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「でにをは」別口入力・三属性の変換による日本語入力 - ペンタクラスタキーボードのコンセプト解説

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[て]キーの導入に際して

2017-11-19 | 別口入力にまつわる諸問題
デス太郎の罠
デシテヨ姫の悪夢
ゲボ爺の浅慮
と、足かけ3回にわたって突然小芝居をぶっこんでしまいましたがお楽しみいただけたでしょうか。
別口入力の直面している危機を前にして、脳内の葛藤を体現したキャラクター達がいてもたってもいられなくなりこうして解説記事の枠から飛び出して登場してもらいました。

物語のラストはテヨ姫の一言に触発されたデス太郎がペンタクラスタキーボードの新たな補助入力、[て]キーの新設をにらんで、レイアウトや基本コンセプトの修正をする決意を吐露する場面で終わりましたが、
この結末通りブログ主ぴとてつとしましても気持ちを新たにし、[て]キー新設に向けてこれから色々と思案していくことに腹を決めました。

これが単に接続詞「て」だけの問題だったのなら「で」との混用を避けるためわざわざ別口入力にすることもないかとも思いましたが、テ形は活用と不可分の変化語尾なのだという見方を知ったことにより、
[でs]キーの不備の問題で不定語素の落ち着き先がうまく整理できず抜けの多い解決案(?)となっていた状況を打破するきっかけになりました。
同じく活用語尾に別口入力キーを充てた「な」「だ」と同じ土俵のものとして処理してもいいんだと鶴の一声のように発想転換ができました。これで姫の望んでいた「でしてよ」が腑に落ちる文法解釈のもとでコンパクトに打鍵できます。
<入力方法>
でしてよ…[でs]→[て]→よ  ※[て]キーは新設の別口入力キー

ここまでは良いのですが、[て]キー導入に際しては動詞テ形のいくつかの動詞は「急いで」のようにもともと「急ぎ」+「て」だったものが発音上の便宜により音便化して接続助詞の「て」が「で」にとって替わる現象があることにも留意しなくてはなりません。
確かに接続助詞「て」は語幹子音がb,m,nおよびgで終わる動詞の場合は濁音化して「で」になるので(飛ぶ・読む・死ぬ・泳ぐ)これに非対応なら整合性に欠けるとお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、
これの場合別口入力「で」が使えないとみてそれなら機械の入力プロセスが動詞を判別処理して適宜「て」と「で」をワイルドカードのように文脈依存で置き換えつつタイプできるような機構も考えられなくもないと一瞬考えましたが、
どちらにも決められない反例として「書く」「嗅ぐ」のテ形の場合[かいて]/[かいで]が判別不全をおこすのでこの試みは却下されました。
なのでやはり濁音化したテ形にはあえて対応せず、清音のテ形のみ適用される[て]キーを使用していくこととしました。


ここで少し視野を広げてもう一つの特殊な別口入力、[○R]と[×r]に焦点を移してみると、若者ことば・<ル形動詞>の言い回しをする際に「ハモる」のように語幹はカタカナ、「る」の部分だけひらがなになるような表記を手軽に実現するために作られたこのキーの使い勝手があまり良くないのではないかという問題がここで浮かび上がってきます。
どういうことかというと、後に続く文脈を見ながら[○R][×r]に未然・連用・終止・連体・仮定・命令の各活用形をワイルドカード的に作用させて打鍵しル形動詞の各バリエーションに対応する目論見でしたが(ハモる・ハモらない・ハモろう・ハモります・ハモった・ハモるとき・ハモれば・ハモれ)、
[○R][×r]の2キーだけではとても捌ききれないという認識が芽生えてきたのです。
テ形の活用の一件からもわかったように、学校文法の活用分類から踏み出してテ形・タ形・受身形・可能形・否定形などの派生まで考慮に入れると言い回しによってはワイルドカードが衝突してうまく機能せずかえって混乱させる事態も懸念されるのです。
らりるれろを含む語尾片のみならず、「ハモって」「ハモった」という別の枠組みの範疇のものもありますから用途兼任負荷を抑えるために新設の別口入力で負荷を分散させることはたとえ[て]キーひとつだけであっても相当助かるのです。
さらに[○R][×r]原案の活用解説では「ググった」→ぐぐ[×r]た<連用形>としているものありますが、コケた・マセた・ノロケた のように小文字の「っ」を挟まないテ形/タ形もあり、[○R][×r]ではこのケースに全く対応できません。
今回の新設キーの導入でとりあえず[て]キーについてはこの問題を回避できるので残る[た]のケースはのちのち考えていけばいいかと思います。

[○R][×r]キーに関してはまだまだ精査が必要でありここでは長くなりそうなので話はここまでにして、話を[て]キーの考察に再び戻しますと、
今回新設した[て]キーは動詞連用形+接続助詞「て」(動詞活用テ形)を念頭に置いて設置したものですが、コピュラ別口入力[でs]との連携である「でしてよ」については少し特殊な事情があり説明が必要です。
こちらの「でしてよ」は[でs]+終助詞「て」との連結であり文法的にも接続助詞とは異なるものですが幸いなことに同様な例として基本別口入力「が」の適用要件に格助詞としての「が」だけでなく逆接の接続助詞としても使用できる例がありますので、これに倣って「て」も複数のチャネルをもつ別口入力であると解釈すれば問題は一応解決します。
これはいわゆる女性語の「でしてよ」だけにとどまらずゲボ爺のセリフ「…よかろうて。」や「…じゃて。」にみられるような終助詞用法においても同様に使っていけます。
ただ「でして」の場合だけに関してみられる重要な特徴をここで申し上げますと、[でs]→て(べたの通常かなキー)のときは「ですて」のように変換されて(そうです天才です-などの例)まずは「です」の確定に重きが置かれますが、[でs]→[て](別口入力)の場合には「でして」の形を返す変換になります。
これは[て]キーが活用まわり(テ形に限らず女性語の『て』も広くバリエーションのひとつとみなして)の受け皿とした変化パーツとして作用し、結果「て」につながるモーメントを想起させる「でして」の方を用に充てさせる措置をとったというカラクリです。
まさにこの派生に対応せんがための[て]キーの格別な機能でありますし、不定語素の行き先を後置シフトで解決する特徴的なシークエンスをうまく利用した"贅沢使い"であるといえます。

また、動詞のテ形ばかりでなく形容詞のテ形(例:広くて強くて辛くて)もありこれにも同様に[て]キーでの別口入力を対応させます。形容詞の場合はすべて清音の「て」が当てられるのが特徴です。
一方形容動詞の場合のテ形では(例:静かで微妙でお転婆で)すべてこの例示のように対照的に濁音の「で」で受けますが、こちらへの対応には別口入力[で]を充てます。
この場合の接続助詞「で」に限っては形容動詞の連用形の一部としての「で」(活用語尾)や断定の助動詞「だ」の連用形の一部である「で」と機能上類似しており活用のバリエーションのありようと不可分だともいえるので奇しくも清音のテ形においての語尾が活用と不可分とする見方とも符合する一面が垣間見れるかと思います。
とは言うもののこの処置は形容動詞の時は濁音化したテ形に対応するのに一般動詞のときの活用の時はあえて対応しないなどという一貫性に欠けるものだと指摘されても当然の事かとは思いますが以下に挙げる例を鑑みたうえで判断を俟って頂きたいということを読者の方には申し上げたいです。
<一般動詞のテ形の別口入力(濁音の場合)の適用が好ましくないとの証左になる例>
漕いで→恋で との判別不全性
跨いで→マタイで・また胃で との判別不全性
死んで→芯で との判別不全性
傷んで→異端で との判別不全性
恨んで→ウランで との判別不全性
…これらの例からもわかるように、別口入力に動詞のテ形(濁音になる方)を認めてしまうのは「で」本来の用法が非常に多岐にわたる(断定の助動詞「だ」の連用形、形容動詞の活用語尾の一部、「そうだ」「ようだ」助動詞の連用形、格助詞など)ため混同されやすく、また「で」は切れ目感が強いのに対し語尾との一体感が強いとされるテ形用法の「で」との文法機能上の違いから変換語句切り出しの不調要因となってしまうことが懸念されますので決して得策ではありません。
これら違いのある両者を同じまな板にのっけてしまうのは無理がありますし、かといって従来の別口入力「で」のほかに接続助詞専用の別口入力「で」を立ててとり捌くのは、同じ「で」が用法によって2つも出てきてしまう(ただでさえ「て」という別口入力もあるのに!)などどだい無理な話で混乱必至ですのでどうしても採用できません。
翻って別口入力「で」の使用が容認された形容動詞の場合、副作用もなさそうだとみなされているのは、形容動詞語幹がもともと名詞に準ずる類のものが多く(いわゆる形容詞性名詞)、「で」と付加入力をつけても語幹部分の自立性が高いので「で」というキーを別口入力することで生じるワード分離性があっても与し易いからなのです。

少し混乱してきたのでテ形の適用範囲をA群(音便形を含む清音のテ形(て))、B群(音便形が濁音のテ形(で))にわけて整理しますと(※清音にも音便形はあります)

<テ形およびデ形の入力対応表>
     A群の場合の入力    B群の場合の入力
一般動詞 [て]         べたの「で」
形容詞  [て]         -(濁音のデ形はない)
形容動詞 -(清音のテ形はない)  [で]

のようになることをもう一度確認したいと思います。他にも補助形容詞「ない」のテ形や打ち消しの助動詞「ない」のテ形なども考えられますが、これらについては次回以降に考察してみたいと思います。

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ゲボ爺の浅慮

2017-11-11 | 別口入力にまつわる諸問題
(前回のお話の続き)
ゲボ爺「えー、オホン…ッ! エキサイティングなところすまんが、ここはひとまず食事にせんかのう。」
   「空腹で議論するとろくな結果にならない…。何かうまいものでも食べながら、じっくり話し合ってみるのもよかろうて。」


テヨ姫「そうね、王国のコトノハ奉行の娘…い、いえ旅芸人の片割れともあろうものが、少々取り乱してしまいましたわ。」
デス太郎「フッ…。そのしゃべり方は芸風か。」
    「…駅から少しいったところに、伝説のすた丼屋があるから、俺はそこで晩飯をいただく。そちらさん達もそれでいいな?」
ゲボ爺「何じゃと、伝説とな!? この地方に伝わる料理なのか? それは楽しみじゃわい。」
デス太郎「伝説は屋号についた枕詞みたいなものだが…それはいいとして、結構ウマいからまあついてきな。」
……三人は駅の方へ向かって歩いていきました

(すた丼の店内にて)
デス太郎「俺は『すた丼の油そばセット』を。」
テヨ姫「アタシは『ミニすた丼のデザートセット』にするわ。」
ゲボ爺「ワシは『すた丼の餃子セット』にするかな。」

ゲボ爺「若いの、酒は飲まんのか?」
デス太郎「何かイベントや特別な祝い事の席でしか飲まない。酒には結構弱い性質(タチ)なんでね」

テヨ姫「にんにくをつけて食べるとまた違ったおいしさがあるわね」
デス太郎「お姫様といっても飽くなき食への探究心の方が勝ったようだな。」

ゲボ爺「ワシらは姫にお仕えしながらこうして諸国を旅しておるのじゃ。」

デス太郎「何?姫僕漫才?そいつは新しい芸風だな!はっはっは!」


(こうして三人は食欲も満たされ、楽しい時間が過ぎていくのでした)

デス太郎「さて、腹もいっぱいになった事だし、そろそろ行くか。」
ゲボ爺「なかなかの美味であった。しかし思いだすのう、我が城に伝わる伝説の料理を…。」

(帰路につく三人)
デス太郎「…で、それってどんな料理なんだ?」
ゲボ爺「その名も『極上の旋律を奏でしテールスープ』じゃ。さすがのすた丼の旨さもこれには敵うまい。」
ゲボ爺「…もう一度言うが『極上の旋律を奏<でしテ>ールスープ』じゃて。」
デス太郎「『でして』…ああその『でして』か…。」
    「それならコピュラ動詞である『です』と違って、『奏でし』は一般動詞『奏でる』の変化したただの述部だから…別口入力には関係ないから。」
ゲボ爺「ほへっ?」
デス太郎「まっ、さぞや美味いスープなんだろうな。へへっ。」

デス太郎「…ところで、その伝説のテールスープを、実際に味わったことはあるのか?」
ゲボ爺「何を申すか?お城の書庫に眠っている古文書にはそう書かれておるのじゃぞ。それはそれは極上のスープで…」
デス太郎「いや、その書物を手に取って読んだのか?」
ゲボ爺「いや、調理長が宴会の席で大仰にのたまっていたのを好奇心で聞いておっただけだったが、あのご講説は本物じゃったですぞ。」
デス太郎「…じゃあ、それはあんたが直接見聞きしたものじゃないんだな?」
ゲボ爺「まあ…そうじゃがの。」

…それを聞いたデス太郎はやれやれと言った調子で諭すように言いました。

デス太郎「爺さんよ、それは「極上の旋律を奏で<し>テールスープ」ではなくて「極上の旋律を奏で<ける>テールスープが正しい言葉の使い方だからな。」
    「…過去をあらわす助動詞『き』と『けり』には微妙な違いがあって、その使い分けがあやふやなケースがよくみられるんだよ。」
    「『奏で<し>』の<し>は『き』の連体形で、『き』は自分が直接経験した過去、体験過去をあらわすのに使う。」
    「一方<けり>は伝承・伝聞の過去を回想したときに使われ、その連体形は『ける』だ。」
    「御大層な料理を紹介したいのならせめて事実にもとづいた発言をすべきだったな。」
ゲボ爺「うぬぅ、伝説のテールスープはあるんじゃあ…確かに存在したのじゃよ…くっ。」

デス太郎「さて、駅についたぞ。機会があったらまた会おう。」
こうして一行は駅で別れて、それぞれの帰路へと向かうのでした。





心地の良い涼風に吹かれながら、デス太郎はすた丼屋でのテヨ姫の一言を噛みしめるように思い出します。

…"[て]キーが無いのなら、作ってしまえばいいじゃない"

デス太郎は歩きながらひとり呟きました。
「[て]キーを新設するとなると、レイアウトとか色々帳尻合わせをしなくちゃならないな…。」
「これはまた、面倒なことになったもんだな…。フッ…。」

(お話はこれで終わりです)

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デシテヨ姫の悪夢

2017-11-07 | 別口入力にまつわる諸問題
(前回のお話の続き)
デス太郎(やれやれ、まったく面倒くさい事に巻き込まれてしまったみたいだな…)

虚を突かれたデス太郎に向かって、女性は問いかけました。
「ごめんあそばせ…アタシはデニヲハランドの旅芸人・テヨ姫といいます。」
「ところで今あなた、アタシたちを前にしてそのご様子…。よもや『面倒くさい事になったな』なんてお思いでして?」

デス太郎「面倒くさい?…ああ、確かに思ったよ。でもそれがどうしたというのか。(ああやっぱり面倒くさい奴だ)」

…それを聞いたテヨ姫は強い調子でこう返してきました。
テヨ姫「…そうよ。それよ。 面倒くさいのよ。」
デス太郎「ん…?ところでなぜ俺の考えていることがわかった?」
テヨ姫「細かい事はいいから。考えてもみなさい。」
   「『-でしてよ』を入力するのにいちいち [でs]→[×r]→[てよ]って打たなきゃならないなんて、あんまりじゃないのっ!」
   「『です+たい』や『です+太郎』などと違って『でして』は『です』の立派なバリエーションよ。『でし』で切るなんて考えられないわ。」
   「『でした』が[でs]→[た]でスムーズに入力できるのなら、『でしてよ』も[でs]→[てよ]で入力できて当然じゃない。」
   「1ストロークを甘く見ないでちょうだい。もっと配慮が必要よ。」
お供の者「まあまあ、この者は『デニヲハのいろは』も知らない無作法者のようですから、姫様…ここは穏便に。」

デス太郎「あんたの言っていることもわかるが、生憎別口入力では接続助詞の『て』の採用は見送られたんだ。あきらめるこったな。」
お供の者「うちの姫様は腹を空かせておるのじゃ、その物言い、いささか無礼であるぞ。」
テヨ姫「ゲボ爺は黙っていて」
デス太郎「…いや、待てよ。…そうか、動詞活用形『テ形』という考え方を見落としていたな。」
テヨ姫「どうやら察しの良い若者だったようね。」

デス太郎「今日まで学校文法ではなぜか頑なに忌避されてきた動詞活用形『て・フォーム』すなわちテ形…。」
    「世間一般の学校文法で馴染みがあるのは『未然連用終止連体仮定命令』という呪文のようなフレーズ…。」
テヨ姫「でも実用本位の外国人向け日本語教育の現場では動詞活用形を『テ形』『マス形』『ナイ形』のように分類することが普通におこなわれているわ。」
デス太郎「語の形態に基づいた分類方法だな。」
テヨ姫「『です』に続くのは「ので・とは・から・けれど・し』といったものばかり想定していて語の変化を考えていない。活用にももっと目を向けなきゃいけないわ。」
デス太郎「しかし活用と言ったって、『テ形』はそもそも連用形に接続助詞『て』のついたものが元だから単に連結って捉えるのが国文法なんだが?」
テヨ姫「『て』は分離したパーツではなくむしろ動詞の変化した語尾と考えるのが妥当だわ。」

デス太郎「…確かに、形容動詞の活用語尾『な』『だ』に関しては別口入力が採り入れられている。」
    「だが爺さんの言った『一苦労でして…』の『て』は接続助詞だからテ形でいいとして、あんたの『でしてよ』が問題だ。」
    「『てよ』はいわゆる女性語で使われる終助詞『て』+語調を整える間投助詞『よ』だから、やっぱり分離しているんじゃないか?」

テヨ姫「もう、『木を見て森を見ず』みたいなこと言わないで。」
   「実際にこうして不具合が生じているのだから、きちんと対処すべきよ。わかっているの!?…[○R][×r]キーだけでは解決したわけじゃないのよ!」

その時、二人の剣幕に割って入るように、従者の老人が咳ばらいをしながらこう言いました。

ゲボ爺「えー、オホン…ッ! エキサイティングなところすまんが、ここはひとまず食事にせんかのう。」
   「空腹で議論するとろくな結果にならない…。何かうまいものでも食べながら、じっくり話し合ってみるのもよかろうて。」

(このお話はあともう少し続きます)

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デス太郎の罠

2017-10-31 | 別口入力にまつわる諸問題
ペンタクラスタキーボードの基本コンセプト 2017.ver を上げてからそれほど経っていないというのに何なんですが、別口入力「でs」に細かな不備が見られたので早速修正しなければなりません。
当初、下記の語をひと続きで入力しようとするとき
でしょう→[でs]ょう
でした→[でs]た
です→[でs]
のように入力します。
…のように解説しておりましたが、いくつかの例外が思い至らなかったケースがあり、これの対応策を考えねばなりません。

例外ケースを以下に列挙したいと思います:
(例1)口語のネットスラングなどで「-ですた。」と書く例もなくはない
(例2)九州弁で「-ですたい」ということがみられる
(例3)「次はあなたの番です太郎さん聞いているの?」などのようにひと続きでいうこともある
…これらは[でs]た=でした のように変換することが定められているせいで「ですたい」も「でしたい」になり
「です太郎さん聞いている」も「でしたろうさん…(太郎の変換タイミングを見失う)」のようになってしまう危険をはらんでいます。

このような現象に対しての解決策として「です」の一旦確定操作としてキーボードでにをは部にある[○R]キーと[×R]キーを活用したいと思います。
要は「ですたい」を[でs]→[○R]→たい のように入力したり、
「ですたろう」を[でs]→[○R]→太郎 のように入力するというものです。
「です」に後続する言葉の入力の前に、一旦[○R]キー打鍵を挟んで後に続ける方式で、ちょっとまどろっこしくなりますが一度確定(≒Fix)というステップを踏んでいるため間違いがありません。
あらゆるかな文字との接続が考えられますが助動詞「です」に絡んだ変換不全要因は[でした]⇔[ですた]の齟齬に関するものだけなのでこれで対応できているものだと考えます。
逆にいえばこれらの限られたケースの為だけに別口入力[○R][×r]キーを贅沢使いしている、と表現しても良いかもしれません。
同様に一応念のため「でし。」(終助詞的調子のある語尾)という使い方もなくはないので他にも見落としがないようにするため
「でし(※末端部)」を[でs]→[×r]の要領で入力するものと定めます。(でしWAAAAAN!!なんていうのもあるかもしれない)

これで、盗んだハートはココです隊♡ なんて洒落たグループ名も安心して表記できますね(笑)。
ただし、「御徒町ですた丼を食べた」のときは別口入力「で」を使えば事足りますし、「です体(文体の基調スタイルをあらわすことば)」などのようなときは律儀に[でs]を置かなくてよい=ベタ打ちのかな入力文で対応
…と捉えることができます。「です」がそのもので文法範疇ではないパーツ化している例ですね。

このように[でs]→[○R]で「です」確定 / [でs]→[×r]で「でし」確定 としてありますが、この「確定」はかな漢字変換の一文としての確定ではなく助動詞「です」の活用変化がひとまず仮Fixしているという意味であり、本来の意味でのIME変換の確定の事ではないので注意が必要です。
Fixを受け付けた後も未変換文字列の入力は依然として継続しており、変換エンジンのふるまいの中でもひと癖ある部分となっているため適切なコード記述・設計が求められるところでしょう。



…これでひとまず別口入力[でs]キーまわりの難点は克服したかな、と思えましたが…。
確かに、うまく凌げたかのように見えます。シフト状態を解除するのにべタのかな文字キーを使わずに文法的機能キーとしてはたらく[○R][×r]キーで処理すれば通常のかなつづりとは違うチャンネルで余計な干渉を起こさずに境界をはっきりさせられますので理に適っていますし、用途を持て余し気味だった[○R][×r]キーを活かすことにもつながりました。
前置してある[でs」キーの性質も別口入力パーツ(文法機能のもつキー)から別の別口入力パーツへの接続なため、本来の「disる」「トラブる」のようなベタ・英/かな文字とは明確に違いますので後続させる[で-す][で-し]の形を特異な別個の存在として保つことができます。

しかし安堵したのもつかの間、どこからともなくこちらに呼びかける声が飛び込んできました――。

「ホーッホッホッホ♪甘い甘い、そんな解決法じゃまだまだ手ぬるいわ。ちょっとやり方が雑でしてよ。」
「今宵はアタクシとっても腹ペコなんですの。なにか美味しいお料理ないかしら?」
そしてそのお供らしき初老の男性が後ろから現れてこう続けます。
「まったく、姫のお供をするのも一苦労でして…。そこの青年殿。このあたりに何かシャスデリなスペシャル・ディナーはござらんか?」

デス太郎「全く何だ…?突然現れて…。」
デス太郎(やれやれ、まったく面倒くさい事に巻き込まれてしまったみたいだな…)

…デス太郎はこのとき、これから自分の身に起こる運命の事など、知る由もなかったのでした。

(この物語は一応続きます。)

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拗音の正確な定義

2017-10-20 | かな84キー+記号キーがある事の利便性
訂正するのが遅れてしまいましたが、
「ゃ」「ゅ」「ょ」などの小書き文字のやゆよの呼称について、ざっくりと「拗音」としてしまっており、これらの表現は必ずしも適当でないことが懸念されるので修正したいと思います。
混乱・混同させてしまった読者の方、すいませんでした。

ペンタクラスタキーボードの基本コンセプト 2017改定ver. - P突堤2 の記事中や
過去記事 かなキー84種 促音・拗音・撥音・長音等キーも個別にある。連続入力も可能、つながり方もさまざま - P突堤2 内での表現において、
一部誤解にもとづく記述をしてしまったものがありますので、この記事で正確な定義を盛り込んだ追記事に代えて当該記事に加筆・訂正したいとおもいます。

具体的な訂正箇所は
「基本コンセプト…」については「ゃゅょ(拗音)」としていたものを改めて「ゃゅょ(拗音の構成要素)」[注2]とさせていただきました。
「拗音キーも個別にある…」については記事末尾にこの訂正追記事へのリンクを付加させていただきました。(記事文面はそのままです)

以下、気になる方は目を通してみてください。


さて、問題の拗音なんですが一番の注目点というのが
「『しゃ・しゅ・しょ』『じゃ・じゅ・じょ』のようにかな2文字の全体をもって拗音とし、『ゃ・ゅ・ょ』単体では拗音とは呼ばず、
単に『拗音の一部(構成要素)』としか言えない」ということがわかりました。
誤解しやすいところなんですが、細かな違いではあるものの大きな違いです。

日本語はモーラ(拍)が基本単位となる音節構造なので 拗音の場合の一拍=直前の(普通の)仮名と2文字で一単位 となることがその理由です。
和歌や俳句などのリズムをとるときにきゃきゅきょなどの拗音は2文字で1拍となるのもモーラ(拍)が基本単位となっているからです。
これは英語などの音の区切り方、シラブル(音節)とはまた違った世界であり、日本語のほかにハワイ語などにもみられる独特の音韻構造です。
ちなみに世界の言語の発音体系には、モーラ言語・シラブル言語・ストレス言語の3系統があるのだそうです。

さらに細かな点まで紐解いていくと、拗音の種類は2つあって
開拗音 :イ段の子音から「ゃ」「ゅ」「ょ」(半母音をはさんだ母音a,u,o)へとつながる構造をもつ音節
合拗音 :ウ段の子音から「ゎ」(半母音をはさんだ母音a)へとつながる構造をもつ音節
となっていて、「ゃゅょ」の他に「ゎ」も別の拗音として独立した名称がつけられていることがわかります。
別々に分かれているのには直拗の対立であるとか発声上の違いだとかなどのファクターにより決まっているのですが私の理解度が及ばず煩雑な説明になってしまうのでWikipediaのリンクを貼っておきます。

拗音 - Wikipedia


さてここでトピックをひとつ、
今日では一般的に浸透している外来語の表記に用いるかなづかい全般については
日本の国語施策の一環の中にある「現代仮名遣い」に関連する事項として平成3年に内閣告示が発せられ、よりどころとする旨が訓令されました。
これらの決定は外来語における従来からの表記、科学,技術,芸術その他の各種専門分野や個々人の表記を尊重しており強制力を持つものではないですが、
一般的な外来語の表記全般にわたる目安となっています。

…ここで拗音との関係に触れたいと思うのですが、
外来語や方言などを表すため、直音、拗音以外の音を、通常の仮名1文字に「あ行」、「や行」または「わ行」の 捨て仮名1文字を付けて拗音風に2文字で表記することがあるが、それについては外来語の項に述べる。なお俗に、本来の拗音以外のそれらの音も含めて拗音といったり、2文字目の捨て仮名のことを拗音と言ったりする人がいる。

…とWikipediaには書かれており、拗音の表記法に倣ったと思われるこれら外来語の表記については、本来の「拗音」とされているものとは異なり、副次的な表記手段と言えるでしょう。

紆余曲折・長い歴史がありますが外国語が流入する過程において
もともと日本の50音になかった表記・発音がこうしてある程度ニュアンスを伝えつつ定着していったのも、完全な表記化とはいきませんが、「外来語」として新たな表現の幅を広げる"巡りあわせの妙"のある受容過程であったと思います。

日本語は字種の使い分けやこういった小書きかなのパーツを用いた表記もあって使いこなすのが大変かと思いますが、微妙な使い分けのできる豊かな表記手段を持っているなと実感できますし、
ペンタクラスタキーボードにおいても過不足なくこういった表記の入力に対応ができていれば良いな…と思います。

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