好きだから、甘々コメント

評判の良いものは、いいのが当たり前。でも評判が悪くても、いいとこ見つかるかも?

ALWAYS三丁目の夕日は、何度も見たくなる名作。

2005年11月29日 00時11分41秒 | 映画
 『ALWAYS三丁目の夕日』、久しぶりに、劇場でもう一度観たいと思いました。
 西岸良平氏の漫画で原作は知っていたし、漫画やアニメの実写版のブームの一作品としてしか認識していませんでした。でも、様々な場面で評判が上がるようになり、特に作品を紹介(宣伝ですよね)する番組ではなく、ラジオのパーソナリティが、日常の話題にするのを聞くにつけ、これは観なくてはと期待に胸を膨らませて劇場にいきました。
 このように期待が大きいときほど、痛い目にあうときもあるんですが、今回は違います。名作でした。友人を誘ってまた観にいくつもりです。
 特に子役たちが旨く、演技もさることながら、当時の子供の様子がとても丁寧に描かれていると思います。私自身、彼等よりかなり下の世代ですが、あの頃は時代のテンポも遅いためそれほど差は無かったと記憶しています。街はもう少し小奇麗な家も増えていましたが、駄菓子屋があり、同じ通りに飲み屋があったりという横丁はどこにでもありました。
 昔の話となると勘違いしやすいのですが、当時の子供は、戦後の逞しさはもう無く、純情で素朴というのとも違います。戦後のアメリカの影響が強く、頭のなかだけは一丁前に自由を謳歌していました。何しろ、彼等こそ団塊の世代なんですから。でも、昭和33当時、生活にしろ日本の実態がまだまだ追いついていなかった・・・。そのあたりがきちんと描けていたのには感心しました。その子供たちに共感を覚えるも無く、とにかく泣ける場面がいくつもあります。
 また、CGで作った上野駅や銀座といった街の風景や、汽車、クルマどれもが違和感なくできあがっています。最近SF系のCGは「そんなばかな!」みたいな物が多く食傷気味ですが、こういう使い方こそ映画の技法として価値を感じます。
 鈴木オートで働くことになった六ちゃんを始め、それぞれが切ない人生をかかえながらも、初期の寅さんシリーズを見ているような、隣近所の遠慮の無い人情の中に力いっぱい生きていく、この夕陽町3丁目の魔法にすっかりかかってしまいました。
 この作品は、自分の生きた世代に関係なく、見た人それぞれの人生にオーバーラップして、きっと何か心に残るものを持ち帰って家路につくのではないでしょうか。テーマ曲もとても心に沁みます。
 そう、そろそろクリスマスがやってきます。妙に子供の頃のクリスマスが懐かしくなってしまいました。

監督・脚本=山崎 貴(「ジュブナイル」「リターナー」)
製作=阿部秀司(「ラブレター」「ジュブナイル」「リターナー」)、奥田誠治(「サトラレ」「逆境ナイン」) 
原作=西岸良平(「鎌倉ものがたり」、「たんぽぽさんの詩」)  

<キャスト>
吉岡秀隆、小雪、堤 真一、薬師丸ひろ子、堀北真希 他

<ストーリー>
 昭和33年、東京、夕日町三丁目、春、新たな仲間がやってきました。鈴木オートに集団就職で青森からやってきた六ちゃんです。でも彼女は立派な会社を想像していたのに鈴木オートがただの修理工場だったので、がっかり。しかも、自分が工具を使うなんて。
 また、鈴木オートの向いで、駄菓子屋を営むしがない小説家、茶川竜之介のもとにも淳之介がやってきました。竜之介が恋心を抱く一杯飲み屋のおかみ、ヒロミに酔った勢いで頼まれた引き取り手のない子供でした。
 新しい仲間は、贅沢なんか言ってられません。運命に身を任せ、懸命に生きていかなければならないのです。戦争が終わって、まだまだ日本は貧しいけど、一生懸命生きていけば、きっと幸せな明日がくるって信じて・・。そうです、世界一の東京タワーも出来上がります。淳之介が描く素晴らしい未来もやってくるかもしれません。

ALWAYS 三丁目の夕日 o.s.t
佐藤直紀, サントラ
バップ

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