を落としていなかった。あれは正に「スタンディングアキレス腱固め」だったのだろう。

 派生技ではテリーファンクのテキサスクローバーホールドなどがあるが、なんと言っても馴染み深いのは長州力のサソリ固め。他にも使うレスラーがいるが、やはり長州の仕掛ける際の鮮やかさには誰も敵わない。藤波の「掟破りの逆サソリ」などは、最初に足を入れるタイミングが遅い。「よっこらしょ」という感じでどうもいただけないのだ。まあ元祖長州に遠慮してわざとダサく仕掛けていたとも考えられるが(深読み過ぎるか)。
 新日正規軍対維新軍の4vs4マッチで、長州が前田日明にかけたサソリ固めは本当にエグかった。前田のニールキックやスープレックスに耐え、バックドロップで形勢逆転した長州はリングの真ん中で、周りを牽制しながら骨も折れよとばかりにサソリ固めでグイグイと締め上げていった。僕が見た中では最高のサソリだった。前田がギブアップしないので、放送席から山本小鉄さんが飛び出して、審判部長権限で試合を止めた。凄かった。

 えーっと、更に派生技で木村健吾の「トライアングル・スコーピオン」という幻の技があるが、これはもはやインディアンデスロックの範疇に入れた方がいいだろうと思う。
 複合技としては、腕取り式逆片エビ固め(サイクリングヤッホーだったっけ)などもある。
 忘れていた。天山の抱え込み式逆エビ固め。これは足首ではなく相手のヒザから腿をホールドしてかける為に角度がさらにキツくなる。しかしアキレス腱固め的な要素は無い。山本尚史が今は得意としている。

 背骨と腰を痛めるという観点からいけば、ついキャメルクラッチ等にも言及したくなるが、そこまでやるとキリがなくなるのでこのへんで。

 小技さんのブログにまたもやリンクさせていただきます。イラスト参照してみてください。長州力のサソリ固めはこちら




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7 コメント

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トライアングル・スコーピオン (小技)
2005-02-26 17:28:57
トラバ、ありがとうございます。

木村健吾さんの「トライアングル・スコーピオン」なつかしいです。

私はよく見たことないですが

「ビーナス固め」というサソリに入る途中のような技があるようです。あまり痛そうではないのですが。

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ビーナス固めか(笑) (凛太郎)
2005-02-27 13:51:40
いつもこちらこそお世話になっています。^^;

トライアングル・スコーピオン、まあリバースインディアンデスロックに似ています。あれでもっとボストンクラブ並みに腰を落したら凄い技になっていたと思いますが。



ビーナス固めは懐かしいですね(笑)。確かにどこが極まっているのか理解に苦しみました。しかし後年、ルチャの試合であれと同じような技でギブアップを奪っているのを見たことがあるのです!自分のVTRライブラリーを探しても出てこないと思うので、誰かルチャに詳しい人教えてくれませんかね? ^^;
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おーっとっと! (jasmintea)
2005-03-01 23:18:41
懐かしいです~。新日正規軍維新軍!!前田日明、プロレス王道派って感じで好きでした。あの小鉄ちゃんのこと今でも覚えてます\(^o^)/いやー、嬉しいなぁ、こんなにあの頃のプロレスを話せる方がいらしたなんて!それも坂口全盛期も知ってるなんて!すっかり私は凛太郎さんファンになってしまいました
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山本小鉄がリングに上がると一つのドラマが始まる…。 (凛太郎)
2005-03-02 22:31:43
最大級のお褒めの言葉ありがとうございます♪

僕のブログの5つのカテゴリのうち、一番記事が多いのがプロレスです。ちなみに一番少ないのが歴史です(笑)。技の話中心ですが、書きたいことがまだ山のようにあります。また是非読んでやってください。

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ここに書いて申し訳ありませんが、、 (jasmintea)
2005-03-03 00:11:24
昨日はコメントありがとうございました。

いつもながら分析力に富んだコメントで、おかげ様で次の話への手がかりになります。

これからもよろしくお願いしまーす
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とんでもない(汗) (凛太郎)
2005-03-03 22:34:46
jasminteaさんの筆力に圧倒されるこの頃です。忙しいはずなのにねぇ。尊敬です。

僕も分析力とやらが本当にあればいいのですが、こうやってボストンクラブを書いていても危うくキャメルクラッチまで言及しそうな始末…。分析力も創造力も筆力も…抑止力さえありません。( ┰_┰) シクシク (笑)
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これわかってくれますよね (稲毛忠治)
2017-09-18 18:32:46
逆エビ固めといえばジャンボ鶴田です。
NWA世界戦や世界最強タッグ戦で「残り1分」のコールがあると、ジャンピングニー→カバー、ボディスラム→カバー、ブレーンバスター→カバー、後方回転エビと畳みかける。
そして「10秒」と同時におもむろに逆エビ固め、テレビの前で「おい、何で逆エビやねん」と突っ込むも後の祭り、虚しく時間切れのゴング。
鶴田は勝ったと勘違いして「オー」、客席からは失笑が沸き起こる。

以上、残り10秒からの逆エビ固め、鶴田善戦マン時代のひとコマでした。
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