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「でにをは」別口入力・三属性の変換による日本語入力 - ペンタクラスタキーボードのコンセプト解説

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隅(すみ)と角(かど)は似ているようで属性が違う

2017-09-15 | 変換三属性+通常変換のシステム考察
三属性変換では目安として名詞/動詞などの品詞から属性の所属が決まっているようですが、これは厳密なものではなくケースバイケースで属性が思惑どおりでないことがあります。
たとえば、隅(すみ)と角(かど)のように、

すみ-炭/墨/須美/須見/鷲見:属性イ、済み/住み/澄み/棲み:属性ロ、☆隅:属性ハ
かど-☆角:属性イ、過度:属性ロ、過度/廉/カド:属性ハ

…この違いは別に「角のほうが突起感が出ていて物体的な主張がある(よって名詞的)、隅はなにか領域的なことでモワッとした抽象概念ぽい」…などの憶測で所属属性が決まったというわけではなく、
同じ同音語でもっと具体的名詞的な「炭」が先に割り当てられるのでそれならばと余りモノ的に属性ハ(トポス的概念でもあるので)に「隅」が落ち着いたという図式があったり、
「角」もトポス的概念をもちながらもすでに属性ハには過度(接辞系)、廉(抽象度が高い)とがありより優先度が高いとみて実体性の高い「角」のほうは名詞属性の属性イに充てられたという経緯があります。
まあ理屈を言うと小難しいようなのですが、三属性変換ではどの変換候補にもあまねく司る分類の判断基準というものがなく、あくまで同音異義候補間での相対的意味・用例関係で所属属性が決まってくるというご都合主義によって成り立っているところがあるのです。
三属性変換では厳密な品詞体系をもって単語のふるまいを一元的に制御していこうというものではなくて、その場その場の同音異義語の衝突を脚色ならぬ"脚品詞"して柔軟にさばいてしまおうという発想なので、あえてシステム的に未分化なカラクリで構えているわけです。
なのでこの「隅」と「角」のように一見似たような範疇の言葉でも変換グループが分かれてしまうことがあります。

※なお、廉(かど)とはある事柄の原因・理由となる点を意味する抽象名詞で「横領していた廉で逮捕された」のように使われます。


今度は視点を変えて、属性は同じであるものの同音語の所属が特徴的なケースを挙げてみます。
たとえば、度(たび)と毎(ごと)もその一例です。

たび-足袋/旅:属性イ、旅:属性ロ、☆度/旅:属性ハ
ごと-事:属性イ、ゴト(=行為):属性ロ、☆毎/言/事:属性ハ

「度」はカウント概念なので抽象的な属性ハです。「足袋」もすでに名詞属性として有力ですから重複回避的にここに落ち着くことに異論はないでしょう。
「毎」もカウント概念なので属性ハに所属するのは妥当ですが、「事」はちょっと特殊です。
「事」は「毎」の方に抽象概念担当を譲ったので替わりに名詞色が強い事を汲んでまずは属性イに所属します。
ただ「事」には勝負事や隠し事のように接尾語要素として機能する側面もあることから接辞まわりをカバーする属性ハも担当しています。
所属を兼任することは三属性変換では普通にあり得ることでユーザーがどちらの用法での変換を望んでいるかにもれなく対応するために敢えて冗長的になるよう意図しているところです。
ただ、その属性内での変換候補順位に差が出たりなど細かな違いが出てくるのは「どちらがよりその属性ニュアンスに適っているか」の評価を勘案したものになっています。
なお属性ロのカタカナの「ゴト」はスラング的で単語辞書に収録するまでもない言葉のように思えますが、二文字程度の語は三属性変換のポテンシャルを発揮するためにいっそのこと些細な語彙でも網羅的に収集したほうが良いのではないかとの方針で仮に提示したものです。


このように3種の変換キーの用途は品詞のみによって定まっている(文法的要因)のではなく、意味的・語彙的なもののファクターを微妙にミックスした帰属決定システムとなっています。
余談ですが、「たび」の変換候補である「旅」が名詞属性イと用言属性ロと属性ハで兼任して所属している事にも意味があります。
旅自体はもちろん名詞なので属性イに所属するところまでは飲み込めそうですが、一人旅や傷心旅という言葉もあることから接尾語機能として属性ハも兼任することにも必要性があります。
さらに、ここからがややこしいんですが「旅」はサ変動詞「旅する」の語幹でもありますしゴルフの「OBショットが一人旅…」などのように形容するときもある種の用言の相を呈しているニュアンスも用例としては持っておりそれらの複合的な要因で属性ロへの帰属も果たしています。
こんな調子ですべての属性への帰属を兼任しておりますが、同グループ内での候補順位はそのままでは低く、属性イ→属性ロなどのように変換キーを移行するタイプ遷移のときに上位に上がってくるふるまいをすることを想定しています。
(参考過去記事):属性選択の遷移過程を反映した変換候補のリオーダリング

このように品詞分類にとらわれない三属性変換は、本ブログで新たに導入した、文法的縛りのより緩い「よろづ」のクラス分類だからこそ可能だと言えるでしょう。
疑問点としてはそもそも通常変換をするときの形態素解析の基本単位は文法的に整理された品詞をよりどころにしておこなうべきもので、何やら訳の分からない「よろづ」というのはどういった説明原理になるのかわからないといった点が出てくるかとは思いますが、
今は手探りながらも地道に実例を挙げながら品詞とよろづの2本立ての筋道を併存させていくべく暗中模索しているところであります。

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カナ/かな変換時の無干渉型変換の拡張

2017-06-07 | 変換三属性+通常変換のシステム考察
「フルに」「ワイドな」「ムリだ」のようにでにをは要素を含む語句をカナキーで変換したときは助詞部分・活用語尾部分・助動詞部分の「に」「な」「だ」には無干渉で作用しその前要素のワード部分だけがカタカナに変化するインターフェイスを以前説明してきましたが、今回はその仕組みを三属性変換の場面でも同様に機能させてみようというアイデアです。

例えば、三属性変換の接尾語を含む変換の一例として「ゲージツ的」などのような表記をするときにも同様にやってみようというものです。
ユーザーは「げーじつてき」と入力してから接辞を含む属性=属性ハの変換キーを押します。このとき「げーじつ」という語が未知語であったとしても「げーじつ的」と候補表示されるのまではいいのですが、ここをカタカナのゲージツにしたいわけです。
ここはカナ部分無干渉変換の操作と全く同じように動作させ、つづけてカナキーを押したときには「ゲージツ的」と「的」を漢字で残したままうまく変換されていくようにすることですんなりといきそうです。
特に問題はなさそうですが接頭語接尾語の場合は汎スラブ主義みたいに接頭辞パーツと接尾辞パーツに挟まれてカタカナ部分を入れたい場合や誤エントリーみたいに接頭語のほうが語頭にくる場合もあるので注意が必要です。

つづいて三属性変換の属性ロで変換した語句ですが例として属性ロのサ変名詞「生活」を含む語句として「ばけん生活」などといった変換は可能か、というところに焦点を合わせてみたいと思います。
これもコンピュータが適切に品詞・よろづの解析を行って、[名詞+サ変名詞]だということが判断できていればサ変名詞の「生活」を不変部として、単純名詞要素の「馬券」を可変部としてとらえてあえてカタカナに変換するという処理は可能かと思います。
カタカナ変換適用にあたっては複合語句の漢字部分の不変部と可変部をどうみなすかの判断を品詞・クラス情報をもとにした結合の従属関係から導き出していくといった具合です。もっともこれは一推測にしか過ぎませんが…。
ただこれでは「探索検証」といった複合語のように両方の要素が等価でどちらも属性ロの語句である場合には処理に問題があり「タンサク検証」とか「探索ケンショウ」のどちらかへの変換を希望する場合にはうまくとり捌くのはちょっと困難かもしれません。

このような問題が想定されるので思いつく解決策としては属性ロの変換単体のときはカナ/かな無干渉変換は曖昧さ回避のためにあえて定義せず、そのかわり属性遷移過程として接辞の属性ハを経由している場合に限ってカナ/かなキーでの無干渉変換をおこなうものとすることです。
先ほどのような等価結合の「審議継続」という言葉を属性ロで変換するときにあえて「審議ケイゾク」などのように表記したいときにはアンダーバーのついた変換文字列に適切に語句分割が行われているのでしょうからそこでの選択部分の移動などで個別的にカナ/かなへ変換していけばよいかと思います。
またそれでも分割されない単位の変換はフォーカスの当たっている文字列のかたまりごと一律にカナやかなで変換されることになります。この辺はまあ普段皆さんが使っているキーボードのF6・F7キーの連続押しみたいに両端の字から一文字ずつ字種を変える処理もあるので同様に機能させていけば良いでしょう。
またこのような属性遷移の中で属性ハの経由した変換だけにカナ/かな無干渉変換を認めるということに関しては、接頭語接尾語要素のパーツとしての切り出しがすでに属性ハで指定することによって済んでおり従属関係などの判断をまたなくても可変部分の把握が機能するからというのがその理由です。
これまでコンセプトの説明として属性ハは接頭語接尾語などの接辞のつく言葉と説明してきましたが、「ばけん生活」ということばにみられるように「生活」といった言葉でもその延長上として捉えることができるためもっと広い視点で、生産力の高い辞・一般についても属性ハの作用範囲に組み込んでおくことが必要であるとここで付け加えておきたいと思います。

なお名詞属性の属性イについてはひとかたまりで捉えられるのでとりわけ部分的な辞を省く無干渉型変換の出る幕はないですし、いくつもの部分に分かれる複合語の場合にはこれもアンダーバーのついた形の語句分割が適切に行われていれば選択操作で各々変換していけばよいので従来通りの方法で事足りると思います。

このような方針で[でにをは入力時の無干渉型変換]と[属性ロによる無干渉型変換]の動作がともに両輪として機能していければインターフェイス的にも統一感がでてきますのでユーザーにとって優しい設計になるかと思います。

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連用形転成名詞の一部は、表記上のニュアンスを区別するためよろづを使い分ける

2017-05-31 | 変換三属性+通常変換のシステム考察
「遊び」や「読み」のように、動詞の連用形がそのまま名詞として使われるタイプの言葉があります。このように元は別の品詞であったものが名詞に転じたものを転成名詞と呼びます。
大体は動詞から転成したものが多いのですが、「近く」「遅く」のように同じく形容詞の連用形からの転成もみられます。
また、形容詞・形容動詞の語幹に「さ・み・け」が付いて、名詞になる(例えば「寒い+け=寒け」「静かだ+さ=静かさ」等)などもありますが、ここで扱うのは「動詞の連用形からきた転成名詞」に限って話を進めていくものとします。

ペンタクラスタキーボードの三属性変換においてはわざわざよろづ(イ万=名詞)分けの帰属づけをしなくても「待ち」にはすでにより純名詞らしい「町」があってことさら「待ち」を破格に区別して名詞にとりたててやる必要性のないものもありますし、
「書き」についても但し書き、箇条書き、走り書きのように多様に生産力の高い辞は接尾辞・接頭辞などの延長としてハ万に任せるのが妥当です。ましてや「遊び」などのような言葉を素朴に名詞カテゴリに分類するにしてもそもそも同音衝突に困ることもありません。

そんな中で特段に名詞を意識して使い分ける例として「忍」「光」「話」などの例があります。これらはもともとは連用形の「忍び」「光り」「話し」からきているものですが表記上のニュアンスから収まりをよくするため送り仮名のない単漢字として完結しているほうを好むというものです。
これはこのままでは候補選択から選ぶ手間が煩雑であり、敢えての回避手段として属性を分けることが理にかなっています。
似たような考え方の例として「謡(うたい)」などがあります。これはより限定性が高まっており、「歌い」「謳い」などと明確に分離できるのが良いところです。
※「恥」も例に挙げようと思ったのですが「土師」も「辱」もありちょっとモデル的には散漫かなと思うので補追的にだけ触れておきます。
あとはわかりやすい例として「焼肉」「受付」「取組」などの例もありましたね。ビジネス用語などでもあてはまるのが多く出てきそうです。

ここから送り仮名の有無以外の、連用形のカタチそのものでの適用範囲として少し踏み込んでみると、「酔い」「悔い」「送り」「誓い」「眺め」などが挙げられます。これはフレーム変換・用例考慮の変換とのカラミでどうなるか何とも言えませんが素直に考えると「良い」「食い」「贈り」「近い」「長め」と混同することがなく有用であるかと思います。
もとい「酔いを醒ます」「悔いが残る」「利用客の送り」「確固たる誓い」「のどかな眺め」などのように前後の格関係などを見れば自明かとも思いますが、検索キーワードや何らかの単体の項目名などのように短い語句での弁別には役に立つと思います。
あとは難しい字ですが「篩い(ふるい)にかける」「胸の痞え(つかえ)がとれた」などもうまく取り込めていければ文句ないでしょう。(「古い」・「使え」/「仕え」との区別。)

さらには「渡(わたり)」「学(まなぶ)」「纏(まとい)」などのように人名・地名との関わりが考えられますがこれらは基本フレームとして人名名詞・地名名詞の範疇のものとして捉えられ、人名・地名ドリブンの格関係処理としてや文字列羅列の中での複合語のパーツとしてあらわれる性質もあることから、連用形の転成名詞としての枠組みだけでは捉えられないのでここでは慎重に、単に送り仮名要らずの単漢字表記ができるんだくらいに考えておきます。(そもそも「学ぶ」や「悟る」は動詞の基本形ですしここでの厳密な定義とはちょっと違ってきます。)

あとさらにこだわる人はこだわる、「ハシリ」「モグリ」「ツマミ」「タタキ」「ダシ」などのように連用形の事物をカタカナにして個物性・種物代表性を際立たせたり俗なとりあげ性をもつニュアンスを表す(ちょっとごちゃごちゃした言い方になってしまいましたが)例が存在します。
これらは連用形由来のものに限らず、「アフリカのツノ」「マネジメントのキモ」などのように名詞由来のもので主に比喩的表現で使われているときのニュアンス感を出すのに効果的に使えそうなものも多くあります。
このような考えのものを厳密に精査してみると、「慌てて買いに行ったクチ」「ハナから間違っている」のように具体的事物を表すというより抽象観念的でありむしろ属性ハ万(構造的抽象)に本来帰属させるのが適当であるものも種々あり、必ずしも名詞に分別して利用する必然性がない(かえって一般的な純名詞とカブるので無益)ため、一律に何でもかんでも名詞属性で済ますのには抵抗があります。
ですからこのように名詞由来の比喩的こだわり表記全般はハ万の属性で処理し、連用形由来のものであっても例えば「ハシリ」とか「ダシ」に限って言えば比喩的なので属性ハ万で処理するのが適当かも知れません。
ちょっと整合性に欠けるかなとも思いますが属性ハ万は文法的・品詞的カテゴライズに規定されたクラスではなく単に分類のハコとして便宜実用上の受け皿としてはたらくクラスなので名詞カテゴリのもともとある一般語との衝突を避けるという意味においては属性ハ万に受け持たすのが賢明だと思います。

この辺の議論はまだひょっとしたら盲点があるかもしれませんし、イ万とハ万との綱引きで所属するよろづをどちらに割り当てるのが適当か判断に悩むこともこの先出てくるかと思います。
ここは属性ハ万の特徴を活かして柔軟な帰属定義を構築できればいい住み分けにつながってくると思いますし前向きに考えればいいかと思います。

概観して感じることはやはり名詞がもしかして一番難しいのではないか…ということです。連用形からの転成名詞もまだまだこれからも検討・考察が必要でしょうし文法的な観点からも三属性のインターフェイス的観点からも両立できるものを目指さねばなりません。
語性のたえず揺れ動く名詞はなんと融通無碍で捉えどころがないものなんでしょうか。なにしろあらゆる品詞のものがさまざまな手段で名詞概念化しますから…サ変動詞も接尾語「-化」のつく言葉も「する」をとってしまえば名詞の用をなしてしまうのです。その逆も然りです。
先ほどの議論のように抽象的なジャングルへ迷い込むとややこしくなってしまうことが往々にしてあるので、まずは個別具体的で明らかに帰属弁別の用があるものから優先的に着手して、なんとか名詞のしっぽをつかんでみたいものです。

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よろづという新しいクラスを設定する

2017-03-24 | 変換三属性+通常変換のシステム考察
三属性変換は兎角例外が多くてその取扱いが難しいものであります。その弊害が顕著に顕れるものとして属性の割り振りで品詞の整合性がとれないケースがまま見られます。
手近な例で動詞まわりの変換例をあげてみると
(例1)属性イ:捨て石/属性ロ:ステイし
のようなものがありますが,ここでの属性イ(名詞)はすんなりと名詞と呼べるものですが例2の場合はどうでしょう。
(例2)属性イ:疲労/属性ロ:拾う・披露
…この例ではサ変動詞となる「疲労」が属性イに割り振られています。これは一般には"サ変名詞"と呼ばれており名詞は名詞なのですが叙述・様態の形質が強くむしろ属性ロに割り当てたいところですがすんなりとはいきません。
属性ロでは「拾う」「披露」がすでに割り当てられており比較検討した結果消去法的に「疲労」を名詞が属する属性ハに割り振ったのです。
より詳しく紐解いていくと「拾う」は完全に動詞ですしとても名詞にできそうもありませんが、「披露」の方はこちらもサ変名詞ですしなかなか判断に迷うところでもあります。
結果としては「披露」を属性ロにとどめておくことになりましたがこれは「披露」の方がもっぱら「-する」の形で使われることが多く名詞として用例はあまりないだろうという感覚を優先させたためです。
他方「疲労」の方は「疲労が蓄積する」「疲労を和らげる」のように名詞(主語・補語)としての用例もよくみられるためより名詞としての性向が強いとの判断で属性イの側にシフトさせたのです。
このように三属性変換ではどの変換候補にもあまねく司る分類の判断基準というものがなく、あくまで同音異義候補間での相対的意味・用例関係で所属属性が決まってくるということが大きな特徴です。

さらに論を進めてまいりましょう。属性ハは接頭語・接尾語を含有する語句を適宜汲みだして変換するように位置づけられていますが以下のような場合はどうでしょうか。
(例3)属性イ:核/属性ハ:核家族
…この例では「核家族」では「核-」からの接頭語派生語句ということで属性ハ(第三の属性)の範疇に入りましたが「核」単体では名詞をあらわす属性イに所属しています。
「核」も接頭語パーツとして属性ハに振り分けようというのもわかるのですが同じ音の「各」が対象を逐条的に捉えることを意味している概念であることや「格」が地位・身分の序列関係性に連関する概念であることあるいは(規則・法則のもとに)組成された物事の本質をなすもの…というどちらも抽象的な概念であるためより具体物的である「核」とは区別した方が適当ではないかという事情があります。
「核」単体の使用例としては「核を使用する」「核となる」「生活感の核が」のように主語・名詞としての使用形態が多いというのがありますが、「各は…」のように単体で使われることはまずありませんし、「格」も「格が違う」「格がある」の使用例でもっぱら使われることから、「核」は単体での機能活性がより高く備わっていると言えるかと思います。
こちらの例においても各語のもつ語彙的なフィールドの違いを勘案してさじ加減の微妙な属性の住み分けをおこなっているわけですが語句のかたまりの切り出し方の違いによって一方は属性イ、他方は属性ハと所属がわかれてしまうのは合理的ではないと指摘されてしまうのも仕方がない事かもしれません。

どちらの例からもうかがえるのは属性の帰属を品詞分類に過度に依拠している点が見られることです。たしかに三属性変換の分類は体言と用言の体系にオーバーラップさせて分類の用をなしているわけですが、接辞まわりの属性を独立的に属性ハとしたのは破格の処置ですし文法的な筋道というよりは接辞まわりの語句はすみ分けた方がよいという経験論から来た便宜によるものなので品詞の事情一辺倒でことが進められるわけではないのです。
出発点としてはまず品詞による体言要素/用言要素の分別はわかりやすく揺るぎのないものですがそこに特殊事情(接辞まわり)への対応の受け皿として属性ハも設定したものですから、ロジックは三つどもえとなりより複眼的になってきています。
これら属性所属の基準について錯綜した脈絡が生じてしまいがちになるのは「疲労」なら「疲労」の所属妥当性を場当たり的に説明して済ませるという表層重視の説明構造・説明原理に行き詰まりがみられるからではないでしょうか。
ペンタクラスタキーボードの三属性変換はどの語句がどの属性に入るかをつまびらかに説明しきってしまおうという試みとして導入したのではなく、属性は単なる箱、変換候補をゆるく分別すれば変換意図に沿った使い分けをシンプルに実現できるだろうとの考えで提案したものであるという発想をないがしろにしたくはありません。

そこでいろいろ考えた結果、もっと包括的に三属性をまとめられる説明原理として[よろづ]というキーワードを投げかけてみようかと思います。
[よろず]は[属性]よりも意味照会にしばられない抽象的なクラスです。「この語句のよろづはイだ。」のように使います。「イ」だけだと突飛な感じがするので「名詞」「動詞」「形容詞」と品詞がクラス分けされているのに倣い「よろづ」の万をつけて「イ万」「ロ万」「ハ万」などのように使うことを想定しています。
あまりに独特の語を導入されて違和感を覚える方もおられるかもしれませんが、この「よろづ」という言葉のニュアンスには用途の広さが感じられ、議論が散らかりがちな「属性」というクラスの提示よりも出口を示し焦点の収束を導くようなはたらきをもっていると思いますし、またそういう文脈で使われることを意識しています。
「『無知』という語句は接頭語『無』がつくことからハ万に仕分けるとする向きもあるが、様態を示す用が強くよりロ万らしさをもった語句である」のように使った例では「ロ万らしさをもった」という表現にクラスらしさ・妥当性を属性からの説明ではなしえない対岸のアングルから帰着させることが読みとることができ非常に有用です。
もちろん従来通り品詞とのかかわりなどを分析的に論じる場面では「属性」の術語を引き続き使用していきます。
この術語を使うことによりどの程度説明過程を見晴らしよくできるのかは未知数ですが、品詞の側からでなく属性を三分割した根源に立ち返ったクラス分けを用いることで論旨が迷走することのないよう機能すればよいかと思います。

実はもう少し三属性について考察を深めてからこのアイデアを出そうかと思っていたのですが、説明に追われて焦点がぼやけてしまう事態を危惧してコンセプトの練りが成熟していない段階ではありますが今後の航程のアンカー(錨)としてひとまず提示しておくのも一策かと思いますのでどうか面食らわないでついて行ってもらいたいと思います。
これまでのところを総じて有体にいえばクラス帰属を品詞の体系で説明しようとする"縦の線"は思い切って削ぎ落して、その語その語の個別的複眼的な事情を都度勘案するあくまで局所的な"横の線"を活かしていくのが三属性変換に最も向いたスタイルであると改めて認識したということです。
冒頭で三属性変換は例外が多いと述べていましたがよろづという包括的なクラスを用意したことでリーズナブル(システムとしての妥当性)であることよりプラグマティック(実際的・実利的)であることに力点を移し、個々の差異が埋められて軽快さを獲得していければよいかなと思います。


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文末表現の記事からもれた雑多なこぼれ話

2017-01-30 | 変換三属性+通常変換のシステム考察
毎度読みにくい文章で本当にすみません(^^;
前回にUPした記事において誤変換例をいろいろ検討した際に、論旨に沿わず横道に逸れそうなためあえて挙げなかった語句・文例にスポットを当ててとりあげてみたいと思います。
せっかく議論の材料になりそうなのにお蔵入りさせるのはもったいないですからね。

主なテーマであった文末表現云々のくだりでまだ挙げ足らなかった例を列挙します。今回は特にこれといった問題提起をするような記事ではないのでまとまりのない・とりとめのない列挙ですがよければお付き合いください。

誤変換の例:私魔性→渡しましょう    動詞「渡す」の連用形である「渡し」に丁寧の助動詞「ます」の未然形+意思の助動詞「う」がついた形
誤変換の例:掘った層だ→掘ったそうだ  動詞「掘る」の連用形である「掘っ」+過去の助動詞「た」+伝聞の助動詞「そうだ」がついた形
誤変換の例:変化死相→変化しそう    そう:様態の助動詞「そうだ」の語幹
誤変換の例:向こう→剥こう       う:推量・意志の助動詞

助動詞・ニュアンスのついた文末は明確に分ける必要があります。
※「掘った層だ」の誤変換は断定の助動詞「だ」のついた文末ですが後者の「そうだ」のついた文末の方がより長いため派生の度合いがより強いとの判断から通常変換においては「掘ったそうだ」の方を採ります。
助動詞「だ」は別口入力にも使われるほどの基本辞であり、「そうだ」はそれよりもより派生色の強いことがうかがえます。
それに加えて、「層だ」のほうは名詞が主なので属性イで変換するのが筋というものでしょう。

誤変換の例:噛んだら→寒鱈       完了の助動詞「た」(だ)の仮定形
この例は逆で寒鱈のほうが変換しにくいレアケースの場合ですが寒鱈くらいは変換して欲しいというぼやきも込めて挙げておきます。


補助動詞は通常変換で対応、複合動詞は属性ロで…この方針もしっかり認識しておきたいところです。
「ない・よい・ほしい」補助形容詞も同様にひらがな表記のほうを配して変換します。

使い分けの例:並べておく⇔並べて置く  「ならべておく」通常変換(文末派生)⇔「並べて置く」属性ロ(複合動詞または動詞の並立)

*ちょっと微妙なニュアンスですが、通常変換・属性ロ・属性ハにまたがった使い分けもあります。
使い分けの例:乗っとり(口語)⇔乗っ取り⇔則り    通常変換⇔属性ロ(複合動詞)⇔属性ハ(則りには基準に従うの意があり、通機性のある語とみなす)


続けて
助詞が付加したものや定型句的なものも多くあります。

誤変換の例:見よ→身よ         「見よ」は上一段動詞の命令形なのに対して「身よ」は詠嘆的な間投助詞「よ」が付加したもの
誤変換の例:ドコモダケ→ドコモだけ   「だけ」は限定の副助詞
誤変換の例:見た回→見たかい      「かい」は疑問と念押しの終助詞
誤変換の例:見た頭→見たかしら     「かしら」は疑問の意の終助詞
誤変換の例:同化してる→どうかしてる  「どうか」呼応の副詞☆やや定型句的

あとは古文由来の例を2つあげます。
誤変換の例:イワンとする→言わんとする 「言わん」は「言う」に意志や意図を表す助詞「む」が付いた語
使い分けの例:イカれる⇔怒れる     「イカれる」は先を越される・用をなさなくなる・考え方がおかしくなるの意/「怒れる」は完了・継続の助動詞「り」の連体形「る」が接続したもの
「イカれる」は属性ロ、「怒れる」は通常変換です。

最後に方言・口語表現から例をあげます
誤変換の例:タイタン→炊いたん     「ん」は「の」の転で、「のもの」を表す。


以上、雑多でまとまりのない記事でしたが通常変換のもつ指向性をこれらの例から読み取れることにつながればいいと思います。

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